3月25日が大谷の通訳としての初仕事だった

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前編【「水原一平氏」の通訳は、本当に“意訳しすぎで聞き取りづらい”? 「日本人バイリンガル」が明かす“意外すぎる評価”とは】からのつづき

 一部から「滑舌が悪い」「意訳が過ぎる」といった指摘が出ている水原一平氏だが、日本人バイリンガルの評価は「素晴らしい通訳」というもの。一方で、後任のアイアトン氏の通訳には、いささかの不安を感じるという。

(前後編の後編/前編の続き)

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元野球選手でドジャースの球団スタッフ

 ウィル・アイアトン氏は元プロ野球選手でもある日系アメリカ人2世。後任として白羽の矢が立つ前は、ドジャースの球団職員として主にデータ分析担当し、チームを支えてきたが、かつては前田健太投手の通訳を務めた経験もある。

3月25日が大谷の通訳としての初仕事だった

 大谷の通訳としての初仕事は、大谷が騒動後に初めてメディアに取材対応をした3月25日の会見だった。

 前編に続き、アイアトン氏の通訳について評価を依頼したのは、幼少期からスイスで英語教育を受け、現在は大手IT企業の海外駐在員を務める福原龍太氏(仮名)。

 アイアトン氏の通訳については、「フォーマルで聞き取りやすい英語」だというのがもっぱらの評判だが、3月25日の会見動画を見た福原さんの感想は、すこし違っているようだ。

大事なセンテンスをまるごと端折っている

 まずは第一印象について、

「水原さんの時とは違って、ちゃんとメモを取りながら通訳に臨んでいましたね。イントネーションも抑揚がはっきりとしていて、とても聞き取りやすい英語でした。月並みな感想ですが“ごくごく一般的な通訳”という印象です」(福原氏)

 一方で冒頭から気がかりな箇所が2つあったといい、まずは以下の場面。

―――
大谷の言葉:
現在進行中の調査もありますので、今日話せることにまず限りがあるというのをご理解頂きたいなということ。

アイアトン 氏の英語訳の内容:
今日お話しできる内容が限られている事柄もあります。ご理解頂ければ幸いです。

―――

「メモを取りながら通訳しているにしては、ちょっと乱暴な省略がありますね。『現在進行中の調査もありますので』という大事なセンテンスをまるごと端折ってしまっています」

ドライで簡素な印象を受ける

 短い前置きではあるが、この一文があるとないとでは、大谷の言葉と英語訳との間に微妙なニュアンスの差が生まれてしまっているのだという。

「大谷としては、今回の騒動によって多大な心配をかけているファンやスポンサーに対し、このまま何も話さないわけにはいかない。ただ、今後想定されるリスクを考えれば、すべてをここで話すわけにもいかない。『そうした複雑な状況をどうか理解して欲しい』というのが、この一文で伝えたかった趣旨であるはずです。しかし、アイアトンさんの英語訳は『今日話せることには限りがあります。まずはそこのところよろしく』というような、元の大谷の言葉と比較するとドライで簡素な印象を受ける言葉でした」(同)

 つまり、要点を伝えるだけであれば端折っても問題ない箇所ではあるものの、この会見で大谷が目指している到達点や、ファンに対する感情について、アイアトン氏がしっかりと自分事のように理解できていたなら、この箇所を省略することはなかったのではないか、という指摘だ。

大谷の持つキャラクター性や美徳が伝わってこない?

 その後に続く一文にも、似たような危うさが見え隠れするという。

―――
大谷の言葉:
今日、ここに詳細をまとめた、分かりやすく皆さんにお伝えするためにまとめたメモがありますので、そちらの方に従って何があったのかというのをまず、説明させて頂きたいと思います。

アイアトンの英語訳の内容:
目の前の文書をもとに、何があったのかの詳細をご説明したいと思います。
―――

「大谷としては、『正確を期すために手元のメモを見ながら説明させて頂きます』ということを伝えたかったのだと思うのですが、アイアトンさんはそのメモを見ながらという箇所を“document”という言葉を使って表現しています。実はこのdocumentという言葉は、『用意した書面で回答します』というニュアンスに聞こえてしまうのです」(同)

 ちょうど、日本の政治家が官僚の用意した文書をつらつらと読み上げる、「国会答弁」のようなイメージに近くなってしまうというのだ。たしかにそれでは「誠実であれ」という大谷が大事にしている指針や、「間違いがあってはならない」という、大谷の持つ「真面目」なキャラクター性が伝わってこない。

「一平さんだったら…」というパラドックス

 もちろん、アイアトン氏にとってはこの日が大谷の通訳にとってのデビュー戦。初日から大谷の感情をそっくり理解して通訳してください、というのは酷な要求だろう。

「ただ、水原さんの通訳を見た後だとなおさら、“一平さんならもっとうまくやれたんじゃないか”という感情を抱いてしまいます。水原さんの巻き起こした騒動に対応するための会見ですから、“一平さんだったら”というのは完全なパラドックスなのですが……」(同)

「スロースターター」と評される大谷だが、ここまでの成績を見たファンからすれば「やはり騒動の影響が……?」という感想を禁じ得ないだろう。シーズン開幕戦の夜に襲った「悲劇」をなんとか乗り越え、ドジャースをワールドチャンピオンへと導くことができるか。

前編【「水原一平氏」の通訳は、本当に“意訳しすぎで聞き取りづらい”? 「日本人バイリンガル」が明かす“意外すぎる評価”とは】からのつづき

デイリー新潮編集部