持ち家では表札を出すケースが多い一方、賃貸マンションなどでは表札なしのお宅が数多く見受けられます。古くからある住宅地に戸建てを建てた日刊住まいライター。プライバシーを守るため、「表札に名字は載せず、番地だけを表記」という方法を採用しました。配達やご近所づき合いなどにおいて、不都合はあったのか、詳しく語ります。

かつてのマンション暮らしでは、表札に名前を

わが家は夫婦、8歳の長男、6歳の二男の4人暮らし。古くからある住宅街に、2年前ハウスメーカーで2階建ての注文住宅を建てました。

わが家の周囲には、60代以上の方が多く住んでいます。最近、ところどころで家の建て替えがあり、わが家のような子どものいる世帯も地域に入ってくるように。

ちなみにこの住宅街は、碁盤の目のようにきれいに区画が分かれています。そんな環境での家づくり。当初わが家は、表札に名字を表記するかどうか迷いました。

もともと実家暮らしが長かった筆者。名字を載せるのは当然だと思っていました。一方、夫には長い賃貸暮らしの経験が。プライバシー保護のために名字は載せなくていい、という考え。

これまで夫婦でマンションに暮らしていたとき、周囲で表札を出していたのは半分くらい。わが家も名字が書いてある簡単な表札をつけていました。友人や配達員が訪れるとき、同じようなドアばかりでは、わが家を見つけにくいと思ったからです。

また、マンション内の通路で名前をさらすぶんには、プライバシーの面でも、あまり抵抗がありませんでした。

 

メリット・デメリットを踏まえ、名字は表示しないことに

上の画像は、外構デザインの資料の一部。上2つが表札のイメージ画像です。結論から言うと、わが家が選択したのは「表札をつけるけど、名字は載せない。表記するのは番地だけ」というもの。わが家は、道路からだれでも表札を見ることができるので、プライバシーを守りたかったのです。

名字を載せる場合、載せない場合、それぞれにメリット&デメリットがあります。筆者が家づくり当時想定したことを以下にまとめます。

 

●名字を載せる場合

メリット:地域住人から認知してもらいやすい。また、配達員にとってわかりやすくて親切。誤配のリスクが少ない

デメリット:知られたくない人に家を特定される可能性がある

 

●名字を載せない場合

メリット:よく知らない人に個人情報を見せなくてすむ。表札をつくらなくてすめば、コスト削減にも

デメリット:誤配や荷物が届かないなどのリスクが増える。町内会など、近所の方々に名前を覚えてもらえない恐れも。場合によっては、壁をつくっているかのような印象も与えかねない

わが家がとった「表札に番地だけ載せる」方法。これは、ハウスメーカーの設計士が提案してくれました。最近では、番地だけ載せる方も増えているそう。プライバシーへの意識が昔より高いこと、また、自営業の方に結構多いといった話がありました。

日本ではなじみがありませんが、一部の国では、番地だけで名前を載せないのが主流というところも。映画やドラマに映る玄関を思い出してみると、確かにそうですよね。

番地だけの表札で、実際に不都合はなかった

わが家は、インターホンとポストと一体になった表札を選びました。インターホンの横に番地だけ記しています(プライバシー保護のため、番号は消しています)。実際に暮らしてみて2年。どうだったか?

 

1.最初は届け間違いも。でも3か月もすれば問題なくなった

じつは、わが家の裏のお宅が、たまたま表札なし(番地なし、名字なし)でした。そのため、引越し当初は、よく裏のお宅に不在票を入れられたり、配達員から電話がかかってきたり。その度にストレスを感じたことも。

そこで、思いきって配達員に相談。すると、なぜか配達業者の会社の住所資料では、裏のお宅がうちの番地になっていたことが判明。以降、改善しました。加えて、配達員がほぼいつも同じ担当者ということもあり、わが家の住所を覚えてくれたようでした。

こうして、引っ越し3か月後には、届け間違いはほぼなくなりました。たまになじみのない配送業者から、問い合わせの電話がかかることもありますが、回数が少く、ストレスには感じていません。

 

2.地域での人づき合いにも支障なし

引っ越し当初は、他県からの新参者ということもあって、近所づきあいに支障が出ないか心配でした。しかし、近所の方々とは、地域の清掃や生協などで実際に顔を合わせることに。そうした機会に、名前を認知されました。

また、町内会の届け出を出したので、資料にはちゃんとわが家の名字も載っています。案内もちゃんと届くし、地域の子ども会のおつき合いについても問題なしです。

 

ミニマムなデザインに満足。でも、気づかれないケースも

番地の数字だけ。このミニマムさと、わが家の外観デザインがあっている気がして、筆者はとてもこの選択を気に入っています。

ただ、ミニマムでおしゃれすぎた結果(?)、子ども会の方が初めてわが家を訪れた際は、表札に書かれている番地に気づけなかったそう(もしも番号が見えていたとしても、その意味がわからなかった可能性も…)。初めてくる方には「インターホンの横に番地を書いているから、不安だったら確認してね」と伝えた方がよいようです。

というわけで、番地だけの表札で、わが家のケースでは問題なく暮らせています。ちなみに小さな息子たちには、迷子の備えとして、名字はもちろん、番地も言えるようにしっかりと教育してあります(笑)。