忙しく働く東京の男女こそ、休日の時間をいかに有意義に過ごせるかが重要だ。

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今週は、9月10日(日)から上演予定の、岸田國士戯曲賞受賞作家・ノゾエ征爾の代表作、舞台『ガラパコスパコス〜進化してんのかしてないのか〜』についてご紹介。

主演を務めるのは、連続テレビ小説『ちむどんどん』(2022年、NHK)や主演ドラマ『スタンドUPスタート』(2023年、フジテレビ系)での好演も記憶に新しい、竜星涼さん。

出演オファーが引きも切らない多忙な彼に、この作品にかける意気込みや、プライベートについて聞いてみた。




<竜星 涼さんプロフィール>

1993年生まれ。2010年、ドラマ『素直になれなくて』(フジテレビ系)で俳優デビュー。以降、ドラマや映画、舞台、モデルなど幅広く活動。

代表作に映画『ぐらんぶる』、映画『弱虫ペダル』など。現在は日曜劇場『VIVANT』(TBS系)、公開中の映画『Gメン』に出演中。来年放送の大河ドラマ『光る君へ』(NHK)の出演を控えている。




あらすじ


社会にうまく馴染めず、派遣のピエロの仕事でギリギリ生活をしている青年・太郎(竜星涼)。

ある日、道端の老婆(高橋惠子)に手品で花束を渡したことがきっかけで、太郎と老婆の不思議な共同生活が始まる。しかし老婆は、特別養護老人ホームから抜け出してきていた――。

老婆を探し回る家族や介護施設の職員、太郎を心配する兄夫婦、職場仲間、近所の住人…さまざまな人間の一筋縄ではいかない心情が描かれる。

「老い」と「進化」、その先にある滑稽で愛おしい人々の物語。


「一緒に挑戦しよう、と挑戦させてくれる精神が好きなんです」



―― 本公演で主演を務めることが決まったときの率直な感想は。


「シンプルに、このキャストの方たちとやらせてもらえるのは恐れ多い…!と思いました。

座長だからと気負うことはないのですが、自分自身がこの役のクオリティーをどうやって上げていこうかっていうプレッシャーはありますね。

テーマもセンシティブで難しいですし、表現方法も変えないといけない。テレビドラマや映画だと顔の表情など“寄り”が多いのですが、舞台は“遠い”ので体全体を使わないと伝わらないですから。

ただそれ以上に、大事な作品を託してもらっている、というありがたさの方が強いですね。

この作品は2010年の初演以来、何回も再演されてきているノゾエさんの代表作。今回の公演では、過去の出演者とガラッとタイプの違う僕をはじめ、キャストを一新。いままでの概念をぶち壊すぞ!と挑戦する気概にグッときました。

僕自身にも想像がつきやすい役のオファーのほうが多いなか、「一緒に新しいものを創ろう」と挑戦する機会を与えてくれるところが好きなんです」


―― 今回演じられる「太郎」という青年の第一印象は。


「根本的には僕と真逆!って思いました。とはいえ人間は多面的ですから、そんな僕でも普段はポジティブなキャラクターだけど、時には気にしたり、人の顔をうかがう瞬間もあるんですよね。

僕は寝ると忘れちゃうタイプですけど(笑)、太郎はそれが続くタイプなのかなぁ…と考えたりします。

ちなみに、僕はこの太郎のことを、ノゾエさんだと思って演じています。自転車で通ったり、優秀なお兄さんがいたり、そっくりなんですよ。本人は認めないと思うんですけど(笑)」




―― ノゾエさんに似ているという太郎ですが、彼の、社会にうまく馴染めない部分は劇中にも描かれています。竜星さんにはそういう経験はあるのでしょうか。


「基本は僕、明るく元気に楽しみたい方ですし、同時にみんなにも楽しんでほしいっていうタイプなんですけど…。

たとえばみんなで食事に行って、あっちはあっち、こっちはこっちで話が盛り上がっていると、ふと“俺ひとりになっちゃったな”ということはあります(笑)。それで急に“そろそろ帰りたいなー”みたいな(笑)。

