2023年6月1日にロシア連邦保安庁(FSB)が「アメリカの情報機関がロシア外交官から情報を得るために数千台のiPhoneにマルウェアを仕込んだ」と主張する声明を発表しました。FSBはAppleの積極的な関与を強調していますが、Appleは疑惑を否定しています。

Подробная информация :: Федеральная Служба Безопасности ( Официальное сообщение )

http://www.fsb.ru/fsb/press/message/single.htm%21id%3D10439739%40fsbMessage.html



Russia accuses US of hacking thousands of Apple devices to spy on diplomats

https://therecord.media/russia-accusses-us-of-hacking-apple-devices-to-spy-on-diplomats

Operation Triangulation: iOS devices targeted with previously unknown malware | Securelist

https://securelist.com/operation-triangulation/109842/

FSBの主張は以下の通り。

・アメリカの情報機関がロシア外交官から情報を得るために数千台のiPhoneにマルウェアを仕込んだ

・マルウェアはiPhoneの脆弱(ぜいじゃく)性を突く未知のものだった

・マルウェアはロシア国民だけでなくイスラエル、シリア、中国、NATO加盟国、旧ソ連圏も対象としていた

・調査の結果、Appleはアメリカの情報機関、特にアメリカ国家安全保障局(NSA)と緊密に協力していることが明らかになった

また、FSBによる声明の発表と同日にロシアの大手セキュリティ企業Kasperskyは「iMessage経由で感染するiPhone向けマルウェア『Triangulation』」の存在を報告しました。Kasperskyのセキュリティ研究員であるIvan Kwiatkowski氏は「FSBが報告したマルウェアはTriangulationと関連性のあるものである」という旨をツイートし、FSBの主張の一部が事実であることを強調しました。





さらに、Kasperskyの創業者であるユージン・カスペルスキー氏は自身のブログでKasperskyの従業員が所有するiPhoneにもTriangulationが感染していたことを報告しています。加えてカスペルスキー氏は「Apple製デバイスに関する研究ツールはAppleによって独占されており、(第三者による)脅威の検出と分析は非常に困難です。Appleはスパイウェアにとって天国のようなものです」と述べています。

なお、Appleの広報担当者は「政府と協力してApple製品にバックドアを仕込んだという事実はなく、今後もその予定はありません」と述べ、情報機関との協力関係を否定しています。