男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:「今夜一緒に帰れないよね?」タクシーから降りる際、気になる彼に誘われて…




どうしていつもこうなのだろうか。2ヶ月ほどデートを繰り返し、やっと交際にまで至ったのに。

年上で落ち着きがあって優しくて、経済力もある秀明。彼は「次に付き合う人とは結婚を考えている」とも言っていた。

今年で33歳になる私はその言葉を聞いて交際したので、もちろんこのまま順調に、結婚まで至るものだと信じていた。

それなのに交際開始からわずか3ヶ月後。

「ごめん、さゆり。やっぱり違ったかも」と言われ、振られてしまった。

青天の霹靂とはまさにこのことで、私は突然突きつけられた現実をどう受け止めていいのかわからずにいる。


Q1:男から見た女の印象は?


代理店の同期の紹介を経て出会った経営者の秀明は、最初から私のタイプだった。

でも紹介された翌日にお礼のLINEを送ったきり、何も発展はしなくてもどかしい日々が続いていた。

― これは、私からいくしかない。

そう覚悟を決めて連絡をし、積極的に誘ってみること2ヶ月。

「次に付き合う人とは結婚だと思っているから…。慎重にいきたくて」

もうすぐ38歳になる秀明と、5歳年下の私。

最初は付き合う気なんてなさそうだった秀明だけれど、私のアプローチに心が動いたようで、何とか交際までこぎつけた。




「私でいいの?」
「うん。さゆりがいい」

こうして無事に交際がスタートした私たち。そもそも秀明は結婚願望があるようだし、ちゃんと意識もしていた。

「そういえば、友達の真由美が結婚したんだけどさ。指輪、ティファニーの1.5カラットだってさ」
「それってどれくらいの大きさなの?」
「まぁ大きいと言えば大きいけど、普通かな。むしろちょっと小さいかも…?」
「そうなんだ。指輪のこと、全然わからないからな〜」

男性と女性では、指輪にかける情熱が違うのは当たり前のこと。それがわかっているので、私は念のため事前に言っておく。

私は帰国子女のせいか、物事をハッキリ言うタイプであることを自覚している。だから何事も明確にしておくのが好きだった。

「ちなみに、サプライズとかいらないからね!普通に、欲しい物買ってね(笑)」
「わかった。女の子は大事だもんね」

そんなふうに、婚約指輪の話まで出ていた。このときは言わなかったけれど、婚約指輪はハリー・ウィンストンと決めている。




それに結婚後の話もよくしていた。ちょうど秀明の家の更新が近づいてきていて、私はさり気なく聞いてみたことがあった。

「そういえば、秀明って家は買わないの?この家は見晴らしもいいし最高だけど」

秀明の家は虎ノ門にあり、家賃は約50万。高層階だし虎ノ門の高級タワマンならではのレジデンスのサービスも、私はかなり好きだった。

でも秀明ほど稼いでいたら、家を買ったほうが早いのでは?とも思う。

「そうだね〜。でも諸々考えて、僕は賃貸のほうがいいかなと思ってる。さゆりは、この家嫌なの?」
「まさか!このお家最高だし、引っ越したくないよ。ここのエントランス入る時の優越感が好きなんだよね」
「でしょ?でも将来は、引退したら田舎のほうに大きな家を買ってゴールデンを飼うのもいいかな〜とは思っているけど」
「田舎かぁ…」

正直、私は都会が好きだ。でも秀明と結婚したら、その田舎の家は別荘でも買える気がする。

「軽井沢とかいいよね」
「夏は涼しいしね。でもやっぱり、僕はもっと田舎っぽい田舎とかもいいな。地元の山形とか」
「山形、行ったことないけど冬は寒そうだね」

そんな将来の話までしていた私たち。何よりも秀明の見ている未来に、私がいることが嬉しかった。


Q2:彼の前でズボラになったのが原因?


それに秀明と一緒にいると、私はとても自然体でいられた。最初は緊張していたけれど、交際してしばらくすると、秀明と一緒にいる時間は日常になってくる。

秀明の家でUber Eatsを頼んで、まったりタイムとなったので私はいそいそと洗面台へと向かう。

「もう化粧落としていい?」
「もちろんいいよ!」

化粧は早く落としたい派だった。最初は我慢していたけれど、徐々に素を出していきたい。

でもあまりにも素を晒し過ぎていると嫌われそうなので、一応お伺いを立ててみる。

「ちなみに秀明って、すっぴんと化粧している私、どっちが好き?」
「どちらかと言われても…まぁ正直、外に出る時は化粧しているほうが好きかもだけど、家だったらどちらでも良くない?」

そう言ってくれるのも嬉しかった。たまに男性の中には「化粧をしているさゆりがいい」とか言ってくるような人もいた。

でも秀明はそういうことを言わないのはわかっていたし、ありのままの私を見てくれる。




ただ30歳を過ぎて、シミが気になり始めてきた。シミは化粧で隠せている部分が大きい。でも肌への負担を考えると1秒でも早く化粧を落としたい…というジレンマがあった。

「でもさ、やっぱり素肌が綺麗な人のほうが魅力的だよね?」
「まぁそうかもね」
「お金がかかるなぁ」
「そうなの?」
「このクリーム、1個10万するんだけど」
「10万!?そんなするの?」

美容は投資すればするほど答えが返ってくる。特にクリームにはこだわっていた。

「うん。30を過ぎると、こういう積み重ねが大事だから」
「綺麗を保つのって大変だね〜」

そう茶化す秀明だけれど、当の本人はほぼ何もしていないのに肌が綺麗だった。

「羨ましいな、秀明の肌が。私も秀明の前で完璧な彼女でいたいのに…」
「そんな完璧じゃなくてもいいよ。人間なんだし」

私は肌荒れもするし、体形も緩んできた気がする。努力はしているものの、まだまだ足りない。




「秀明はどういう女性が好きなの?」
「今さら!?そうだなぁ…むしろ自然体の人のほうが好きだけど」
「そっか。じゃあこうやって家でダラダラしている私でも大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「秀明のためにもっと綺麗になりたいな」

それは本心だった。だから私なりに頑張っていた。

美容医療にも通い、肌の治療もしたりダイエットをしたり。洋服にも靴にもカバンにもお金をかけて、“自慢の彼女”でいられるようにしていた。

秀明の隣に並んで恥ずかしくないように、もっと好きになってもらえるように必死だった。

それなのに、交際開始からわずか3ヶ月で「違う」と言われてしまった。

やっぱり、家ですっぴんがまずかったのだろうか?

― 完璧な彼女じゃなかったから?

秀明の本音がわからずに…何がダメだったのかわからないまま、私は振られてしまった。

▶前回:「今夜一緒に帰れないよね?」タクシーから降りる際、気になる彼に誘われて…

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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男が女を振った本当の理由は?