日本マイクロソフトは2023年5月12日、コンシューマー向け「Microsoft 365」の新価格を正式に発表した。

多くのユーザーが契約していると思われる1年版のMicrosoft 365 Personalは11,800円から13,545円へ、1,745円の値上げとなる(すべて税別)。筆者は現在コンシューマー向けMicrosoft 365を契約していない……と思っていたが、OneDriveの容量を増やすMicrosoft 365 Basic(旧OneDrive Standalone 100GB)を契約中であることを失念していた。

コンシューマー向けMicrosoft 365価格アップの告知メール

我々庶民の生活は電気料金の値上げなど決して楽ではないが、そのさなかで年間約2,000円の値上げに対する受け止め方はさまざまだろう。個人的には、値上げも致し方ないと思っている。どちらかと言えば「ついに決断したか」というのが正直な印象だ。

以前からMicrosoftは、コンシューマー向けMicrosoft 365契約者に対して数多くのサービスを提供してきた。Microsoft 365 Appsの機能解放にとどまらず、近年はコンシューマー向けMicrosoft Defenderによる各PCのセキュリティ管理や、OneDrive個人用Vaultへ格納できるファイル数の制限解除、Microsoft Clipchampの機能無償提供などサービスを次々と追加。たとえばMicrosoft Clipchampは、無償のFree版と有償のEssentials版を用意している。

現在のところ筆者は未契約なので確認していないが、コンシューマー向けMicrosoft 365契約者はプレミアムフィルターを無償利用できるらしい。一種の「囲い込み」とも見えるが、今後もMicrosoftの姿勢・方針は変わらないだろう。

Microsoft Clipchampの無償・有償プラン

各アプリを常用するユーザーならお得なサービスとなるものの、Microsoft 365 Appsと1TBのOneDriveクラウドストレージが必要でなければ、コンシューマー向けMicrosoft 365の契約は踏みとどまる(あるいは解約する)選択肢があるかもしれない。

筆者は一般法人向けMicrosoft 365を契約しているが、個人的な理由でMicrosoft WordやMicrosoft Excelを起動する場面はほぼない。家族を見ていても、一昔前は書類作成を自宅PCで行う光景が日常的だったものが、コンプライアンスが定着しつつある今では、その機会は減少した。一時期、最大6人のユーザー数を魅力的に感じてMicrosoft 365 Familyを契約しようと考えた筆者宅も、妻はスマートフォン、娘はタブレットを使用し、自分たちのPCを使う気配は皆無……。なので契約を見送ることにした。

決してMicrosoft 365を否定しているわけではない。Microsoft 365 Appsとクラウドストレージを常用するなら、今回の値上げは受け入れるしかないだろう。永続版のMicrosoft Office Home & Business 2021を購入する手もあるが、クラウドストレージは提供されず、インストール可能なPCも2台までだ。ここで言いたかったのは、PCの利用形態によってベストな契約・購入形態は異なり、その中には契約解除という選択肢も存在すること。日本の経済状況は今後どうなっていくか分からない。消費者は常に生活防衛策を考えなければならないのだ。

著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。 この著者の記事一覧はこちら