高校・大学と家計に大きくのしかかってくる教育費。準備していなかった! ではすまないので、しっかりと貯めていきたいもの。中・高校生の子どもを持つ40代夫婦ケースをファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんに伺いました。

教育費っていくら必要?これからかかるお金をチェック

子ども2人の今後の教育費をシミュレーション! 「高校や大学の教育費がいくら必要かわからない」という人は、ぜひ参考に。

相談者:青葉一美さん(仮名)
夫と長女13歳、二女11歳の4人家族。夫婦協力してやりくりし、住宅ローンの繰り上げ返済と貯蓄に励み中。2人の子どもの今後の教育費が心配。

●学費以外の受験料なども一緒に計算しましょう

棒グラフが、今後の青葉家の教育費予想。長女は私立高校から私立大学文系に、二女は公立高校から私立大学理系に進んだと仮定しています。

「高校は就学支援金があるので、青葉家の場合は実際には公立は無償、私立も3分の2弱ですむはず」と畠中さん。

大学の1年間の授業料は、私立文系は約90万円、理系は約130万円が目安ですが、教材費や施設設備費などもプラスされます。

「また、入学前には受験費用や入学金なども必要。2人の学資保険500万円は高校3年生〜大学初年度の出費に充て、残りはそのときの収入と貯蓄でまかないましょう」

教育費のかかりどきを見える化して、準備しておけば安心です。

●青葉さんの今後の教育費をシミュレーション

・長女(13歳)

公立中学校2年生。中学では吹奏楽部に所属。小学6年生の冬季講習から塾通いが始まり、今も高校受験のために塾へ。月謝は約3万円。文系科目が得意。

・二女(11歳)

公立小学校6年生スポーツクラブでテニスに励み、月謝は1万円。塾は中学になってから通う予定。算数が好きなので、将来は理系を選択する可能性も。

私立高校の授業料も私学助成金の対象ならほぼ無償に

高校は公立・私立とも、就学支援金が受けられます。支給額は親の収入で異なり、公立は世帯年収910万円未満で年額11万8800円、私立は世帯年収590万円未満なら年額39万6000円、590万円以上910万円未満は年額11万8800円。収入が限度内なら、授業料は実質無償に。

●支援金を受け取れるのは入学後!授業以外にかかる費用を把握して

就学支援金は学校に直接支給されますが、先に授業料を徴収し、支給後に還付する学校も。また、入学金や通学に必要な交通費は自己負担です。とくに私立は高くなりがちなので注意!

●受験料+入学しなかった学校への納付金も必要

→平均20.8万円

第1希望の合格の確定前に、“滑りどめ”で受けた高校の入学金納付の締めきりがきて支払うケースも。受験料と併せて、高校入学前にかかる費用として準備を。

●高校の部活費にも備えて

高校の部活費はすべて自己負担。吹奏楽部に入ると演奏会や合宿、県大会への遠征費がか
かります。全国大会まで進むと、さらに費用はアップ!

大学入学お金のあれこれ

受験料のほか、地方受験の場合は交通費もかかります。さらに入学しなかった学校に納付金を払う場合も。早生まれで学資保険の満期が間に合わない場合は、貯蓄で備えて。

●大学受験料の準備も必要!受験費用や入学金は学資保険でカバーを

<受験料の目安>

・大学入学共通テスト:3教科1.8万円、2教科1.2万円
・国公立大・2次試験:1校/約1.7万円
・私立大・一般入試:1校/約3〜3.5万円

<私立大学・文系入学なら>

→総費用は一人当たり201.5万円
・学費など 145.2万円
・入学金 25万円
・受験費用 31.3万円

<私立大学・理系入学なら>

→総費用は一人当たり229.6万円
・学費など 172.4万円
・入学金 25万円
・受験費用 32.2万円

<国公立大学入学なら>
→総費用は一人当たり152.5万円
・学費など 96.6万円
・入学金 28.2万円
・受験費用 27.7万円

●奨学金の種類はさまざま!自治体や企業の制度も要チェック

大学生のほぼ半数が奨学金を受給中。でも、気軽に利用すると本人が長く返済に苦しむことも。成績や親の年収などの条件はありますが、各種財団、地元企業や自治体などの「給付型奨学金」もチェックを。教育ローンは老後の負担になるので、無理のない額に抑えて。

<日本学生支援機構の奨学金の種類>

・貸与型奨学金:第一種(利子なし)、第二種(利子あり)
・給付型奨学金(返済なし)

教育費のシミュレーション表は、文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」、日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査」、文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果」、文部科学省「令和3年度私立高等学校等初年度授業料等の調査」の数値を基に編集部で試算したものです

●もし下宿をしたら

・下宿を始めるための費用:1人当たり平均38.7万円※1
・仕送り額:毎月7万1880円※2
・生活費:毎月12万5040円※2
最初にアパート入居の敷金や引っ越し費用が必要。仕送り額の平均は年間約85万円ですが、仕送りなしが1割いる一方で、100万円以上も43パーセントと二極化※1

1 日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査」より

2 全国大学生活協同組合連合会「第57回学生生活実態調査」より

●浪人なら100万円前後の予備校代がかかる可能性も

浪人すると、予備校への入学金や授業料、夏期・冬期講習などで100万円前後が必要な場合も。塾が家から遠い場合は、交通費もかさんで家計を直撃!

●就職活動の状況で「卒業延期」を選択する方法もあり

就職先の都合で内定取り消しや就職先が決まらなかった場合は、「卒業延期」を選択できる学校もあります。授業料を全額支払う留年に比べ、費用は1年延期で10〜20万円程度。単位が全部とれているのが利用の条件。

●成人式と運転免許でプラス約50〜60万円の出費に

運転免許は、合宿なら30万円前後、学校に通うと20〜25万円。成人式の振袖のレンタルは5〜10万円、前撮りの費用も必要。子どもと事前に相談をしておきましょう。

●これから2人分(13年間)にかかる教育費は…

約2270万円(長女約1030 万円、二女約1240万円)

教育費のシミュレーション表は、文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」、日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査」、文部科学省「私立大
学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果」、文部科学省「令和3年度私立高等学校等初年度授業料等の調査」の数値を基に編集部で試算したものです