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 1.FSVマインツ05はアンワル・エル・ガジに対して、無期限の出禁処分を科す判断を下した。同選手はスクリーンショットを通じて自身のインスタグラムに、パレスチナ組織ハマスによって攻撃を受けたイスラエルが、その反動で大量虐殺を行なっていると批判。これに対してドイツ当局では反ユダヤ主義の疑惑が持たれているところ。

 そんな中でクラブは話し合いを行なったことを強調した上で、「エル・ガジは中東紛争に関し、クラブにとっては容認できない立場をとった」と発表。「マインツは何十年にもわたって続く複雑な中東紛争について、さまざまな見方があることを尊重してはいますが、ただ今回の投稿内容はクラブの価値観とは相容れないものがあったために明確に距離を置くものです」なおマインツの創設メンバーの1人は、後にアウシュビッツ強制収容所で殺害される、オイゲン・サロモン氏。

マズラウイの判断は?

 一方でこれにより風邪を患っているロビン・ツェントナー、ゼップ・ファン・デン・ベルフとともに、土曜日のバイエルン戦で欠場となったエル・ガジだが、果たして今夏に加入してここまで3試合に出場している28歳について中期的にどういった判断を下すことになるのか、それは現時点ではまだクラブ側は明らかにはしていない。ただどうやら即座にも移籍させたいようだがFIFAの規約で、1人の選手が1シーズンに2つのクラブで公式戦に出場できるのは最大2回までのため、今夏にPSVから加入した同選手は今季はマインツでのみプレー可能となる。

エル・ガジの今後は不明

 同様にアイサ・ライドゥニ(ウニオン)、クラウス・ジャスラ(ダルムシュタット)そして、ヌゼア・マズラウイについてもインスタグラムへの投稿により物議を醸しており、ひとまずバイエルン首脳陣はまず代表戦から戻ってきてから「詳細な話し合い」を行う予定。

 ただコーラン・スーラも引用する形でパレスチナ人の勝利を願う投稿を行い、その一方でその後に暴力やテロリズムの賛美からは距離を置くなど、こちらは解釈の余地がある内容だけにその判断の行方は読めない。加えてバイエルンの場合もまたマインツと同様にクラブとユダヤ人とのルーツ、そして今夏に加入したイスラエル代表ペレツとの兼ね合いについても考えなくてはならないだろう。

アタルは謝罪もニースは謹慎処分

 ちなみにフランス1部リーグ・アンのOGCニースは、イスラエルに対する敵対的な投稿を共有したユーセフ・アタルに対してをひとまず期限を設けず謹慎処分とした。選手側はすでは謝罪していたが、クラブは彼の行動がクラブの価値観に違反したと判断からそのような処分が下されており、またニース検察庁はすでに「テロ賛美と、特定の宗教に基づく憎悪や暴力への公衆の扇動」に関する予備捜査を開始した。

ベンセバイニがお咎めなしの理由

 ドルトムント所属のアルジェリア代表DFラミー・ベンセバイニ選手が、Instagramにアルジェリアとパレスチナの国旗がデザインされたマフラーを身に着けた写真を投稿。ドルトムントはすぐに選手に確認をとり、「アルジェリアはパレスチナと密接な関係にある。代表チームはスカーフによって、ガザの民間人犠牲者への哀悼の意を表明した。その多くは子供たち。ラミーは個人的な会話の中で、パレスチナ人とのみ連帯を示すと確約した」とレルヒャー反差別担当。「パレスチナの民間人の犠牲を嘆き、彼らと連帯している」と強調している。「イスラエルや反ユダヤ主義に対する憎悪や暴力を呼びかけることとは異なるものです」