この記事をまとめると

■自動車ディーラーの多くは2023年の年度末セールの締めの時期に入っている

■トヨタディーラーでは人気モデルの多くが納期遅延によって新規受注が受けられない

■いまから注文しても年度内に間に合う車種は少ない可能性が高い

もうすでに年度末の締めとなりつつある!?

 復調傾向にあるのだが、いまだに通常納期に戻りきっていない日本の新車販売業界。すでに2023年の年末セールは最後の締めに入っており、今後は2023事業年度末決算セールへ向け、各新車販売ディーラーは動き出そうとしている。ちなみに事業年度末決算セールの販売実績として計上できるのは、3月末までに新規登録(軽自動車は届け出)できたことが条件となる。

 そもそも年度末決算セールは、2月及び3月で実施されるのが一般的となっている。大昔には3月のみに集中させて行っていたが、その当時はディーラーが潤沢な在庫を持っていた時代であり、短期間で新規登録(軽自動車は届け出)を行い、納車することができた。

 しかし、やがて新車ディーラーの懐具合も影響しての在庫数減少やメーカーの生産計画の都合などもあり、新車を納車するまでに時間を要するようになり、2月も年度末決算セール期間となった。さらに、コロナ禍前のかなり以前より、さらに新車の納車に時間がかかるケースが目立ってしまい、ついには1月が年度末決算セールのメイン時期とまでいわれるようになり、1月から活発な販売促進活動が行われるようになった。

 このような流れをみると、年度末決算セールを見据えて2023年内から動き出すのもけっして早いというものではない。販売現場では「年明けの初売りぐらいには受注をもらえれば」という話もよく聞く。

 しかし、事情通は、「トヨタの販売現場ではすでに年度末決算セールも終わった」という空気が流れています。いまトヨタ車の納期は急速に改善傾向に向かっていると認識していたのだが……。

「そもそも新規受注停止車両が人気モデルを中心に多すぎて、納期うんぬんの前に新規発注がかけられないモデルがあまりにも多すぎるようなのです(事情通)」

トヨタの場合、人気モデルの多くはいま注文できない

 それではと筆者が調べてみると、本稿執筆時点(その後受注再開することもあり)で新規受注停止になっている車種をみると、

 アクア、カローラ・スポーツ、ルーミー(カスタム系)、カローラ・アクシオ。カローラ・セダン、クラウン、シエンタ(ハイブリッド)、アルファード&ヴェルファイア(KINTO[個人向けリース]以外中止)、ハイエースワゴン、ライズ、クラウン・クロスオーバー、クラウン・スポーツ(KINTOのみ受付中)、ランドクルーザー70(KINTOでのみいけるかも)、ランドクルーザー・プラド、ランドクルーザー300、カローラ・フィールダー、カローラ・ツーリング(ガソリン車)

 と、上記の車種が該当していた。

 改良を控えてというケースもあるが、それでも抱えるバックオーダーが多く、数カ月前から新規受注停止となることも多いようだ。

 また、受注できる車種でも、納車時期ベースでは2023年3月末までに納車可能なモデルは、年度末に増産などがかからないかぎりは、期待しないほうがいいのが現状となっているようだ。そのため、いまから2024年3月までに納車可能な受注残(受注したのに新規登録できていない)車両を確実に新規登録して実績につなげるように、綿密な打ち合わせを販売現場では行っているということである。

 納期が早めで人気モデルのルーミーは、モデルチェンジが近くオーダー枠が限定されているとのことで、カスタム系だけ新規受注停止となっているのは、事実上現行モデルの販売終了を意味しているといってもいいだろう。

「でもそれってトヨタだけの話では?」と思う人もいるだろう。しかし、国内販売シェアで圧倒的トップに立つトヨタディーラーでモチベーションが下がれば、当然トヨタとトヨタ以外のメーカーの車種を検討したとしても、トヨタ以外のメーカー系ディーラーも刺激が少なく、好条件の引き出しに苦労することになる可能性は高い。新車販売現場全体でも暗雲漂う空気に包まれることになりそうだ。