GoogleやMeta、Microsoftなどの大手テクノロジー企業がAI開発を積極的に行っている一方、AppleはAIについて保守的であり、AI開発競争に出遅れているという見方もされています。そんなAppleが2023年12月、自社製プロセッサのAppleシリコン用の機械学習フレームワーク「MLX」をソフトウェア開発プラットフォームのGitHubで公開しました。

GitHub - ml-explore/mlx: MLX: An array framework for Apple silicon

https://github.com/ml-explore/mlx



Apple launches MLX machine-learning framework for Apple Silicon | Computerworld

https://www.computerworld.com/article/3711408/apple-launches-mlx-machine-learning-framework-for-apple-silicon.html

Apple drops new MLX machine learning framework for Apple silicon Macs - 9to5Mac

https://9to5mac.com/2023/12/06/mlx-machine-learning-apple-silicon-mac/

Apple joins AI fray with release of model framework - The Verge

https://www.theverge.com/2023/12/6/23990678/apple-foundation-models-generative-ai-mlx

多くの人々は「AppleはAIに対して消極的だ」と考えていましたが、2023年7月にはAppleが社内業務において独自のチャットAI「Apple GPT」を活用していることが報じられたほか、11月にはティム・クックCEOが「Appleは生成AIの研究を進めています。それがどういったものかを詳細に説明することはできませんが、私たちがこの分野に投資していることは間違いありません」と発言しました。

Appleのティム・クックCEOが改めて「生成AIの開発に責任をもって取り組んでいる」と発言 - GIGAZINE



そして12月、Appleは突如として機械学習フレームワークのXLMを発表し、ソースコードをGitHubで公開しました。Appleの機械学習研究者であるAwni Hannun氏はX(旧Twitter)へのポストで、「ちょうどホリデーシーズンに間に合うように、Appleの機械学習研究チームから新しいソフトウェアをリリースします。MLXは、Appleシリコン(つまりノートPC)向けに特別に設計された効率的な機械学習フレームワークです」と述べています。



MLXに関するドキュメントによると、MLXはAppleシリコン上での効率的かつ柔軟な機械学習のために設計されたNumPyライクなフレームワークであり、Python APIはいくつかの例外を除いてNumPyに厳密に従っているとのこと。

Appleは、「MLXは機械学習研究者が、機械学習研究者のために設計したものです。このフレームワークはユーザーフレンドリーでありながら、モデルのトレーニングとデプロイを効率的に行うことを目的としています。フレームワーク自体の設計も概念的に単純です。私たちは、研究者がMLXを簡単に拡張および改善できるようにし、新しいアイデアを迅速に探求することを目指しています」と述べています。

MLXの設計にはPyTorch、Jax、ArrayFireなどのフレームワークが影響を与えていますが、これらとMLXが大きく違う点はMLXがAppleシリコンの「ユニファイドメモリ向けのモデル」であるという点です。MLXのアレイは共有メモリに存在するため、操作時にいちいちデータをコピーすることなく、サポートしている任意のデバイス(記事作成時点ではCPUとGPU)で実行可能となっています。

また、Hannun氏はMLXを使用することで、Llamaの実行・Transformer言語モデルのトレーニングやLoRAによる微調整・Mistralによるテキスト生成・Stable Diffusionを用いた画像生成・Whisperによる音声認識などが可能だと説明しました。