「多汗症」とは?治療やチェック方法についても解説!

写真拡大

足が冷たい・足の冷えの原因は何?どうやって解消できる?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
中川 龍太郎(医師)

名古屋大学医学部卒業、名古屋大学医学部附属病院、江南厚生病院などで眼科医として勤務経験を持つ。患者の笑顔を見ることを何よりの喜びと思っている。日本眼科学会所属。現在は医学の発展に貢献できるよう、また目の前の患者にひたむきに向き合うため日々邁進中。

「足が冷たい」症状で考えられる病気と対処法

「足が冷たい」と自覚された経験は誰しもあると思います。原因となる疾患はたくさんありますが、基本的には血管に問題が起こり、足の血流不足から「足が冷たい」と感じるケースが多く見られます。どんな場合に病院受診を行う必要があるのか解説していきます。

足が冷たい・足が冷える症状で考えられる原因と対処法

足が冷たい・足が冷える症状は、体全体の体温が下がるわけではなく、足という限られた部分が冷えたように自覚する状態、もしくは実際に冷たくなっている状態を指します。このような場合、末端冷え性が疑われます。手や足の先が冷えることが主な症状です。手足への血流不足が原因で起こります。ご自身ですぐに出来る対処法は、入浴で保温する、運動して筋肉を動かす、などが有効です。
主な診療科は内科です。先述の対策を行なっても、効果がない場合は受診しましょう。血液検査などを行い、末端冷え性の原因がないか調べるのが一般的です。緊急性はありませんので日中に受診してください。

足が冷たくて眠れない症状で考えられる原因と対処法

足に冷たさを感じ、そのために睡眠時間が十分に取れない状態を指します。このような場合、自律神経失調症が疑われます。自律神経失調症とはその名の通り、自律神経の働きがうまくいかない状態です。自律神経とは交感神経と副交感神経の2種類に分かれ、この2つの神経のバランスによって、運動時や興奮時には心臓の鼓動を早くして筋肉に大量の血液を送る、安静時には脈拍を落ち着ける、ホルモン分泌で体温をコントロールするなど、様々な役割を無意識に行なっています。この働きが崩れると体温調整がうまくいかず、また睡眠時に適切な安静の状態(副交感神経優位のリラックス状態)にも移行できないため、足の冷えや、眠れない、不安感、倦怠感といった症状が出現します。
すぐにできる対応は、一旦しっかりと休息をとり、その上で規則正しい生活を心がけること、またストレスを除去することです。
それでも症状が改善しない場合は、一度医療機関の受診を勧めます。受診すべき診療科は一般内科や心療内科です。

発熱していて足が冷たい症状で考えられる原因と対処法

発熱していて足が冷える症状を指します。一般的に発熱を起こす病気には、感染症や自己免疫性疾患、薬剤熱(薬の副作用で熱が出ること)、がんなどの悪性腫瘍などがあります。人体は発熱した場合、汗をかくことで体温を一定に保とうとします。足はとても汗をかきやすい部分なので、「発熱しているのに足は冷えている」状態が生じます。
この場合、足が冷えることよりも発熱があることの方が問題です。自身でできる対処法としては、市販の解熱鎮痛薬を飲む、首や脇、鼠蹊部といった血流の多い部分を冷やすといった方法があります。
主な診療科は総合内科です。上記の対応を行なっても症状が改善しない場合は受診を検討しましょう。特に、発熱以外にさまざまな症状が出現し、どんどん悪化する場合は早めに受診してください。

足が冷たいのに汗をかく症状で考えられる原因と対処法

足が冷えているのに汗をかいている状態を指します。このような場合、多汗症が疑われます。多汗症の詳細は後述しますが、端的に説明すると、発汗量が増加する病気です。
足から汗を大量にかくことによって、濡れている状態と汗が蒸発する際の冷却作用から「足の冷え」を自覚する場合があります。
受診すべき診療科は皮膚科です。まずは多汗症の原因となっている病気や薬剤がないか検査するのが一般的です。緊急性はありませんので日中に受診しましょう。

足が冷たいのに手は温かい症状で考えられる原因と対処法

手は温かいのに足が冷たい症状の場合、閉塞性動脈硬化症の可能性が疑われます。別名は慢性下肢動脈閉塞といいます。長期間に渡る動脈硬化の影響で、下半身の動脈の内腔が徐々に狭くなることで起こります。特徴的な症状は間歇性跛行です。間歇性跛行とは一定の距離を歩くと、ふくらはぎなどにうずくような痛みや疲労感があって歩行が次第に困難になり、しばらく休むと良くなるものの、また歩き続けると再び痛みだすという症状です。その他には足の皮膚の色調が青紫色などに変化し、温度は冷たく、乾燥肌、筋肉の痩せがあります。
ご自身で出来ることは、禁煙や下肢の保温です。しかし早急に精査したほうが良い病気ですので、疑った際は病院受診を優先しましょう。
受診すべき診療科は循環器内科です。超音波検査や造影検査で血流の評価をすることが一般的です。緊急性はないので日中に受診しましょう。