でもそういうときって瞬時に似ている人を見つけられるんですよね。ノゾエさんがそのタイプで、まさにそういうタイミングで目が合って『あ。なんか客観的に見ちゃいますよね〜』みたいになりました(笑)。

僕だけじゃないと思うんです。意思が強そうに見えて大人数が苦手だったり、明るく元気なキャラだけど最後までワイワイするわけじゃなかったり。

でもだからこそ、そういうところが人間らしいし、愛おしいんだろうと思います」




―― 作品のテーマの1つ「老い」に向き合ってみて、結婚や仕事など、竜星さん自身のライフプランについても考えましたか。


「そうですね…。人って年齢を重ねれば知識や技術が増してレベルアップしているはずなのに、体は思うように動かなくなることは事実で、役者もこういう葛藤に生きてると思うんですよ。それこそ“老い”は進化なのか、退化なのかという話ですが。

だから仕事的には、30代がいちばん動けていちばん自分が納得できるものが残せる年代なのかなと。

20代はあっという間だったし、30代はもっとあっという間だと聞くので、やってみたいことに出会ってどんどん挑戦していかないと、と思っています。

そして、仕事とプライベートは両立していきたいですね。ストイックにこうじゃなきゃいけないっていうのはないと思うし、どちらも充実させたいです。大丈夫、ちゃんと休日は遊んでいますから(笑)」


―― それならよかったです(笑)。ちなみに、先日発売した東京カレンダーの本誌のテーマが「麻布十番」なのですが、このあたりでよく訪れる場所やおすすめのお店などはありますか。


「えー…なんだろう、行っているはずなのに思い出せない…。

あ!京都に本店がある『新福菜館』(麻布十番店)はおすすめですよ。ここの中華そばはスープが黒くて一見濃そうに思えるんですけど、実は醤油ラーメンなんです。とはいえよく頼むのはヤキメシ(笑)。これが最高に美味しいんです。

もちろん仕事柄、体型管理もしなきゃだけど、その分何かで頑張ればいい!と思って食べています。なぜなら食は“超絶”大事だから!

その意味でも、東京カレンダーさんには美味しいお店を教えていただいて感謝しています。以前、企画でお邪魔した渋谷の名店『仲野』は、あの後も母親を連れて行ったりと、よくお邪魔しています。

というか、あれ以来お寿司そのものにハマって、今では寿司を食べるために早朝から豊洲市場に行くほど。好きになったら一直線!なタイプなんですよね(笑)」




―― 最後に、作品の見どころや意気込みを教えてください。


「舞台に置かれた黒板にチョークでいろいろと書きながら物語を展開していく、なかなか他にはない演出は、見ているだけでも終盤に向かって物語が広がっていく面白さがあるかと思います。

そして“老い”と“進化”という誰もが抱えるテーマだからこそ、ちょっと面白おかしく笑える部分がありつつ、その笑いがあるから感動する部分があったりと、バランスの取れた舞台になっているのも魅力だと思っています。

ぜひご覧いただき、少しでも何かを受け取って帰ってもらえたら嬉しいですね。劇場でお待ちしています!」


<公演概要>

COCOON PRODUCTION 2023
『ガラパコスパコス〜進化してんのかしてないのか〜』
■作・演出
ノゾエ征爾
■出演
竜星涼 藤井隆 青柳翔 瀬戸さおり 芋生悠
駒木根隆介 山本圭祐 山口航太 中井千聖 柴田鷹雄
ノゾエ征爾 家納ジュンコ 山田真歩 菅原永二 高橋惠子
■企画・製作
Bunkamura
【東京公演】2023年9月10日(日)〜24日(日)全18回 世田谷パブリックシアター
■東京公演チケット料金
S席10,500円/A席9,000円(全席指定・税込)
※未就学児の入場はご遠慮いただいております。
■お問い合わせ
Bunkamura
TEL:03-3477-3244(10:00〜18:00)
HP:www.bunkamura.co.jp

ヘアメイク:井手賢司(UM)
スタイリスト:山本隆司(style³)