掲載:THE FIRST TIMES

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昨年の秋にインターネットシーンに突如、現れた覆面アーティスト“TiU(ティーユー)”。共同プロデューサーにJQ(Nulbarich)を迎えた第1弾楽曲「HAPPY HUMAN」で“MUSIC TRAVEL STORY”の始まりを宣言した彼は、第2弾楽曲「NBDK feat.梅田サイファー(peko、KOPERU& KennyDoes)」では梅田サイファーの面々と“仲間の尊さ”を語り合い、第3弾曲「PLEASURE SONG」では4人組のブラスバンドグループであるMOSと共に歓びと自由を表現。素性を一切明かさず、顔を隠したまま活動してきたTiUだが、メジャーデビュー作となる1stEP『SHOW TiME』のリリースを機に、謎に包まれた正体が明かされることとなった。TiUとは、映画『モエカレはオレンジ色』やドラマ「転職の魔王様」などに出演していた俳優の藤原大祐だったのだ──。なぜ彼はプロフィールや素顔を隠したままで音楽活動を始めたのか。その理由と原動力を聞いた。

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■音楽で自分の思ってること、感じていることを表現したいっていうのが強くあった

──まず、音楽活動を始めたきっかけから聞かせてください。

もともと2歳半からクラシックピアノをやっていて、10歳のときにジャズピアノに切り替えたんですけど、ずっとピアノは続けていて。もともとルーツは音楽にあったんですね。歌うことも好きで、役者としてデビューする前から、ボイトレも受けてて。たまたま役者のお仕事が先行することになったんですけど、事務所の方にも音楽活動の話はずっとしていて。そんな中でコロナ禍になって、自粛期間中に1年間、家にいたときに、この時間をどう使えるかが、今後の僕の人生を変えるなっていうふうに思って。その期間に作曲を始めたんですよ。国内と海外のチャートに入ってる曲を分解して、分析するところから始めて、僕の中での方程式を作って。

──そこでわかったことはなんでしたか?

具体的に言っちゃうと種明かしになってしまうので(笑)、抽象的にいうと、音楽的にキャッチーなことですかね。リスナーに寄り添うことが大事だし、結局は、気づいたら口ずさんじゃってるような曲が素晴らしいということ。あとは、“音楽は空白の芸術なんだ”という気づきもありました。音で隙間を区切って行って、部屋を作っていく。その部屋でどう人間をノらせるか。それが音楽なのかも知れないと。最初の1曲目が出来上がったタイミングで、事務所のマネージャーさんとスタッフさん、社長に聴いてもらって、この物語を始めました。

──最初から歌うだけでなく、作詞作曲も自分でやるという思考だったんですね。

そうですね。作詞作曲は全部、自分でやりたいっていうこだわりは強かったです。僕は、自分の思いを届けられるところが音楽だっていう認識があって。役者は、お仕事をいただいて、その役を全うする。その役を生きるっていうところで、藤原大祐としての発言がエンタメになるわけじゃない。だから、音楽で自分の思ってること、感じていることを表現したいっていうのが強くあって。それに、どこまでいっても役者が単に音楽を始めたっていうふうに言われちゃうと思うんですけど、こんだけ音楽が好きで、こんだけこだわってんだってところを知ってもらいたいっていうところで、完全に自分でやりたいっていうのもありましたね。

──名前も隠して顔も素性を明かさずに始めたのは?

それも同じような理由ですね。役者というフィルターを通してほしくなかった。音だけで1回勝負したかったっていうことがいちばん大きかったですね。そんな名もなきアーティストなのに、JQさんに参加していただいて。得るものはとても大きかったですし、スタートに出会えたことが、僕にとってはとても貴重な経験になりました。

──JQさんとはどんなやりとりをしたんですか。

僕のデータをお送りしたら、BPMが12上がって、違う場所にあった歌詞とメロディが違う場所に差し込まれて帰ってきて。正直、チーム全員が“こんな曲だったっけ!? ”ってめちゃくちゃ驚いて(笑)。でも、それが正解な気がしたし、(楽曲の)上物に関しては、僕の好きなものとJQさんの好きなものをラリーしながら、今の形に仕上げていって。JQさんじゃなかったら絶対にこの仕上がりにはなってなかったなって思いますね。