男性で足が冷たい症状で考えられる主な原因と対処法

男性で足が冷える症状のことを指します。このような場合、バージャー病が疑われます。バージャー病の詳細は後述しますが、端的に説明すると、血管に炎症が起こる病気です。主な症状は足の冷え、しびれ、皮膚の変色、痛みや歩行障害などがあります。
ご自身でできる対処法は、禁煙、保温、患部の清潔、足の怪我の予防です。しかし専門的な治療が必要になりますので、自己判断せず医師の指示を受けてください。
受診すべき診療科は循環器内科です。足の冷えに加えて、青紫から黒色といった変色が見られる際は緊急性が高いです。できるだけ早い日程で受診しましょう。

女性で足が冷たい症状で考えられる主な原因と対処法

女性で足が冷える症状を指します。このような場合、原因の一つとして貧血が考えられます。貧血の原因は様々ですが、特に女性においては月経のたびに出血があり、鉄分が不足することも多いため鉄欠乏性貧血になることがあります。貧血によって体全体の血液量が減少し、足への血流も減少するため「足が冷える」症状が出現します。
この場合は足を温めても改善は乏しいため、貧血に対して治療をする必要があります。ご自身で出来る対処法は、普段から鉄分の摂取を意識した食事をとる、などですが、食事だけでは改善しない場合もありますので、一度病院を受診しましょう。
主な診療科は婦人科、総合内科です。血液検査で貧血の程度や原因を調べ、内服薬で治療するのが一般的です。緊急性はありませんので日中に受診してください。

子どもで足が冷たい症状で考えられる主な原因と対処法

子供の足が冷たい場合、正常な場合と感染症などによってこれから発熱する場合が考えられます。特に乳児・幼児の場合、体温を調節する機能が未熟なため、体の中心が熱を持っている場合は足といった末端部分を冷たくすることでバランスを取ろうとします。
健康なお子さんでも見られますが、その後に発熱する場合もあり、その時は何らかの感染症が疑われます。
ご家庭でできる処置は、発熱が見られた際に適切に解熱薬を使うことですが、体重によって適正量が変わりますので、自己判断せず、小児科を受診しましょう。発熱しているだけで食事量や活気が普段と変わらない場合、緊急性は低いです。一方で、普段よりぐったりしている、食事量・哺乳量が落ちているといった場合は緊急性が高くなりますので、できるだけ早く受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「足が冷たい」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

足が冷えて青紫や黒色に変色している症状の場合は、循環器内科へ

足が冷えて青紫や黒色に変色している場合、先に説明した閉塞性動脈硬化症やバージャー病、後に説明する糖尿病足病変の可能性が考えられます。どれも足の血管がダメージを受けた病気です。足の冷えだけでなく変色してしまっている場合、足への血流はかなり低下していることが予想され、早急な治療が必要です。
受診すべき診療科は循環器内科です。エコー検査や造影検査で足の血流を評価することが一般的です。変色したからといって夜間に受診する必要はありませんが、緊急性は高いため、日中のできるだけ早い日程で受診しましょう。

受診・予防の目安となる「足が冷たい」ときのセルフチェック法

・足が冷たい以外に痛みや痺れがある場合

・足が冷たい以外に変色がある場合

・足が冷たい以外にむくみや息切れがある場合

「足が冷たい」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「足が冷たい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

冷え性・末端冷え性

末端冷え性とは、一般的に手や足の先が冷えてしまう症状のことを指します。男女どちらにも起こりますが、女性の方が自覚することが多いです。末端が冷える状態は、基本的に手足への血流が十分でないことが原因ですが、その血流不足になる要因は様々です。具体的には貧血や月経困難症、更年期障害、自律神経失調症などが考えられます。
対処法は、入浴の時間を長めにして普段から保温に努める、運動習慣を取り入れる、バランスの良い食事を心がける、などが有効です。また貧血や月経困難症に対しては、医療機関での診断のもと、内服薬で対応していく必要があります。
生活習慣の改善を行なっても冷え性が良くならない場合は一般内科を受診しましょう。緊急性はありませんので日中に受診してください。血液検査などを行い、原因に応じた内服薬の処方などが行われます。

バージャー病

バージャー病とは腕や脚の動脈・静脈の両方に炎症が起こり、血管が狭くなって虚血(組織にダメージを起こすほど血流が著しく低下した状態)が見られる病気です。20~40代の男性に多くみられる病気で、喫煙との関連が報告されています。 命に関わることは稀ですが、放置していると手足が腐ってしまい、切断しないといけなくなるケースもあります。
主な症状としては足の冷え、しびれ、皮膚が青紫に変色、痛みなどがあります。
ご自身でできる対処法は、喫煙者の場合はまず禁煙することです。受動喫煙も避けて、症状のある部位を温め、清潔を保つようにして、靴擦れなどのケガも絶対にしないようにすることです。その他には、血をサラサラにする抗血栓薬を飲んだり、場合によっては手術で血管を再建したりすることもあります。
受診すべき診療科は循環器内科です。脚の冷えだけでなく変色が見られる際は、早めに診断・治療に取り掛かる必要がありますので、できるだけ早い日程で受診しましょう。

