新型コロナ抗体保有率「日本全体で42.8%」厚生労働省の調査結果、若い世代ほど高い傾向

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厚生労働省は、2023年6月16日に開かれた専門家会合で、新型コロナウイルスの抗体保有割合実態調査の結果を報告し、抗体保有率は全国で42.8%だったことを明らかにしました。このニュースについて中路医師に伺いました。

新型コロナウイルスの抗体保有割合実態調査の結果とは?

厚生労働省が専門家会合で示した、新型コロナウイルスの抗体保有割合実態調査の結果について教えてください。

中路先生

新型コロナウイルスの抗体保有割合実態調査は2022年11月と2023年2月の2回実施されており、日本全体での抗体保有の割合は第1回で28.6%、第2回では42.0%という結果が出ていました。

国民の抗体保有割合は、今後の感染動向の予測や対策などを検討する際に極めて有用なデータであることから、新型コロナウイルスを巡る感染症法上の位置付けが5類に変更された後の流行状況の把握を目的として、3回目の調査が実施されました。調査した時期は2023年5月17日~31日で、対象となった人は調査期間中に日本赤十字社の献血ルームなどを訪れた献血者1万8048人です。調査の結果、日本全体の42.8%が新型コロナウイルスの抗体を保有していることが明らかになりました。

都道府県別にみると、最も抗体保有率が高かったのは沖縄県で63.0%、最も低いのは石川県で34.1%となり、30%近い開きがありました。抗体保有率を性別で分析すると、女性は43.5%、男性は42.5%であることがわかりました。また、年齢層ごとに分析すると、16~19歳の抗体保有率は60.5%、20~29歳は53.0%、30~39歳は51.4%、40~50歳は46.0%、50~59歳は36.2%、60~69歳は28.8%となり、若い世代ほど抗体保有率が高いことが判明しました。

新型コロナウイルスの感染状況は?

調査の結果、日本全体の42.8%が抗体を保有していることが明らかになりましたが、現在の新型コロナウイルスの感染状況について教えてください。

中路先生

6月16日に開かれた専門家会合では、新型コロナウイルスの全国の感染状況が増加傾向にあることが示されています。また、検出される新型コロナウイルスの種類はオミクロン株のうちの「XBB」系統が大部分を占めていて、民間の検査会社で検出された結果をもとにした分析では今月下旬時点にはインドなどで拡大し免疫を逃れやすい可能性が指摘されている「XBB.1.16」が49%になると推定されています。

今後の感染の見通しについては、この夏の間に一定の感染拡大が起きる可能性があり、医療提供体制への負荷が増大する場合も考えられるとしています。

実態調査の結果への受け止めは?

今回の調査で第3回目となった新型コロナウイルスの抗体保有割合実態調査の結果についての受け止めを教えてください。

中路先生

2回目の調査から全国の抗体保有率がほぼ横ばいであることは、おそらく今回調査のあった期間において、さほど大きな新型コロナウイルスの感染拡大がなかったことを示唆しているものと考えます。

欧米諸国では抗体保有率が8割を超える国もあります。そうした国々と比べてまだ低い水準といえる日本の抗体保有率は、今後の新型コロナウイルスの感染状況に影響してくる可能性もあり、慎重に経過を見ていく必要があると考えます。また、抗体保有率は高齢になるほど低く、今後も高齢者を中心に定期的なワクチン接種が必要になると思われます。

まとめ

2023年6月16日に開かれた専門家会合で、厚生労働省が新型コロナウイルスの抗体保有割合実態調査の結果を報告し、抗体保有率は全国で42.8%であることを明らかにしたことが今回のニュースでわかりました。新型コロナウイルスをめぐっては、夏に感染拡大の恐れが指摘されており、今回の抗体保有割合の調査結果は注目を集めそうです。

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