──「HAPPY HUMAN」にはどんな思いを込めましたか。

僕の根底には、世の中が幸せなことだけだったらいいけど、そうじゃないのが現実だっていう考えがあって。表裏一体の世の中で、幸せの総量と不幸の総量は同じな気がしてるんですね。誰かが幸せになった分、誰かが不幸になるのがこの世界だと思ってるんですよ。誰が稼いだら誰かが稼げなくなる。それが世の中の真理だと思うんですけど、その不幸なことの中に少しでも光を見出せたら、人生はもっと幸せになるなと思って。それが僕、TiUの根底にある考え方ですね。あとは、どんな人でも、人の子で、幼少期があって。絶対みんな、かわいい時期があったと思う。悲しい人でも、幸せな人でも、良い人でも、悪い人でも、みんな結局はHUPPY HUMANなんだよってことを伝えたくて作りました。

──第1弾からちゃんとリスナーに向かって歌ってますよね。聴き手の存在というものをしっかりと意識してるというか。

チャートの音楽を分解してるときから、なぜかお客さんの顔が見えたんですよ。僕がその曲を歌って、目の前にお客さんがいるのがなぜか見えた。それがしたいっていうのが、僕の最初の原動力ですね。ただ楽曲制作を経験していくうえで、その方向は変わってはいるんですけど、特に「HAPPY HUMAN」は、自分の思いをどう届けるかっていうことをフィーチャーしています。

──笑い声から始まりますね。

この笑い声から始めるのは僕の最初のデモからあって。ただ、TiUとして最初に言う言葉は“Bye! ”なんです。“こんにちは”じゃなくて、“さよなら”って言って始めたかったんです。

──どうして幸せ探しの音楽の旅を“さよなら”から始めましたか。

世の中に対して、ちょっとモヤっとすることもあるじゃないですか。そういう世の中に“さよなら”と言って、前を向いて先に行こうよっていう思いが込められています。でも、HUPPY HUMANだから、“あれ? ちょっと今、笑った?”みたいなのが欲しくて、笑い声から始めたんですよ。

──実際に配信されてどんなことを感じましたか。

ありがたいことにラジオでかけていただいたり、JQさんのおかげで、いろんな方に聴いていただけて。「前向きになれる」とか、「“Happy Human”というワードがいいとか」、言ってもらえたりしました。最初のデモでは“Happy Human”というフレーズは歌詞に入ってなかったんですよ。でも、なぜかタイトルだけ『HAPPY HUMAN』になって。それを気に入ってくださったチームのみんなが『HAPPY HUMAN』を出したいって言って、1曲目になったんですけど、世の中の皆さんも“Happy Human”というワードにビビッときてもらえて、リアクションはかなり良かったんで、僕的にもすごくうれしかったですね。

■“Happy Human”、それは不幸せを忘れること

──自分もみんなも“Happy Human”だっていう曲ですが、TiUさんにとっての幸せっていうのはなんですか?

うーん、不幸せを忘れることですかね。僕はこの旅を通して、いろんな紆余曲折があって。マイナスなこともあったし、失敗もしちゃったけど、全部をプラスに変えて、一歩一歩進めてこれた感覚があるんです。トラブルが起きても、それを逆手に取って、少しずつ前に進んできた。振り返ってみると全部、幸せだったんで、幸せってそういうことなのかなと思います。

──EP収録曲の「NAA-NA-NAA」で“どっちを通ってもNoはない”って歌ってますしね。

そうですね。さっきの話で言うと、お客さんに向けた曲っていうパーセンテージが、「HAPPY HUMAN」が50%だとすると、終盤に作ってる「NAA-NA-NAA」は80%ぐらい自分に対して歌ってるんですよね。そこの変化が大きいかもしれないです。

──新曲についてはまた後でおうかがいしたいんですが、「HAPPY HUMAN」の後にリリースされた2曲目「NBDK feat.梅田サイファー(peko, KOPERU & KennyDoes)」は、梅田サイファーのpeko、KOPERU、KennyDoesの3名をフィーチャリングアーティストとして迎えてます。

旅のスタートが「HAPPY HUMAN」で、次の曲は旅路。旅を進んでる途中の歌を作ろうということで、仲間という存在をメインテーマにして作った曲です。僕はソロアーティストではあるものの、支えてもらう人がいるありがたみをどんどん感じてて。それを曲にしたいなっていうところから始まって。仲間とのし上がってきたアーティストって誰だろうって考えたときに、真っ先に出てきたのが、梅田サイファーの皆さん。すごく好きで尊敬してるアーティスト集団なので、駄目もとでオファーしたところ、快くOKいただいて、実現したっていう感じですね。