多汗症

多汗症とは、発汗量が増加する病気です。他に患っている病気の影響で汗の量が増えるものと、他に原因となる病気はないものの汗の量が増える、2種類があります。さらに全身の汗の量が増える場合と、手足や脇、顔面や頭皮など一部分だけ増えてしまう場合があります。
特に足は靴下と靴で覆われるため蒸れやすく、汗もかきやすい部位です。そのため、足から大量にかいた汗によって、「足の冷え」を自覚する場合があります。
受診すべき診療科は皮膚科です。緊急性はありませんので日中に受診しましょう。多汗症の原因となっている病気や薬剤があれば対処し、そうでない場合は治療に移ることが多いです。最も一般的なのは塩化アルミニウム製剤という薬の外用(塗ること)です。皮膚科での診断の後、処方してもらいましょう。

糖尿病足病変

​​糖尿病足病変とは、糖尿病のために起こる重篤な合併症の一つです。そもそも糖尿病は、全身の血管が、血中に取り込まれた過剰な糖分のせいでダメージを受けてしまう病気です。その影響は、細く弱い血管から現れます。足先の血管は心臓から遠いため血流が不足しやすく、そこに糖尿病も加わると簡単に虚血状態になります。具体的にいうと、脚の組織が血流不足のために腐ってしまいます。神経組織も虚血によって機能を失っているため痛みを感じることもなく、靴擦れなどの些細な傷が悪化して、気づいた頃には足を切断しないといけないという恐ろしい病気です。
まず受診すべきは糖尿病内科です。足に異常を感じる前から入念に足先は観察しておくようにしましょう。黒く変色している場合はすでにその部分は腐っていることが多く、早急な治療が必要です。できるだけ早く医療機関を受診してください。

心不全

心不全とは、心臓が悪いために体中の血液を循環させるという働きができなくなり、息切れやむくみを引き起こす病気です。不整脈や狭心症、感染症や内分泌疾患など様々な原因で心不全は起こります。また長年の高血圧や老化から心不全に至ることもあります。血液の循環が低下するため、脚の血流の巡りも悪くなり、脚の浮腫や冷えという症状が出現します。
対処法には、足を温める、運動習慣を取り入れる、水分・塩分を適切な量に抑えるなどがあります。しかし基本的に高度な判断が求められる病気ですので、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
受診すべき診療科は循環器内科です。息切れ症状がどんどん強くなっている際は緊急性が高いため、すぐに受診してください。

「足が冷たい」ときの正しい対処法は?

ご自身で出来る対処法は、入浴時間を長くする、運動習慣を取り入れる、睡眠時間を多くとるといった方法があります。これらの対応で良くなる場合は、それほど重篤な状態ではないので安心してください。一方でこれまで紹介した病気が原因の場合は、なかなか改善しないと考えられます。その際は早めに病院を受診しましょう。

「足が冷たい」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「足が冷たい」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

末端冷え性で足が冷たいのは内科で治療できますか?

中川 龍太郎(医師)

治療できます。

足が冷たいときはまずどうすればいいですか?

中川 龍太郎(医師)

入浴時間を長くする、運動習慣を取り入れる、睡眠時間を多くとるといった方法を試してください。

布団に入っても足が冷たいのですが病院に行くべきですか?

中川 龍太郎(医師)

まずは先に述べた生活スタイルの改善を試して、効果がなければ受診しましょう。

まとめ

足が冷える症状は、性別や年齢に関係なく誰もが経験することの多い症状です。自然に治る場合も多いのですが、症状がつらいときは無理せず医師に相談してくださいね。

「足が冷たい」症状で考えられる病気

「足が冷たい」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

閉塞性動脈硬化症バージャー病慢性心不全

末端冷え性

糖尿病足病変

精神科系の病気

自律神経失調症

婦人科系の病気

月経困難症鉄欠乏性貧血

皮膚科の病気

多汗症

主に血管に関連する病気が多く考えられます。またストレスから過度な発汗によって症状が出現することがあり、不規則な食生活、喫煙、飲酒などの生活習慣が関わっている可能性もあります。

「足が冷たい」に似ている症状・関連する症状

「足が冷たい」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

冷え性

足が痺れる

足に不快感がある

足の裏熱い

「足が冷たい」症状の他に、これらの症状がある場合も「自律神経失調症」「閉塞性動脈硬化症」「バージャー病」「末端冷え性」「貧血」などの疾患の可能性が考えられます。複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

【参考文献】
・糖尿病診療ガイドライン2019(日本糖尿病学会)