「シフトレバーにレジ袋」ゴミ箱代わりが車の誤操作の原因に!? 車内のゴミが危険な存在になる理由とは
シフトレバーにレジ袋をぶら下げるってどうなの?
クルマで出かけたときに車内で飲食をすることがありますが、そのときに出たゴミの処理に困ることがあります。
そんなとき、レジ袋をシフトレバーにぶら下げてゴミ袋代わりにする人もおり、狭い車内を有効活用した賢い方法のようにも思えますが、実は非常に危険な行為だといいます。
一体どういうことなのでしょうか。クルマの機構に詳しい神奈川県のH整備士に聞いてみました。
「シフトレバーは、前進・後進を含めクルマを動かす指示系統のひとつですから、誤作動があってはいけないものです。レジ袋をぶら下げることでシフトレバーに余計な荷重がかかり。意図せぬギアチェンジで、クルマの挙動に悪い影響を与える可能性も考えられます」
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つまり、ぶら下げたレジ袋がちょっとした弾みでシフトレバーを動かし、ギアが「D」から「N」に入ってしまう可能性もあるというのです。
最近のハイブリッド車などはシフトレバーが小さく、軽い力でもかんたんにシフトチェンジできるように進化しています。その一方で、体が当たったり足で引っかけたりといったちょっとしたことで、シフトレバーが動いてしまう危険性があるのだそうです。
シフトレバーにレジ袋をぶら下げていて、たとえば信号待ちのとき、何かの拍子にレジ袋などを触ってしまってギアが「N」になっていても気づかず、信号が変わっていざ発進しようとアクセルを踏んでも「N」では当然進みません。
そして、アクセルを踏んだまま慌ててシフトを「D」に入れると急発進してしまうということが起こりかねないのです。
シフトレバーはレジ袋をぶら下げるためのものではなく、クルマの動きを制御する重要な装備です。誤操作を防ぐために本来とは異なる使い方は控えましょう。
車内のゴミはどうするべき?
シフトレバーにレジ袋をぶら下げていることで考えられる危険性はほかにもあります。
「飲み終わったペットボトルや空き缶がレジ袋から落ちてフロアをコロコロと転がってしまう可能性もあります。
転がった空き缶がブレーキペダルの裏側に入り込んでしまうと、物が挟まっていることからブレーキが踏めず、クルマを止められなくなるという事態になりかねません。
またフロアに落ちた缶などを拾おうとして前方不注意になったり、誤操作してしまう危険性もあります」(H整備士)
確かにちょっと考えるだけでも恐ろしい話です。では、何か有効な対策はあるのでしょうか。
「シフトレバーにレジ袋をぶら下げるのではなく、運転の支障にならない場所に車内用のゴミ箱を配置するなり、一時的なゴミはドアポケットに移すなどの対策で十分だと思います」(H整備士)
また、小さなぬいぐるみを大量に車内に置いているクルマを見かけることがありますが、急ブレーキなどの拍子に車内に散乱することもあり、これもシフトレバーにレジ袋をぶら下げるのと同様に危険です。
「荷物を置かざるを得ない場合は、後部座席の足元など、運転席とは別の席のフロアに置くほうが安全です。
または荷物置き用のカゴなどを後部座席の足元に用意するというのも、良いアイデアだと思います」(H整備士)
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レジ袋が有料化されたこともあり、シフトレバーにぶら下げてゴミ袋にしている人は減っているのかと思われましたが、実情はあまり変わっていない模様。
危険であることは理解しつつも、「自分は大丈夫」という根拠のない楽観主義になりがちですが、一瞬の判断ミスで事故は発生しています。
くれぐれも運転に支障のないように、車内の荷物の置き方などは工夫したほうが良いでしょう。