──サウンド的には80年代風のシンセポップになってますよね。

僕の中で「NBDK」は、このEPの中で異質な存在な気がしていて。僕のジャンルではないんですけど、だからこそ、挑戦してみたかったし、楽しかったなっていうのがあって。それも実は、今回のプロジェクトのテーマの一つだったんです。誰かに協力していただくという意味で、コラボレーションをすること。そして、同じサウンドで作り上げていくアーティストさんもいれば、変えていくアーティストさんもいて。僕は変幻自在でいたい。役者という面があるからこそ、自分のいろんな感情をいろんな形で曲として表現していくのが楽しいなって気づいたので。ちょっと挑戦してみたんですけど、キャッチーでいい感じになったなと思いました。

──3曲目のコラボレーションアーティストは吹奏楽とダンスを融合させた女性4人組のブラスバンドグループ、MOSでした。

JQさん、梅田サイファーのお三方と先輩方だったんで、同世代で活躍されている方とご一緒したいなってところから、MOSの皆さんにオファーしました。MOSさんには、本当に刺激をもらいましたね。同世代で、女性の4人組で、あれだけの熱量があって。ブラスだけで勝負してるうえに、演奏するだけじゃなくて、踊ってもいる。僕からしたら本当にすごい才能の塊だなっていうふうに思ったし、これからも機会があれば、一緒にパフォーマンスできたらなっていう思いもありますね。

──楽曲はどう考えてましたか。ゴスペルっぽいムードがありますよね。

そうですね。全体としては、「HAPPY HUMAN」が始まりで、「NBDK feat.梅田サイファー(peko, KOPERU & KennyDoes)」が中盤で、これは一つの区切り、旅の終盤に向かっていく曲なんですよ。そこに対しての喜びと、僕の中にある“人生は喜びだ”っていうテーマを掛け合わせた曲であって。なんとなく、ゴスペル要素も入れていきたいっていうイメージは最初からありました。

──そこに、ベートーヴェンの「交響曲第9番ニ短調作品125」(通称:第九)」がサンプリングされてます。

チームの中から出たアイデアだったんですけど、めちゃくちゃ聴いたことがある音をどうポップスに入れ込み、しかも、負けないか。あのメロディが立ちすぎて負けちゃったら、悔しいので、ベートーヴェンをどう落とし込むかってところがいちばんの難関ポイントではあって。ベートーヴェンをサンプリングするにあたって、クラシックを一から勉強して、最初に出来上がった曲は、自分で打ち込んだオーケストラが入っていて。壮大ではあったんですけど、ちょっと陰の要素が強くなっちゃって。これじゃないねって作り直した結果、すごくハッピーな曲になってよかったなと思います。

──TiUには陰の要素もあるんですか。

このEPに入れなかったっていうことが、ある意味では、テーマではありますね。バラードもあるけど、今回は入れなかったっていう。そこにも実はいろいろストーリーがあるんですけど、それはリリースしたときにお伝えしたいなって思います。

──バラードは今後の楽しみとしてとっておきますが、先ほど、“人生は喜びだ”とおっしゃってました。それはご自身のテーマみたいなものですか。

最近、命に対して、ちょっと暗いニュースが多いじゃないですか。それが僕は嫌なんです。いいことないじゃんと思っちゃうんですよ、死ぬことに。僕は生きてることだけでも幸せなんだよって思う。みんな、幸せの基準を高く持ちすぎてる気がしてて。もっと身近なことに幸せはあるんじゃないかって。“何気なく咲く花を見ずに歩いてるんじゃない”っていうフレーズが曲中にもありますけど、僕はたまに“こんなところに花が咲いてる!”ってうれしくなることがあるんですよ。それってもっといろんなことに置き換えられるし、みんなもっと気づいてよっていう曲ですね。

──そして、EPのタイトル『SHOW TiME』にも通じる新曲「POP SHOW」が先行配信されてます。どんなところから作った曲でした。

これはEPの他の6曲と違って、対象を100%お客さんにしてるんですよ。全く自分について喋ってない。それがこの曲のメインテーマで、本当にライブだけを意識して。ライブでお客さんを楽しませる曲を作りたいというところから始まって。

