世界陸上・男子400メートル障害の準決勝で組1着となったカールステン・ワーホルム【写真:ロイター】

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ブダペスト世界陸上

 ブダペスト世界陸上は21日(日本時間22日)に男子400メートル障害の準決勝が行われた。世界記録保持者のカールステン・ワーホルム(ノルウェー)は47秒09で組1着。余裕の決勝進出となったが、欧州衛星放送「ユーロスポーツ」はハードルを越える際の動きに問題提起。「ワーホルムの足はハードルより上を行っているか?」と動画とともに注目していたが、イタリア連盟が抗議し、退けられたと欧州メディアが報じている。

 日本の陸上ファンにも「超人」の一人として知られ、圧倒的な強さが脚光を浴びるワーホルム。準決勝も序盤から快調に飛ばし、余裕をもって1着でフィニッシュしたが、問題提起したのは「ユーロスポーツ」だった。

 同メディアの公式X(旧ツイッター)に動画を公開。ワーホルムが曲走路でハードルを越える際、前に伸ばした左足がハードルの内側、やや低い位置にあったことを示し「男子400メートル障害でドラマが! ワーホルムの足はハードルより上を行っているか?」とフォロワーに投げかけた。ワーホルムの左足の高さに注目したもののようだ。

 隣の選手を妨害しなければ、足がハードルの内側を通ることは問題ない。ただ、それがバーの高さより低い位置を通過してはならない。同種目でロス五輪などに出場し、同メディアで陸上コメンテーターを務めるマーティン・ジリンガム氏も「ワーホルムの脚は“ハードルの上を行く”必要はない」と内側を通ること自体は許されるとしながら、「跨ぐときに足/脚がハードルの高さより下に落としてしまっているかどうかで判定される」と、高さが足りない場合は問題であると解説していた。

 ドイツ一般紙「ライニッシェ・ポスト」電子版は「ハードルのスター選手ワーホルムの走りが世界選手権で議論を呼ぶ」の見出しで記事を掲載。「世界記録保持者で今大会優勝候補の27歳のノルウェー人選手が議論に巻き込まれた」と指摘した。

 ただ、「最後の最後になって初めてハードルの高さに上がっているのだ。それゆえ、明らかな違反行為は確認できず、失格となることはなかった」とも説明。仮にワーホルムが失格になれば全体9位だったアレサンドロ・シビリオ(イタリア)が繰り上がりで決勝に進んでいたため、イタリア連盟は抗議したというが「実らなかった。国際陸連は月曜夜、イタリアの申し立てを退けた」とも報じた。

 ワーホルムの母国ノルウェー公共放送「NRK」は「イタリア、ワーホルムの失格を求めるも遅すぎた。ワーホルムは難なく決勝へ」との見出しで記事を掲載。「論争を呼び起こしている。イタリアは抗議したが時間が遅かった」とイタリアが定められた時間内の抗議ができなかったとした。45秒94の世界記録を持つワーホルム。男子400メートル障害の決勝は23日(日本時間24日)に行われる。

(THE ANSWER編集部)