ほとんどがメスであるはずの三毛猫だが、米コロラド州でオスの三毛猫が誕生した。猫全体では約3万匹に1匹というレアケースに注目が集まっている(画像は『NoCo Kitties 2023年4月21日付Facebook「Everyone is talking about me.」』のスクリーンショット)

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今年初めに、米コロラド州で生まれた1匹の子猫が注目を集めている。三毛猫は遺伝子の関係でほとんどがメスだが、今回誕生した子猫はオスだったのだ。猫全体の出生数に対して、約3万匹に1匹という確率で生まれてきた子猫の詳細を、米ニュースメディア『9News』などが伝えた。

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話題のオスの三毛猫“チャーリー(Charlie)”は、米コロラド州ウェルド郡できょうだいたちと一緒に誕生し、同郡のアニマルシェルターを経て、猫の里親探しに力を入れる動物保護団体「NoCo Kitties」にやってきた。里親募集の準備を整えるため、まだ幼いチャーリーと2匹のきょうだい猫、母猫の“アンバー(Amber)”の世話をしていたボランティアのアリー・マギッシュさん(Alli Magish)は、3匹の子猫のうち1匹がオスである可能性に気付いて獣医に相談すると、確かにオスであることが判明した。

三毛猫は、遺伝子の関係でほとんどがメスとして誕生する。性別を決定する性染色体にはX染色体とY染色体が存在し、“XX”でメス、“XY”でオスとなる。三毛猫にみられる茶色の毛は、X染色体に含まれるO遺伝子が必要であり、“XX”の組み合わせが発現の条件である。そのため黒、白、茶の3色の毛色を持つ三毛猫は、大半がメスとなる。

一方で、オスの三毛猫がごくまれに誕生することがある。それは2通りあると考えられており、通常よりX染色体が多い“XXY”の組み合わせを持つケースと、“XX”と“XY”の両方の組み合せを持っているケースだ。こうした背景からオスの三毛猫が生まれる確率は、三毛猫では約3000匹に1匹、猫全体では約3万匹に1匹になるそうだ。

今回チャーリーの性別を確認した獣医は「これまで多くの猫を診てきたが、オスの三毛猫を見たのは初めてだった」と述べている。また専門家によると、オスの三毛猫を生み出すのは性染色体の影響のみでなく、皮膚細胞の突然変異の可能性もあるが、これは極めて低確率のため考えにくいという。同保護団体の創設者ダヴィダ・デュポンさん(Davida Dupont)は「私たちは保護している子猫がオスの三毛猫だと分かり、なんて珍しいんだろう、なんて面白いんだろうと思いましたよ」と興奮気味にコメントしている。

なおチャーリーというニックネームは、オスの三毛猫の希少さゆえに英語圏ではしばしば「unicorn cats(ユニコーン猫)」と呼ばれることから、アニメーション短編映画『ユニコーンのチャーリー(Charlie the Unicorn)』から取ったそうだ。

オスの三毛猫はその珍しさから幸運の象徴とされているが、“XXY”の組み合わせを持つ個体は性染色体異常のクラインフェルター症候群である。クラインフェルター症候群は一般的に繁殖能力に問題があり、健康上の異常も起こしやすい。そのため約3000匹に1匹のオスの三毛猫のうち、約1000匹に1匹しか繁殖活動を行うことができないと言われている。

同保護団体がチャーリーの里親を募集すると、希望者が殺到したためすぐに募集は停止され、現在は希望者の中からチャーリーに最も適した里親を検討中だという。

ちなみに2021年にはイギリスで、多指症の子猫3匹が誕生し、その珍しさから話題になっていた。

画像は『NoCo Kitties 2023年4月21日付Facebook「Everyone is talking about me.」、2023年4月23日付Facebook「Good morning Unicorn.」、2023年3月25日付Facebook「Believe it is a boy.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)