──ライブ会場が僕たちの理想郷だってことですよね。

まさにそう。帰ってくる場所でもあり、楽しみにする理想郷でもある。TiU=ショーマンっていうところがメインテーマにあるんですけど、常にライブを意識していたいんです。いちばん生の声を届けられる場所だし、お客さんと心を一つにできる場所だと思うので、そういう思いで作りましたね。

■陰も陽も、喜怒哀楽も、どんなことも全部をショーにしたい

──TiU=ショーマンだから、「SHOW TiME」というタイトルなんですね。

そうですね。陰も陽も、喜怒哀楽も、どんなことも全部をショーにしたい。ショーに還元して、誰かの人生の中で、そのつぼみが花咲いてくれたらいいなっていう思いがあります。あとは、“正体を晒す”の“正体”ともかかってますね。

──それは気づかなかった! このタイミングで正体を明かすことにしたのはどうして?

もともと、インディーズで始めて、顔を出すっていうことが決まってて。実はもっと前に出す予定だったんですけど、いろんなタイミングが重なってこの時期になって。でも、最初に僕が「10代のうちにデビューしたい」っていうことを強く願ってて。それを覚えてくれたチームの皆さんが、10代最後の日にデビューさせてくれて、20代最初の日にライブをするっていうドラマを作り上げてくださったので、このタイミングにすることになりました。

──10代最後の日である10月4日にメジャーデビューすることに関しては、今、どんな心境ですか。

チームの思いがうれしいですよね。10代のうちにデビューしたいっていうことを叶えてくえて。僕のドラマとしてうれしいなっていう感覚です。

──メジャーデビュー作となる1st EPはどんな作品にしたいと考えてました。

最初のEPですし、メジャーデビューのEPですし、ちょっと伝説にしたいなっていう気持ちはありました。どこまで音楽活動を続けても、「結局、このEPが良くない!?」って帰ってくる場所にもしたいし、ずっと愛される曲になってくれたらうれしいなっていう気持ちでいましたね」

──EPの1曲目は始まりの曲である「HAPPY HUMAN」ではなく、「JUST SOMETHING BEAUTIFUL」からスタートします。

旅に出る前のエピソード0ですね。起点をどこに置くかっていうところをすごく悩んだんですよ。何を0にするか。僕がこの活動してる意味とか、何のために音楽活動を始めたのかとか、僕の求めるものとか。それを曲にするのがいちばん気持ちいいなと思ったんですよ。旅に出るきっかけを考えて、考え抜いた末に、答えが出なかった。『いや、なんか、具体的に言えないな…』ってなったのを曲にしたっていう感じです。日本語訳だと「ただ美しい何か」になるんですけど、なんかわかんないけど、ただ美しい何かを求めてるっていう、今のこの気持ちを曲にしようっていうところから始まって。

──今はどんなものに美しさを感じますか。

全部、美しいって思っちゃうんですよね。悲しくて泣いてることも美しいし、喜んでることも美しいし。結局、全部、美しい。この世界って美しいなっていう感覚です。ただ、実はハッピーな曲ではないんですよ。サウンドは明るくしてるけど、最初にもお話しした通り、世の中は表裏一体で、幸せな人がいる分、不幸せな人がいる。いろんな現実を突きつけながら、でも、その中にも美しさがあるんじゃないかっていう、希望を描きたかったんですよね。

■いい子ちゃんを演じちゃうところがあって。そんな自分にさよならしたいっていう曲

──6曲目に収録されたファンクポップ「TAKE IT OFF ALREADY」では、嘘と本当、善と悪の両面を描きながら、仮面を外す決意を表明してます。

日本語訳は「もうそれ、外せよ」みたいな意味になるんですけど、仮面を外す、正体を明かすっていう意味と、本性をさらけ出すっていう思いも込めてて。僕は役者として活動していく中で、素の部分でなんとなく取り繕っちゃうところがあって。評価される仕事だからこそ、どうしてもよく見られたいから、いい子ちゃんを演じちゃうところがあって。そんな自分にさよならしたいっていう曲で、これは本当に自分に向き合ってます。

