年齢を重ねても、少し調子が悪くても「自分は大丈夫」と無理していませんか? 生活情報誌のライターとして活動するやまざきさちこさんも、「私は大丈夫」と無理をした結果、昨年脳出血で倒れるという経験をされました。今回は、その経験から感じたことを教えてもらいました。

突然だった脳出血。倒れた自分に心の準備もなくぼう然…

昨年のお正月、仕事のデスクを片づけて立ち上がった瞬間、「あ、めまい」と思いながら意識を失いました。更年期になって、ときどき身に覚えがあったのですが、倒れた原因は高血圧による脳出血でした。

運よく命拾いをしましたが、今思うと「私は大丈夫」と思い込んでいたせいもあるかと思います。誰だって、自分が大病をする未来なんて考えたくありません。でも、50代になれば「あり得る」と考えてみるべきと思うようになりました。今回は「今にして思う心構え」についてつづります。

●大丈夫でない自分を受け入れられなかった

40代で離婚して以来、都心のマンションでひとり暮らしをしていました。血圧など少しだけ気になるところはあったものの、まさか50代前半で脳出血に倒れ、お正月休みで発見まで10日間以上かかるなど、夢にも思いませんでした。

じつは倒れてから緊急搬送されるまでの10日間、ときどきうっすらと意識が戻っていたのですが、「おなかがすいた」「仕事の連絡をしなければ」などと考え、倒れてなお、自分は大丈夫と思い込んでいました。救急搬送され、夢と現実が区別できるようになったのは1か月後。さらに、今後のことを考えるようになったのは3〜4か月後です。

いわゆる、頭が真っ白な状態が長く続いたのは、病気のせいばかりではありません。心の準備もなにもなく“大丈夫でない自分”を受け入れられなかったからだと思います。

●「もう若くない」と認めることも大切に

仕事に復帰した今、へこたれずに思うことは、健康づくりや病気の予防だけではありません。“倒れた自分”と向き合うこと。そのためにもまず必要なのは「もう若くない」と認めることのように思います。

「まだまだイケる」と思いがちな、アラフィフ世代。バブル期に青春時代を過ごし、何事にもアグレッシブ。仕事に遊びに、つい無理をしがちです。まさに、自分自身がそうでした。でも、更年期とともに体は変化し、それまで健康だった人も油断をすれば、大病になり得る年齢になったのです。

現実的にも仕事の責任は増し、子育てのつぎは親の介護と、今の50代には自分と向き合う余裕などないでしょう。だからこそ、無理をせず、自分をいたわるために「もう若くない」と認めることが大切なのです。

●「老い」をネガティブにとらえない

とはいえ、「もう50代」よりも「まだ50代」と考える人は多いでしょう。それが、今の50代の特徴でもあり、だからこそ「私は大丈夫」と思い込んでいたのです。

大病をした身からすると「もう若くない」と認めることは、自分の健康への意識を変えるきっかけになります。「若くない」=「老い」を素直に受け入れると、健康への不安や警戒心が大きくなり、無理をしない抑止力になるでしょう。

私自身は、細胞の老化を防ぐ抗酸化力の高い野菜、スパイスを取り入れ、減塩の食生活を実践中。「老い」など見たくないと目をつぶるより、目を見開いて受け入れてこそ、効率よくガードができるというものです。

あれもこれもがんばりすぎる50代。「もう若くない」と認め、がんばらなくていいと自分で思えたら、病気につながるストレスも少しは軽くなるはずです。

次回は、倒れた身として「こんな心の備えをしておけばよかった」と思ったことについてお伝えします。