本、ポスター、パッケージ、映像作品、Webなど、魅力的な最新のデザインを毎週ダイジェストでお届け。今回は、を紹介します。目次書籍カバー
桐野夏生『真珠とダイヤモンド(上・下)』●Designer:佐藤亜沙美[サトウサンカイ]
●Illustrator:Kamin
毎日新聞出版
2023バブル全盛期を描いた、桐野夏生の長編小説『真珠とダイヤモンド』。1986年の春、佳那と水矢子は福岡の証券会社で出会う。貧しい環境で育った2人は、それぞれ上京する夢を温めていたのだが……。上下巻で対となるデザインの書籍カバーは、装丁をサトウサンカイの佐藤亜沙美、装画をイラストレーターのKaminが手がけている。ゴールドとシルバーを基調とした配色、端正な印象のイラストが際立つ、洗練されたデザインに。デザイナーの佐藤亜沙美さんからのコメント本作を読み進めるうち、桐野夏生さん作品のファンに加えてさらに多くの方に読んでほしいと思い、これまでの装幀と少し路線の違う方向性を目指したところ、Kaminさんのシャープでありながらポップなタッチに惹かれて描き下ろしのお願いをしました。ゴールドとシルバーの組み合わせは「バブル」の持つ魔力をハレーションのように見せたかったのと、Kaminさんのイラストのタッチからクールな印象の方が似合うだろうと思ったので色数を抑えた表現になりました。イラストレーターのKaminさんからのコメント「バブル時代」のイメージとして、華やかで煌びやかなイメージがあったのですが、本作を読み進めるう ちにそのようなイメージの裏に潜んでいる闇や毒々しさを強く感じ、時代の波に抗おうとする二人の強かさや心に秘めた弱さを、眼差しで表現出来るよう意識して描きました。真珠やダイヤモンドのモチーフを取り入れつつ、二人の主人公それぞれの個性をどのように表現するかを悩みながら制作しましたが、佐藤さんのデザインが加わることでより絵に深みが出たように思います。商品パッケージ
『ふわうま・うましお味』『ふわうま・海老しお味』●Art Director+Designer:小野山貴子[東ハト] 
2023
東ハト東ハト「キャラメルコーン」の製造技術を応用した、ふわっと軽くとろけるような口どけが特徴のコーンスナック『ふわうま・うましお味』がリニューアル。さらに『ふわうま・海老しお味』が新たに仲間入りした。アートディレクションとデザインは、東ハトの小野山貴子によるもの。オリジナルで制作されたタイトルロゴや、ポップでありながらやさしさも感じさせる色使いなど、スナックの軽やかさ、おいしさをイメージさせるパッケージだ。商品&デザインのコンセプト「ふわっと軽い食感」と「特徴的な形状の製品」をしっかりと伝えるため、シンプルでわかりやすいデザインに。 配色もニュアンスのある色合いにすることで女性が手に取りやすい雰囲気を目指しました。今回のリニューアルでは、食感訴求とアイキャッチの役割として右上に黄色いアイコンを追加しています。デザイナーの小野山貴子さんからのコメントロゴの上に象徴的に生地写真を配置することで、「ふわっと軽い食感」と「特徴的な形状の製品」を強調しました。軽さを表現するための白ロゴは、線を太くしたり影や飾り文字を付けることで薄い印象にならないよう気をつけました。要素が少なくシンプルなデザインなので、雑さや手抜き感が出ないよう、ロゴやコピーなどはほぼ全て作字し、デザインの統一感や作り込み感を演出しています。