長く快適に住める家にするには、10年20年後の暮らしをイメージすることも大事。10か月前に工務店で注文住宅を建てた日刊住まいライターは、夫婦ともに40代。老後も上り下りがラクにできるよう、ゆるやかな階段にしました。しかし住み始めると、想定していなかった2つの危険にヒヤヒヤ。その理由を語ります。

家づくりでは老後も安心して暮らせることを重視

筆者は夫と子ども2人(小学3年生と6年生)の4人家族。10か月前に工務店で延床面積39坪、2階建ての家を建てました。

筆者も夫も40代。新しい家を建てる際、老後も安心して暮らせる家にすることを重視しました。とくに階段は、歳をとっても暮らしやすいよう、上り下りの負担を少なくしたいと思ったのです。

ネットで調べると、階段はゆるやかにすると、上り下りの負担が減るとのこと。また、建物の安全を確保するための法律(建築基準法)では、階段の上り下りが安全にできるよう、蹴上(けあげ、1段の高さ)23cm以下、踏面(ふみづら、足を乗せる段板の奥行き)15cm以上となっていることがわかりました。

そこで、工務店に階段の蹴上は18cm、踏面は25〜30cmで依頼。さらに滑り止めと手すりもつけることにしました。

階段のある場所には、自然光が入ってくる大きな窓をつくったので、昼間はとても明るいです。また夜も、階段の壁につけた2か所のセンサーライトと、階段下の玄関フロアのセンサーライトが、明るく照らしてくれます。昼も夜も足元が明るくしたことで、階段を安全に上り下りできる環境を整えました。

見た目にもこだわり、玄関から見える階段の手すりはおしゃれなアイアンにものに。これで階段については完ぺきだと思っていました。しかし、住み始めると2つの想定外の問題が浮上したのです。

子ども部屋の出入り口すぐ近くまで階段が!

階段の蹴上を標準より低くして、ゆったりとした階段にしたことで、上り下りしやすくはなりました。ですが階段の段数が14段から16段に増え、当初の提案より階段が長くなってしまったのです。

階段の上り下りの便利さばかりを気にして、段数が増えることのデメリットまでは気が回りませんでした。

 

初めてでき上った家を見たとき、階段を上がってすぐの場所に、子ども部屋の出入り口があることに驚きました。図面で確認したとき、こんなに近くなることを見落としていたのです。

工務店は、要望どおりゆるやかな階段になるように、がんばってくれたのでしょう。ですが、段数を多くして長くなった結果、2階の廊下が短くなり、ドア付近のスペースに余裕がなくなってしまいました。

その結果、ドアから飛び出す子どもと衝突したり、寝ぼけた子どもが階段からころげ落ちたりしないかという新たな心配が。

子どもには、「部屋を出るとすぐ階段があるので気をつけるよう」「手すりにつかまって下りるように」と注意しています。

下3段が三角形の踏面が危ない!夫が踏みはずす事件発生

わが家の階段の下3段は回り階段を採用しています。そしてその部分の踏面は、三角形です。

新居に引っ越してまもなく、2階から1階へ下りようとした夫が、階段で転ぶという事故が発生しました。階段の下3段での出来事。夫は三角形の踏面の狭い方に乗ってしまい、体勢を崩して滑って転んだとのこと。まさか、ゆるやかな階段でもこんなことが起きるとは!

筆者は、階段の蹴上と踏面のサイズを指定しましたが、間取りとの兼ね合いで、収まりがどうなるかまではチェックしていなかったのです。

実際に住んでみてわかったことは、階段の段差だけでなく、踏み板の形状も重要だったということです。まさか、この三角形の回り階段が、後悔ポイントになるとは想定外でした。

幸い夫は大事には至りませんでしたが、それ以来、家族は下3段の三角の踏み板には注意して、面積の広い踏み板に足を乗せて上り下りしています。

 

三角形の踏面は掃除もしにくい!

また、この形状は直角ではないので、掃除がやりにくいです。掃除機のノズルを交換しなくては隅々まで掃除できず残念!

階段の形状もよく考えておくべきでした。できることなら、回り階段の部分も三角形ではなく四角形になっていたらよかった。

ゆるやかな階段にしたことに後悔はありません。しかし、階段が長くなることと、三角形の踏面については、設計時にもう少し慎重に検討していればよかったと思っています。