「熱はないが節々が痛い」原因と対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!

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熱はないのに体の節々が痛いのを治すには?Medical DOC監修医が関節痛の対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
弓場 智雄 医師

2014大阪大学卒業、2014~2016国立病院機構呉医療センター、2016大阪大学心臓血管外科、2017大阪大学麻酔科集中治療部、2018国立成育医療研究センター麻酔科、2019~大阪大学麻酔科集中治療部 医員。
もともと心臓外科を研修していたが、担当した患者さんが集中治療室(ICU)の術後管理で劇的に回復したことをきっかけに麻酔科に転科。専門は集中治療、手術麻酔、ペインクリニック、無痛分娩。研究は酸化ストレス、慢性痛や術後せん妄、無痛分娩など。

熱はないが節々が痛い」症状で考えられる病気と対処法

どんな人でも、節々が痛い経験はあると思います。その時はどんなことが原因として考えられるでしょうか?今回は節々の痛み、特に熱がない時の痛みについて解説していこうと思います。

熱はないが節々が痛い症状で考えられる原因と対処法

まずはじめに知っておく必要がある知識として、関節は普段の生活で常に使われるため、体調が悪い時に節々の痛みというものは最初の症状としてでやすいということです。通常、節々が痛い時に考えられる原因としては風邪やリウマチなどの自己免疫疾患が考えられますが、これは発熱を伴うことが多いです。発熱を伴わない場合は、ワクチン接種後の副作用や、風邪などのひきはじめの可能性があります。また節々の痛み以外にも、頭痛や寒気、安静にしても良くならないなどの症状がある場合は、かかりつけの医師や近所の内科を受診することをおすすめします。

熱はないが節々が痛く体がだるい症状で考えられる原因と対処法

体がだるいことを、専門用語では倦怠感(けんたいかん)といいます。節々が痛いだけではなく、倦怠感がある場合は風邪のひきはじめや関節リウマチなどの自己免疫疾患の可能性も否定できません。特に安静にしても続くようなら一度病院を受診する必要があります。受診する専門家としては難しいですが、まずはかかりつけの先生や近所の内科を受診するといいでしょう。

熱はないが節々が痛く寒気・悪寒がする症状で考えられる原因と対処法

この場合に最も考えられることは、風邪の引き始めです。その後熱があがってきたりすることが多いです。風邪も他の病気と同様に、早期の対応が重要です。安静にして、しっかり栄養のあるものを食べ、水分接種をしましょう。ただの風邪ではなく、インフルエンザなどの可能性もありますので、あなどらないようにしましょう。また痛い関節が、ある特定の関節である場合は注意が必要です。風邪に伴う節々の痛みはいろいろな場所に起きることが多いですが、特定の関節のみが痛い場合は最悪の場合、感染性関節炎の可能性があります。感染性関節炎とはなんらかの理由で細菌が関節内に入り込み、感染が起きている状況です。抗生物質の投与や、場合によっては手術で関節の膿をきれいにしなければなりません。この場合はすぐに整形外科を受診しましょう。

熱はないが節々が痛く頭痛がする症状で考えられる原因と対処法

頭痛を伴う場合、これも風邪のひき始めの可能性が最も高いです。上記にも書いたように、あなどらずに安静にし、早期に対応しましょう。また頭痛はそれだけで様々な病気の初期症状の可能性があります。頭痛がどんどんひどくなってきたり、吐き気など他の症状を伴う場合は、髄膜炎などの危険な病気の可能性もあるため、ためらわずに病院を受診しましょう。この場合はかかりつけの先生や近所の内科、夜間の場合は地域の救急担当病院を受診しましょう。

熱はないが節々が痛く喉も痛い症状で考えられる原因と対処法

喉が痛い場合は、上気道炎を起こしている可能性が高く、これも風邪の初期症状として有名です。しかしただの上気道炎なら良いのですが、喉の構造物のひとつである喉頭蓋が痛みの原因の場合は非常に危険です。これは喉頭蓋炎といいますが、喉頭蓋は呼吸をする上で非常に重要な構造物であり、ここに炎症がある場合は急激に呼吸ができなくなり、最悪の場合窒息することがあります。喉頭蓋炎を疑う目安としては、喉の痛みの強さと呼吸状態があります。つばを飲み込めないほどの喉の痛みの場合や、また喉の痛みといっしょに息苦しさがある場合はすぐに病院を受診しましょう。可能であれば耳鼻咽頭科への受診が望ましいのですが、近隣にみあたらない場合はその地域の救急当番病院で問題ありません。とにかく、すぐに病院を受診することが重要です。

