ビジネスホテルがサラリーマンが使うものなんていうのは、とうの昔。今、あえてビジネスホテル(=ビジホ)に泊まり、ひとり時間を満喫する方が増えています。その先駆けとも言えるのが、YouTubeチャンネル「酒飲み独身ぴや子の宿泊記」にてビジホステイの様子を投稿するぴや子さん。ビジホの客室で豪快に飲み食いしながら、心の内をつぶやく姿が多くの視聴者の共感を呼んでいます。ぴや子さんに“ひとりビジホステイ”について教えてもらいました。

きっかけはコロナ禍。だれもいない大浴場に行きたい一心で初ビジホステイを決行!

――そもそも、どうしてビジホに宿泊するようになったのですか?

【写真】大浴場の混み具合が確認できる!

ぴや子さん(以下、ぴや子):きっかけはコロナ禍の自粛生活です。娯楽のために外出するなんてとんでもない、という時期がありましたよね。もともと私は仕事とプライベートの切り替えが苦手で、家と職場の往復だけだと気が滅入ってしまって…。でも、一度ビジホに泊まって、過ごす場所を変えてみたら驚くほどリフレッシュできたんです。それが始まりでした。以来、1か月半くらいに1度ほどビジホに泊まるのを楽しみに働く、というようないいリズムが生まれて。

――おしゃれなホテルに泊まってキラキラ過ごすという選択肢もあったかと思いますが、ビジネスホテルを選んだ理由は?

ぴや子:ホテルに泊まりたかったわけではなく、大浴場やスパのようなところに行きたかったんです。とはいえ、スーパー銭湯やサロン系のスパは営業をしていなかったり、「密」が気になって難しくて…。あれこれ検索していてたどり着いたのが、大浴場のあるビジネスホテルの「ドーミーイン」でした。

ぴや子:ドーミーインは部屋のテレビから大浴場の混み具合が確認できたり、チェックインからチェックアウトまで長い時間入浴できるので、深夜の2、3時くらいの大浴場はほとんど無人だとわかり、「よし、泊まってみるか!」って。それで初めてビジホに泊まってみたら、どっぷりハマってしまったというわけなんです(笑)。久しぶりに出かけたというのも大きかったかもしれないけれど、本当に楽しかったんです。

●ひとりがこんなに楽しいなんて!ビジホでサイコーにリフレッシュできた

――なるほど! 実際に泊まってみたら、たくさんの魅力に気づいてしまった?

ぴや子:そうなんです! いま思い返しても衝撃で、「なんなの!? ここは」みたいな感じで(笑)。しかも高級ホテルと違って、懐にやさしい値段なところもいい。安いぶん、サービスも最小限というイメージがあるかもしれませんが、とんでもない!

ぴや子:“あると助かる”ものはほぼ完備され、規模感が丁度よく、寝るだけじゃもったいない超快適な時間を過ごせます。着替えやアメニティも充実しているから、思い立ったら手ぶらで行けてしまうのもいいですよね。

●ひとりの時間も、みんなとの時間も幸せ

――ビジホステイを始めて、なにか変化はありましたか?

ぴや子:いちばん変わったのは「自分自身」ですね。私、これまでほとんどひとりホテルステイや旅行をする機会がなかったのですが、ビジホに泊まって「ひとりってサイコー!」と心から思えました。だれの目も気にせず自由に過ごせる解放感もさることながら、いつもと違う環境にひとりで身を置くと、自分と素直に向き合えるようになるんです。この贅沢な時間を自分でつくり出しているという自信のようなものも生まれた気がしますし。同時に、「だれかと過ごすのもサイコー! 周りの人たちを大切にしよう」という気持ちも芽生えたんです。
「ひとりで過ごすなんてさみしい、恥ずかしい」という声をよく聞く反面、「ひとりで過ごせないなんてお子ちゃま」みたいに上から目線の意見もありますよね。私はそんなのどうでもよくて、ひとりでも、大勢でワイワイもどちらも好き。それぞれのよさを発見してからは、幸せ感が倍増しました。この幸せや楽しみを、いろいろな人たちと分かち合いたいとYouTubeに投稿してからは、変化のスピードもますます速まって…。ビジホステイを始めて、人生が大きく動き出したのをひしひしと感じています。だって、こうやって「取材」なんか受けちゃっているんですから。

 

『日本全国オトナのごほうびビジホ旅』(ワニブックス刊)では、ぴや子さんの全国47都道府県ビジホガイドが紹介されています。