少しでも元気なうちに持ちものや家具の整理を進める“老前整理”。「残された家族に迷惑をかけないためにも」と、関心をもつ人も多いのではないでしょうか。ここでは、著書『66歳、まずやってみる。人生を愉しむシンプル暮らし』(扶桑社刊)より、築40年の一軒家に夫と息子と3人で暮らす、66歳のシンプル暮らしの達人・pocohahaさんが進めた老前整理について、抜粋してご紹介します。

60代、体力と気力があるうちに。私が手放した大きい家具

60代になってから、自分の体力の衰えを強く実感するようになりました。
娘と一緒に家具を運んでいるときにあまり力が入らなくて、心配をかけてしまったことがあります。
これから70代・80代になったら、今よりもっと体力が落ちるはず。もしかしたら気力も衰えているかもしれない。その前に自分で動かせない・処分できないものはなるべく減らしておきたいと思い、大きくて重い家具を手放そうと決意しました。

●1:衣装タンス

衣装タンスを減らし、押し入れに市販のハンガーパイプを取りつけてクローゼット代わりにしています。

●2:背の高い食器棚

結婚当初から使い続けている、背の高い食器棚を上下に分けて半分の高さにしました。それまでは上段にある食器が取りづらくて使わないまま眠らせてしまうこともありましたが、現在はすべての食器にラクラク手が届くようになり、使い勝手も使用頻度もアップしています。

●3:大きなダイニングテーブル

キッチンが狭く感じる原因になっていた、4人がけの大きな長方形テーブルをコンパクトな円形テーブルに買い替えて、椅子を4脚から3脚に減らしました。軽いのに革と同等の強度があるペーパーコードのイスは、60代の私でも片手で簡単に持ち上げられます。

●4:嫁入り道具の桐のタンス

何年も着ていなかった着物と一緒に思いきって手放しました。上半分はテレビ台にリメイクし、息子の部屋で活躍しています。

●5:重い本棚

読書が好きな私。リビングにある本棚にたくさんの本を収納していましたが、「地震で頭の上に落ちてきたら怖いな」と思い、何度も読み返したくなるような本だけを厳選して、収納ボックスにもなるスツールに移しました。上にクッションを敷いてソファー代わりにしています。

●6:PCデスク

デスクトップPCが古くなったタイミングで、リビングの一角を占拠していたPCデスクを一緒に処分しました。新しく購入したノートPCは薄くて軽く、キッチンでもリビングでもどこへでも持ち運んで作業ができるため、専用デスクは必要なさそうです。

部屋が広く見えるメリット、防災面のメリット

結果、ほとんどの家具が私の身長より背が低くなり、中身を空にすればひとりでも動かせるようになりました(持ち上げて運ぶ場合は家族で協力しています)。
大きな家具を減らすと視界が開けるので部屋が広く見えるし、防災面においても地震で家具が倒れてくる危険性や、高い所にあるものを取ろうとして自分が転倒してしまう可能性を回避できるので、私にとっていいことずくめでした。

家具を処分したり、小さくリメイクしたりすることは正直に言って面倒ですが、その手間を今より体力が落ちている将来の自分に任せることは不安でしかありません。

人生で“今”がいちばん若いとき。大きな家具の処分を60代のうちに済ませておいてよかったと思っています。

 

pocohahaさんの暮らしをつづった書籍『66歳、まずやってみる。人生を愉しむシンプル暮らし』(ponpoco著・扶桑社刊)では、pocohahaさんが50〜60代で行った工夫を紹介。インテリア、料理、家事、ファッション、美容、実家の片づけ、人間関係など、生活全般について掲載しています。