河井夫妻による大規模買収事件をめぐり、供述を誘導するような検事の文言を録音していた元広島市議会議員の初公判が開かれ、元広島市議は無罪を主張しました。

元広島市議の木戸経康被告(67)は河井克行元法務大臣から妻の案里元議員を当選させるための報酬として現金30万円を受け取った罪に問われています。

27日の初公判で木戸被告は「何か渡されたがその時は現金という認識がなかった」「私は無実です」と起訴内容を否認しました。

冒頭陳述で検察側は「選挙運動の報酬の趣旨があることを認めながら受領して妻に預けた」などと指摘しました。

一方、弁護側は「個人演説会から戻ってきたあとに妻に預けた封筒を見て初めて現金が入っていることに気づいた」などと主張しました。

弁護側は公訴権の濫用についても争点にあげています。

木戸被告が初めて検察の任意の取り調べを受けた際「『検察側につくのか、河井につくのかはっきりしてください』と言われ供述を誘導された」と主張しました。

「先生を否認にしたくない」「議員を続けてほしい」先週明らかとなった木戸被告の任意の取り調べを記録した音声ファイルの存在。

「反省していることを出してもらい不起訴であったりなるべく軽い処分に」

録音には任意での取り調べのなかで東京地検特捜部の検事から不起訴をにおわすなどの文言があったということです。

さらに、河井元大臣の裁判へ証人として出廷する際に検事から「買収の認識があったと言い切る」など自白調書の通り証言するよう繰り返し求める音声も録音されていたということです。

木戸被告の弁護人 田上剛弁護士「重層的な違法性があるのではないかと考えている。利益誘導で供述を誘導して都合いいように供述を集めている」

今回の裁判では木戸被告の供述調書を検察側が証拠として請求しなかったことから、音声データは証拠として採用されていません。

木戸被告の弁護人は、取り調べと証人テストを担当した検事2人の証人尋問を裁判所に申請していることを明らかにしました。