子どもが小学校を卒業したあたりから、教育資金に頭を悩ませる人は多いもの。中・高校生の子どもを持つ40代の夫婦の場合、支出のバランスはどのように取ればよいのでしょうか? ファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんに伺いました。

教育費が増える40代の貯蓄はバランスよく、がポイント

子どもが高校生になると、塾代や部活に費用などで教育費が急増します。

「教育費だけで月収の2割を超える家庭が多く、それまで貯蓄できていた人もできなくなりがちです。月収の1〜3パーセントでもいいので、がんばって貯める習慣を続けましょう」(畠中さん)

また、携帯代や子どもの食費が膨らむのもこの時期。

「通信費を増やして、その分水道光熱費などほかの支出をできるだけ抑えて対応しましょう」

ローンの繰り上げ返済は、子どもが中学生になったらストップを。

「進路によって予想外の教育費がかかる可能性もあるので、貯蓄を温存しておくことが重要です」

●教育費は22パーセントに収まればOK

中学〜高校にかけて、塾代などで教育費はどんどん上昇。

「多くても月収の22パーセント以内に抑えたいところですが、遠征が多い部活に所属すると費用がかさんで難しくなりがちです」

また、子どもの成長により食費も増えます。各項目の予算オーバーにも注意が必要です。

「部活帰りのおやつ代で、食費も増えます。1週間分1000円などと予算を決めて手渡すと管理しやすく、子どもの学びにも」

さらに、こづかいや携帯代など、子どもにかかる費用がアップ。悩みは尽きません。

40代で考えるお金のQ&A

子ども関係での支出が増える時期だからこそ、悩みはつきないもの。ESSE読者の青葉一美さん(仮名)が、畠中さんにいろいろな疑問を聞いてみました。

青葉さんプロフィール
夫と長女13歳、二女11歳の4人家族。夫婦協力してやりくりし、住宅ローンの繰り上げ返済と貯蓄に励み中。2人の子どもの今後の教育費が心配。

●教育資金の貯蓄と並行して始められる老後資金の準備は?

→A:節税対策になる人はiDeCoがおすすめです

自分で年金を上乗せできる「iDeCo(イデコ)」を利用しましょう。かけ金が所得から控除されて所得税や住民税が安くなるため、働いて収入がある人はおトク。運用益にも課税されません。原則60歳まで引き出せませんが、年1回かけ金の変更が可能。教育費がかさむ時期は減額して対応しましょう。

●貯金があるなら医療保険はもったいない?

→A:保険料が戻ってくる医療保険を選ぶのも手

貯蓄が多いと医療保険は必ずしも必要ありませんが、老後に備えて支払った保険料がほぼ全額戻ってくる保険に入るのも手。入院日額1万円の場合、月の保険料は8214円で、70歳時に戻る額は291万6000円(※)。もらった給付金分は差し引かれますが、70歳時に戻るお金で以降の医療費に備えられるので安心です。

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●教育費がかかる前に住宅ローンは繰り上げ返済した方がいい?

→A:無理は禁物! 条件変更するだけでもOKです

今後教育費がかかるので、繰り上げ返済で貯蓄を減らすのは危険! 返済条件を変更して月々の返済額を増やせば、返済期間の短縮ができます。期間が長く、残債が多いほど数千円増やすだけでも効果は大。残債が少ない青葉家は、月3万3000円増やせば長女の大学入学時に完済に。

<青葉さんの場合>

・現在
ローン残高:450万円
返済額:4万3100円
返済期間:10年

・変更後
返済額:7万6053円
返済期間:5年

金利ミックス型(変動0.55パーセント、固定1.35パーセント)から変動金利0.5パーセントに変更したと仮定して試算。将来の金利を保証するものではありません