アート引越センター(写真:西村尚己/アフロ)

写真拡大

アート引越センター(大阪市)の引っ越し用段ボールに「奥様メモ」という欄が存在している――。そんな情報がX(旧ツイッター)に投稿され、「前時代的すぎる」「ジェンダーバイアス」などと物議を醸している。

同社広報宣伝部はJ-CASTニュースの取材に対し、「決してご家族の中でも奥様だけがお引っ越しに関わるものという認識や、お一人住まいのお客様を除外するという思いで記載していたものではございません」と説明した。

「創業した1976年当時より、お引っ越しはご家族世帯の中でも奥様が主体となってご準備されることが多く...」

アート引越センター引っ越しした際、段ボールに「奥様メモ」という欄があり驚いたという投稿が2023年10月下旬にXであり、議論を呼んだ。「前時代的すぎる」「ジェンダーバイアス」「単身者でも違和感ある」「性別役割分業の観点以外にも、配偶者との離婚や死別をきっかけに引っ越す人もいるでしょうに」「単純に『メモ』でいいのでは」「夫は引っ越しはしないのかな?」といったコメントが寄せられている。

一体どのような意図で「奥様メモ」という欄を作成したのか。アート引越センターの広報宣伝部は31日、J-CASTニュースの取材に対し、「決してご家族の中でも奥様だけがお引っ越しに関わるものという認識や、お一人住まいのお客様を除外するという思いで記載していたものではございません」と回答した。

「創業した1976年当時より、お引っ越しはご家族世帯の中でも奥様が主体となってご準備されることが多く、ご負担も大きいものでしたので、当社はそのご負担を軽減すべく、様々なサービスや資材を開発して参りました」として、梱包用資材に自分で内容物を記載する部分であることがわかりやすくなるように「奥様メモ」と表示していたという。

現在は順次資材を切り替えている

「奥様メモ」がいつから存在しているかは明確に回答できないとし、「1976年頃以来お客様の利便性を考えて」設けているとした。

Xで寄せられている「前近代的」「ジェンダーバイアス」などという意見に対する受け止めや今後「奥様メモ」を廃止する予定があるかについては、次のように回答した。

「お客様の中でも主体的に動かれてきた方に寄り添う思いとして記載していた『奥様』という言葉ですが、近年の家族のあり方、生活様式のあり方の変化に伴い、そぐわない言葉になっていることは当社でも認識しており、こうした対象者を特定するような言葉を使用している部分については見直しをして数年前より順次変更しております」

資材の記載欄は既に「内容メモ」に変更し、現在は順次資材を切り替えているという。

「創業時より、引っ越しをお住いのご家財をただ移動するだけではなく、お客様の人生そのものをお運びするものと捉え、新生活を気持ちよく迎えていただけるようサポートしたいという思いは変わりませんので、これからもお客様に寄り添ったサービスを提供して参りたいと考えています」