原材料の高騰などで、相次ぐ値上げ。仕方ないと思いつつも、せっかくならばおトクに暮らしたいですよね。そこで、今回は日用品やものを購入する際の、「どっちがおトク?」と迷うものをピックアップ。消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんに教えてもらいました!

トイレットペーパーを買うなら(通常巻き)VS(倍巻き)

毎日の生活に欠かせない「トイレットペーパー」。スーパーに行くと「通常巻き」と「倍巻き」が売っていますが、実際はどちらのがおトクなのでしょうか?

●通常巻きと1.5倍巻きで1パックの全長を比較

<A社>
・通常巻き(1パック12個入り) 60m/個
・1.5倍巻き(1パック8個入り) 90m/個
・全長 720m

<B社>
・通常巻き(1パック12個入り) 55m/個
・1.5倍巻き(1パック8個入り) 82.5m/個
・全長 660m

<C社>
・通常巻き(1パック12個入り) 60m/個
・1.5倍巻き(1パック8個入り) 90m/個
・全長 720m

1.5倍巻きのほかにもブランドによって2倍、3倍、5倍などがある

●価格の差はないけど交換や購入の手間が減る分、倍巻きの方がおトク!

トイレットペーパーの「倍巻き」とは、1ロール分のペーパーが通常巻きより長いこと。ただしぴっちり巻いてあり、ロールの厚みは通常巻きとほぼ同程度。トイレットペーパーは1個ずつではなくパックで売られているので、上の表のように1.5倍巻き8ロール入りと通常巻き12ロール入りは、1パック合計の長さが同じで、価格も基本的に同じです。

価格的なおトク度には差はありませんが、使い勝手という点では倍巻きの方にメリットが。まず1ロールが長もちするので交換する手間が減ります。また12ロールより8ロールの方が置き場所を取らないので、同じ長さ分を省スペースでストックでき、災害時の備蓄用としても便利です。

じつは、倍巻きは以前から販売されていましたが、コロナの影響で家族の在宅時間が長くなり、トイレの利用回数が増えたことで注目されるように。実際、売り上げも伸びています。価格は同じでも、トイレットペーパーの交換やストック管理という“名もなき家事”が軽減されるメリットは、十分おトクと言えるでしょう。

缶ビールを買うなら「350ml缶」VS「500ml缶」どっちがおトク?

スーパーなどで見かける缶ビールは「350ml」と「500ml」が一般的ですが、どちらのほうがおトクなのでしょうか?

●同じブランドの缶ビール、500ml缶と350ml缶の価格の比較

<Aスーパー>
・500ml缶の価格 243円
・500mlから計算した350mlの価格 243×70%=170.1円
・実際の350mlの価格 174円

<Bスーパー>
・500ml缶の価格 254.6円
・500mlから計算した350mlの価格 254.6×70%=178.2円
・実際の350mlの価格 180円

<Cスーパー>
・500ml缶の価格 236.5円
・500mlから計算した350mlの価格 236.5×70%=165.5円
・実際の350mlの価格 178円

6缶パックの価格を1缶当たりに割り戻した金額。価格は編集部調べ

●容量当たりの価格は500ml缶の方が割安でおトク

350ml缶と500ml缶のどちらがおトクか? 容量当たりの価格で比較すると、答えはズバリ! 500ml缶がおトクです。

理由は計算するとわかります。350ml缶は500ml缶の70%の容量です。たとえばAスーパーの場合、500ml缶は243円なので、その70%、つまり350mlに相当する価格は170円になります。しかし、Aスーパーでは、350ml缶は実際には174円で売られています。つまり4円割高ということ。言い換えれば500ml缶の方が4円割安ということです。

Bスーパー、Cスーパーでも同様に、500ml缶から割り出した350ml缶の価格よりも、実際に売られている価格の方が高くなっています。

また上の表のように、同じブランドの同じ容量のものでも、スーパーによって価格が違うので、安い店を見つけるのがおトクのポイント。さらに同じ店でも、連休前などビールの購入ニーズが高まる時期は価格が上がることも。そのパターンを見つけられれば、よりおトクに買えるかもしれません。

洗濯用の液体洗剤でおトクなのはどっち?(濃縮タイプ)VS(通常タイプ)

節約するうえで、毎日使うものを見直していくことは大切です。いろいろなタイプが出ている洗濯用の洗剤もそのひとつ。液体洗濯用洗剤って、一般に、濃縮タイプの方が通常タイプよりも、容器が小さめなのに値段が高めで割高なような気がするけど、実際はどっちがおトクなのでしょうか?

●おもな洗剤の濃縮タイプと通常タイプの比較

<濃縮タイプ>

【花王 アタック 濃縮タイプ】

内容量:380g
水30L当たりの使用量の目安:10g
水30Lで洗濯した場合の洗える回数:38回
価格(税込み):382円
水30Lで洗濯した場合のコスト:10円

<通常タイプ>

【花王 アタック 通常タイプ】

内容量:880g
水30L当たりの使用量の目安:25g
水30Lで洗濯した場合の洗える回数:35.2回
価格(税込み):360円
水30Lで洗濯した場合のコスト:10.2円

価格は編集部調べで、ネットショップ価格

●濃縮タイプの方が使用量が少なくてすみコスパがいいからおトク

濃縮タイプと通常タイプの違いは、簡単にいえば水分の差にあります。液体洗剤の水分をカットしたものが濃縮タイプ。その名のとおり「濃い」洗剤ということです。ですから同じ水量に対する使用量が、濃縮タイプの方が通常タイプよりも少なくなります。

今回比較した洗剤では、水30Lに対しての使用量の目安が、濃縮タイプは10gですが、通常タイプは25g。つまり2.5倍の量を使うことに。容器が大きくて内容量が多くても、使う量が多ければ洗剤の減りも早くなります。比較してみると、通常タイプの内容量は、濃縮タイプの約2.3倍もありますが、洗える回数は濃縮タイプの方が多くなります。

となると、濃縮タイプの方が1回の洗濯にかかるコストが安くなります。水30Lで比較した場合はわずかな差ですが、家庭での実際の洗濯物の量を考えると、水量はもっと多くなり、洗濯は毎日のことなので、コスト差も大きくなることに。さらに1本で洗える回数が多いので、買い替えの手間が減り、容器の小ささから収納スペースもコンパクトで済みます。濃縮タイプは容器が小さかったり、値段が高めで割高に感じますが、1回の使用量が少ないのでコスパがよくておトクというわけです。

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