熱はないが節々が痛く下痢の症状で考えられる原因と対処法

下痢を伴う場合、多くの場合は消化器疾患が関与しています。下痢が急性に起きた場合は感染性腸炎などの場合が多いです。体の調子が悪い時は節々の痛みが起きることもおおく、感染性腸炎でも節々の痛みがでることがあります。また感染性腸炎は熱を伴うことがほとんどですが、ウェルシュ菌などが原因の場合は熱を伴いません。ブドウ球菌食中毒の場合も熱がでないこともあります。いずれにしてもここ数日間どんなものを食べたか、周囲に同じ症状の人がいないかなど確認した上で、速やかに近所の内科を受診するといいでしょう。また下痢が2週間以上つづく、慢性下痢の場合は炎症性腸疾患や過敏性腸症候群の可能性があります。この場合は消化器内科が専門となります。放置せずにはやめに受診するようにしましょう。

すぐに病院へ行くべき「熱はないが節々が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

節々の痛みが長引いたり、また皮疹などがある場合は、膠原病内科へ

節々の痛みが長引き、また徐々に皮疹など他の症状も合併するようなら、自己免疫疾患の症状の可能性があります。自己免疫疾患とは本来体を守るはずの免疫機構が、なんらかの原因で自分の体を攻撃するようになり発症します。代表的なものは関節リウマチですが、そのほかにも様々な自己免疫疾患があります。疑った場合は自己免疫疾患の専門家である、膠原病内科を受診しましょう。近くにない場合はまずは内科でも大丈夫です。自己免疫疾患も早期診断・早期治療が非常に重要です。

強い喉の痛みがある場合は、耳鼻咽頭科へ

この場合は単なる風邪ではなく、喉頭蓋炎の可能性があります。喉頭蓋炎は急速に進行した場合窒息し、命に関わります。唾を飲み込めないほどの強い痛みや呼吸困難を伴う場合は、速やかに耳鼻咽頭科か地域の救急当番の病院を受診しましょう。

頭痛と吐き気がある場合は、脳神経内科へ

節々の痛みだけではなく、頭痛と吐き気がある場合は髄膜炎など危険な病気の可能性があります。髄膜炎も放置すると命に関わる危険な病気です。すぐに脳神経内科、ない場合は近所の内科を受診するようにしましょう。

受診・予防の目安となる「熱はないが節々が痛い」ときのセルフチェック法

・熱はないが節々が痛い以外に皮疹がある場合
・熱はないが節々が痛い以外に頭痛・吐き気がある場合
・熱はないが節々が痛い以外に強い喉の痛みがある場合

「熱はないが節々が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「熱はないが節々が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

風邪

風邪とは、実は病名ではなく症状をあらわしています。風邪をひきおこす原因としては様々なものが考えられますが、とにかくあなどらないことが重要です。はじめは単なる風邪でも、それがきっかけで重度な心筋炎や脳炎になることもあります。またインフルエンザなどの症状の可能性もあり、その場合は自分も大事ですが特に子供や高齢者にうつさないように行動することが重要です。可能ならかかりつけの先生や近所の内科を受診し、症状が軽い場合はしっかりと栄養と水分をとって安静にするようにしましょう。

痛風

​​痛風とは関節内に尿酸炎の結晶が析出することでおきる関節炎です。おおくは足関節におき、局所の違和感から疼痛の発作が起きます。血中の尿酸値は健康診断の血液検査でも調べることが多いため、日頃から尿酸値が高い人は要注意です。発症に普段の生活習慣が大きく関与する病気です。痛みの発作が起きた場合はすぐに近所の病院を受診し、その後は内科のかかりつけ医をつくり経過をみてもらいましょう。

感染性関節炎

​​関節でなんらかの感染がおき、それに伴い関節痛がおきる病態です。多くの場合は細菌感染によって起こります。感染を伴う関節は熱をもって腫れを伴います。疑わしい場合は整形外科や内科を受診して、抗生物質による治療や、場合によっては手術で関節の膿を出さなければなりません。

