なぜクルマに付いていた「謎の棒」は見かけなくなった? 通称「下手くそ棒」の役割は? 激減したワケとは

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クルマをぶつけないようにするための棒? なにそれ?

 かつてクルマのフロントバンパーの角に、何かのアンテナのような棒が突き出ていました。
 
 これは「コーナーポール」というアクセサリーですが、操作技術が未熟なドライバーが使うツールというイメージが強く「ヘタクソ棒」などと呼ばれることもあります。

下手くそ棒とも呼ばれる「コーナーポール」だが…最近は減っている?

 単純な棒のようですが、中には運転席から伸び縮みさせることができるものや、夜になると光るものもあり、さまざまなタイプがみられます。

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 ほとんどの車種がオプションとして用意しており、メーカーによっては「フェンダーポール」や「フェンダーランプ」とも呼んでいます。

 コーナーポールは、運転席から周囲を確認しづらいフロントバンパーの角に取りつけます。

 右ハンドル車であれば、左前の角につけるのが一般的です。

 こうすることで、ドライバーが車幅や距離感をつかむための目印となります。

 例えば、障害物に対してどこまで車体を寄せられるかが、はっきりわかるようになります。コーナーポールは安全性を高めるパーツです。

 狭い路地を曲がるときなどは、コーナーポールを見ながら壁にぶつからない位置までクルマを進めつつ、進行方向へ切り返していきます。

 また、駐車する際も、ポールを使ってクルマを止める位置を調整します。

 特に、右へハンドルを切ってバックするときに、車体の左前をぶつけないように、ポールを見てハンドルを微調整します。

 交差点などの停止線で止まるときもコーナーポールは役立ちます。

 信号機や標識の支柱とポールが重なる位置にクルマを止めると、ちょうど停止線上に止まるようになっています。

 このように、コーナーポールはクルマを障害物などにぶつけないようにするために使用し、安心して運転ができる装備といえます。

コーナーポールは減っている。そのワケは?

 以前は、取り回しの難しさから、ボンネットの長いセダン車などにコーナーポールがよくつけられていました。

 また、運転初心者もコーナーポールを選択していました。

 しかし、運転に慣れればポールは必要なくなるので、やがてクルマから取り外されます。

 また、クルマの美観が損なわれるという理由で、コーナーポールとは無縁というユーザーもいます。

 コーナーポールを選ぶか選ばないかはドライバーの選択肢にすぎません。

 2000年代を境にして、近年では装着率も数パーセントに低下しており、コーナーポールの存在そのものが薄くなっています。

一部の車種では格納式も存在

 自動車用品店の販売店担当者は、コーナーポールの装着率の低下について、次のように話します。

「近年では、コーナーポールを装着するという人はかなり減少しました。

 理由としては、コーナーポールに代わる安全装備が普及してきたことがあげられます。

 クルマの死角を映すカメラや、障害物を検知するセンサーが搭載されていれば、わざわざコーナーポールを選ぶ必要はありません。

 最近のクルマはコンパクトなデザインが主流で、ボンネットも短いため、操作に不慣れな人でも車のサイズ感をつかみやすいのも考えられます」

 このように、自動車技術の進化により、コーナーポールの必要性が減り、取り付けるユーザーも少なくなったようです。

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 装着するユーザーが減ったコーナーポールですが、シンプルなものだからこそ、コーナーポールは故障することもなく使い勝手がいいともいえます。

 一部のユーザーから要望があることもあり、自動車用品店では取り扱いを継続しているようです。