ESSEonlineで2023年11月に公開された記事のなかから、ランキングTOP10入りした記事のひとつを紹介します。

年齢を重ねて、ますますチャーミングな輝きを増す風吹ジュンさん。プライベートでは中国茶好きが高じて山岳地帯を旅したり、剱岳登山に挑戦したり…。新しい楽しみに挑戦を続ける、しなやかな感性を保つ工夫や、年齢とともに増えがちなものとの向き合い方を教わりました。

記事の初出は2023年11月。内容は取材時の状況です。

自分のペースで楽しめるようになるのは50代を過ぎてから

日々の心構え、体と心のケア、買い物の仕方…。“今の自分”にとって心地よい暮らしをかなえるには、年齢に応じた見直しが必要。風吹ジュンさんに今回は、“ものの持ち方 手放し方”について伺いました。

●趣味を楽しみつつも、ものを減らす工夫を

「私たちの世代にとっては、まさに今の課題ですよね。同年代の友人を見ていても、みんな暮らしをコンパクトにしています。ただ、私は登山が趣味なので、どうしても登山グッズが増えてしまって。それでも靴は普段の街歩きにも履けるようなおしゃれなものを探したりして、ものを持ちすぎないようにしています」

登山のおもしろさに目覚めたのは、60代のとき。同窓会で登山をする同級生に再会したのをきっかけに、故郷である富山県の立山連峰をはじめ、あちこちの山へ登るように。67歳では、難易度の高さで知られる北アルプスの剱岳にもチャレンジ。“動ける体”をつくるために普段の買い物でも2駅分歩いて行くなど、日常的に体を動かすよう心がけています。

「今年の秋に撮影で京都に滞在したときも、ネットで調べたうどん屋さんへ歩いて行ったら満席で、別の店を探してまた歩いて…。せっかくだから近くのお寺にも行ってみようかな? と寄り道しているうちに、3km以上は歩いていたかな? 単なるお散歩も、ちょっと先に楽しみを見つければ、長い距離もあっという間に歩けますね」

●ゆとりが生まれる50代以降は“気づきの年”

体づくりの原動力は、「知りたい」「行ってみたい」という好奇心。

「『あの山に登ってみたい』という目標があるからこそ、そこに向かって日々の体づくりもがんばれるし、気力もわいてくる。50代のときも中国茶にハマって、お茶の産地である中国の山岳地帯を巡る旅をしていました。登っているときは苦しいけど、ランニングハイのようにふっと体が軽くなる瞬間があるんですよね。さっきまでは息を切らしていたのに、また前に進もうと思える。もちろん、私も、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)に悩まされたり、肩の腱が切れたり…と、年齢なりの不調をあちこちに抱えています。でも、どうしたらラクになるかを研究しながら“一病息災”の考えでやっていくしかないですよね」

年齢を重ねると新しいことがおっくうになりがちですが、風吹さんの場合は何歳になっても「もっと知りたい」という欲求が絶えないそう。そんなふうに好奇心を保ち続けるための秘訣はあるのでしょうか。

「私は、人間が未熟だから(笑)。なにを見ても楽しいし、退屈しないの。家にいるときも、買ったまま忘れていた本を引っぱり出して読むだけで楽しい。でもやっぱり、30代や40代のときは、そんなふうに感じる暇はありませんでしたね。仕事も子育ても周りに合わせないといけないし、自分のペースではできないから。時間にも心にも余裕ができて、“気づきの年”が始まるのが、50代・60代・70代なんだと思います」

 

風吹ジュンさんが表紙の『これからの暮らし by ESSE vol.06』(扶桑社刊)では、風吹さんのさらに詳しいインタビューを掲載しています。