──そして、最後に「NAA-NA-NAA」で締め括られます。

この旅をしていく最後の曲なんで、1回旅を振り返りたいなと思って。成功した先にも失敗はあるし、失敗した先にも成功があるし。流行り廃りも全部が輪になってる気がしてるので、一本道ではなく、輪にしたいという思いで作っていて。うまくいったこともあれば、うまくいかなかったこともあった。どうしてもこだわり過ぎちゃうし、頑張りすぎちゃう性格なんで、「適当でいいよ」って自分に言ってあげたいっていう曲です。タイトルもどうやったらいちばん適当になるかなって考えたときに、「NAA-NA-NAA」が降りてきて。サビも“NAA-NA-NAA”しか言ってない(笑)。これは本当に自分に対して言ってあげたい言葉、自分が欲しい言葉を入れたっていう感じですね。

──でも、みんなで歌える曲にもなってますね。

そうですね。それもテーマの一つではあります。みんなでみんなを認め合えて、ライブが盛り上がるといいなっていう思いですね。

──この7曲で一つの旅路は終わる?

旅は終わらないんですよ。1曲目の歌詞に“もはやゴールなんていらないよ”ってある通りにゴールは欲しくないんです。僕が死んでも、曲は生きててほしい。それが音楽の魅力だと思うんで、いつまでも終わらない旅でありたい。ただ、顔を出すという、インディーズからメジャーっていうところの節目という意味で、「NAA-NA-NAA」で終わってるんですけど、ここからまたどんどんリリースしていくので、旅路は続きます。

──完成してご自身ではどんな感想を持ちましたか。

今の僕にできる最大の曲ができたんじゃないかなっていう思いですね。あんまり僕、100点つけないんですよ。ほとんど納得いかなくて、“もっと”って思うけど、今回の曲に関しては100点つけちゃうかもしれないです。これが、世の中の人に届いたときに、どんな反応なのかがすごく楽しみで、興味深いです。これが全く受け入れられなかったら、今の僕は、ずれてるんだって思うし、受け入れられたら今のまま進んでいくし。やっぱ音楽は奏でるだけじゃなくて、届かないと意味がないと思うので。ここからどう届いていくのかっていうのが楽しみですね。

──その後の旅はどう考えてますか。

もちろん、どんどん大きくなりたいし、たくさんの人に知ってもらいたいけど、今の僕の思いとしては、この旅を通して、願いが身近になってきてて。まずは1人に知ってもらいたい。1人に知ってもらって、好きになってもらって、またライブに行きたいって思ってもらうことが、いつか大きくなってるんじゃないかなって思う。だから、もちろん、急ぐけど、焦らずに急いで、一歩一歩進んでいけたらなって思いますね。

■僕自身の人生を今後、謳歌していくことが、厚みが出ていくことにつながると思う

──EPを1枚作って、何か見えたものはありますか。

インディーズ期間が1年間あったからこそ、軸を作る期間になったなと思います。この旅を通して、やっと今、軸ができてきた。それは何かというと、イージーでディフィカルトでいたいんですよ。簡単に聴けるけど、掘ったら深さのある曲を作っていきたいっていう思いが強くて。イージーのほうは誰でも作れるんですけど、深いほうは、僕自身の経験や人生が反映されていくと思うんです。僕は今19歳で、全然まだまだ薄っぺらいんですよ。たとえば、JQさんと会うと、その器の大きさに圧倒されて、自分はまだまだだなって思うので。人間っていうところにフォーカスをして、僕自身の人生を今後、謳歌していくことが、厚みが出ていくことにつながると思う。リアルを追求して、そのリアルをいかに美しく表現できるかっていうことをテーマに今後もやっていきたいなと思いますね。いいことも悪いことも、泥臭いことも、全部美しいに昇華して音に落とし込んでいくのがTiUなのかなって思ってます。

INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ

リリース情報
2023.10.4 ON SALE
EP『SHOW TiME』

プロフィール
TiU
ティーユー/“THIS iS THE SHOWMAN FOR U.”俳優としても活躍する「藤原大祐」の音楽プロジェクト。2022年11月に一切の正体を明かさずに、Co ProducerにJQ(Nulbarich)を迎えた「HAPPY HUMAN」をリリースし活動を開始。2023年5月に「NBDK feat.梅田サイファー(peko, KOPERU& KennyDoes)」、8月に「PLEASURE SONG」を立て続けに配信リリースし2023年10月4日に1st EP「SHOW TiME」にてメジャーデビュー。世代やジャンルを越えて等身大のMUSiCを響かせるシンガーソングライター。