関節リウマチ

関節リウマチは自己免疫疾患のひとつです。関節には滑膜という膜があるのですが、そこで炎症がおきることによって関節痛が発症します。典型的には指先の関節に痛みが生じ、また痛みは朝の方が強いという特徴があります。疑った場合は血液検査などでも詳しい検査ができるため、リウマチ科や膠原病内科、近くにない場合は内科を受診して検査をしましょう。

全身性エリテマトーデス

​​この病気も関節リウマチと同様に自己免疫疾患のひとつです。特に抗核抗体といわれる自己抗体が発症に関与しています。関節炎以外にも皮疹や腎症状など、多彩な症状を引き起こすことが知られています。この病気も関節リウマチと同様に血液検査でさらに詳しく調べることができます。疑った場合は膠原病内科、近所にない場合は内科を受診して検査をしてもらいましょう。

「熱はないが節々が痛い」ときの正しい対処法は?

まずは痛い関節を使わないように、安静にしましょう。また今は熱がなくても徐々に熱が上がってくることもあるため、こまめに体温を測りましょう。単に関節の使いすぎなどが痛みの原因の場合はこれで良くなるはずですが、さらに痛みがひどくなったり、熱や咽頭痛、頭痛など他の症状が出てくるようならはやめに病院を受診するようにしましょう。何科を受診したら良いかは難しいですが、上記の記事を参考に整形外科、膠原病内科、神経内科、消化器内科などを受診しましょう。わからない場合はかかりつけの先生や近所の内科を受診してもらって構いません。

「熱はないが節々が痛い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「熱はないが節々が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

体の節々が痛くて、熱はない症状は風邪でしょうか?

弓場 智雄 医師

風邪の場合が多いです。関節は普段の生活でよく使うため、体の調子が悪い時に痛みがでやすい場所です。しかしただの風邪でも危険な病気に発展し、また他の病気の初期症状の可能性もあるということを知っておく必要があります。あなどらずに自分の体を観察しましょう。

発熱はなく節々の関節痛とだるさが続くのは疲れが原因ですか?

弓場 智雄 医師

だるさというのは風邪や他の病気の初期症状の可能性があります。もちろん疲れもでますが、休んでも改善しない場合は疲れ以外の原因がある可能性があります。一度医師に相談することをおすすめします。

熱はないのに節々が痛いときは病院に行ったほうが良いですか?

弓場 智雄 医師

安静にしても痛みがひどくなる、また他の症状を伴う場合ははやめに病院を受診する必要があります。安静にしてよくなるようなら緊急性は低いです。

平熱で体の節々が痛いとき市販の風邪薬を使用して問題ないですか?

弓場 智雄 医師

市販の風邪薬、また痛み止めを使用しても構いませんが、できたら今まで使ったことがある薬を飲みましょう。人によってその薬が体質に合う・合わないがありますので、調子が悪お時に自己判断で初めての薬を飲むことはお勧めしません。その場合は病院を受診し、医師に相談して薬をもらうことをお勧めします。

まとめ

今回は節々の痛みで、特に熱がない時に考えられる病気について説明しました。大事なこととして、節々の痛みというのはどんな病気でもはじめの症状としてでやすいものであると知っておく必要があります。言い換えれば体の調子が悪いサインでもあります。まずは安静にし、それでも症状が改善しない、さらにほかの症状がおきるなどありましたら放置せずに医師に相談するようにしましょう。

「熱はないが節々が痛い」症状で考えられる病気

「熱はないが節々が痛い」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

免疫系の病気

関節リウマチ全身性エリテマトーデス

整形外科系の病気

感染性関節炎

内科の病気

風邪(症候群)

痛風

インフルエンザウイルス感染症

節々の痛みというのは体調が悪いということの身体からのサインである可能性があります。

「熱はないが節々が痛い」に似ている症状・関連する症状

「熱はないが節々が痛い」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

首が痛い肩が痛い腰が痛い膝が痛い

「熱はないが節々が痛い」の症状の他にこれらの症状がある場合でも「関節リウマチ」「風邪」「インフルエンザ」「痛風」「全身性エリテマトーデス」「感染性関節炎」などの疾患の可能性が考えられます。皮疹がある場合や、喉の強い痛みがある場合、頭痛や吐き気を伴う場合には、早めに医療機関を受診しましょう。