レスが原因で夫に離婚をきり出された千夏さん(仮名・30代)。前回は、初めての子育てに必死になっている中で最愛の母親を亡くし、感情が不安定になってしまったお話をしました。そんなときに浮上した夫の浮気疑惑。自分自身を責めながら、なにが正しいのかわからなくなっていってしまった当時を振り返っていただきました。

夫が別れたがっていた本当の理由はレスではなく女だった

「え? まさか夫が浮気?」という半信半疑な気持ちを抱きつつ、夫の周囲を少しずつ調べてみることにしました。すると、夫の几帳面な性格のおかげで、浮気の証拠はいとも簡単に入手できたのです。

●日記、領収書、写真の3点セットをゲット

夫の手帳を見てみると、ご丁寧に毎日一言ずつ簡単な日記のようなメモ書きがありました。それで家で食事をしていない日は、たいていA子という会社の同僚と会っていたことが判明。お財布の中には、高級レストランやホテルの領収書があり、スマホを見ると、仲よさげな二人の写真が出てきたのです。

「女がおるにきまっとる」という義理の兄(姉の夫)の言葉を聞いたときは「そんなわけない!」と思ったのですが、一つずつ積み上がる事実を手にした私は「あぁ、やっぱりそうだったんだなぁ」と落胆しました。

夫は几帳面な性格があだになった形で、浮気の証拠を妻の私に握られてしまったわけですが、いざ「離婚したい理由ってA子さんなの?」と証拠を見せると、「そんなことくらいで大騒ぎしないでよ」といけしゃあしゃあ。

●浮気を責めるも「正社員で必死に働いているのはこっち」などと主張されて心が折れる

夫に浮気の証拠を突きつけて、「どういうこと?」と問い正しても「うるさい」「なんでそんな言い方されなきゃいけないわけ?」「すごい必死に働いているのこっちじゃん」「なにもわかってないのはお前だ」などと、理不尽な物言いで逆ギレしてきました。

正社員の自分と、バイトの私では、大変さの比重がぜんぜん違んだというのが夫の言い分。浮気のショックより、理解に苦しむ謎の言い訳に戸惑いました。

まだ幼い子どもの前でもケンカしてしまうことが増え、その状況も苦しかったです。

●浮気したのは夫なのに!義理の両親は私を責めてきた

一緒に住んでいる義理の両親に夫の女性問題の相談をしたのですが、義父も女遊びが激しい人でした。なので、「浮気くらい男の甲斐性なんだから。まだ若いんだし、よくあること。奥さんなんだからドーンとかまえていればいいの。それをああでもない、こうでもないって責めちゃダメ」と怒っている私のほうが悪いくらいのことを言われてしまうのです。

それに対して義母も「いちいち問いつめるからモメるのよ。証拠探しなんてした千夏さんもいけないのよ」と、私に非があると責め立ててくる始末。

なので、夫が朝、会社へ行く前、普通に「今日の帰りは何時なの?」と聞いても「会社の飲み会があるから遅くなる」とか「同僚の○〇と飲みに行ってくる」などと言われ、どうせ女と会うんだろうなと感じつつも、自由にさせることにしました。もう怒るパワーすら、削られてしまった感じです。

●おかしいのは私?なにが正しいのかわからなくなっていった…

私は、若くして授かり婚をしたから、「子どものためにも自分がちゃんとしなきゃ!」とこのときもずっと強く思っていました。義理の両親との同居や母の急逝などの背景もあり、たしかにレスに拍車がかかるのは、ほかの夫婦よりも早かったと思います。

しかし「浮気は男の甲斐性だ」と当たり前のように言われてしまう環境で、私ばかりおかしなことを言っている変な人のような扱いをされ、夜になると布団のなかで、一人で泣く日々が続きました。私が変わらないと家族が壊れてしまうのかな…。

でもそんな私にはっきり「NO」と言ってくれたのが姉でした。

「なに言ってんの? 千夏の嫁いだ家は、歌舞伎の世界じゃあるまいし。浮気を肯定するみたいなおかしな価値観を平気で押しつけてくるなんて呆れてしまうわ。そこにいるからいけないのよ。すぐにこっちに避難してきなさい。このままじゃ、家族の前に千夏自身が壊れてしまうよ」と言われ、着の身着のまま、娘をつれて姉の家へ身を寄せることにしました。

自分の家庭の問題を姉の家に持ち込むのは嫌だったのですが、姉も姉の旦那さんも、ボロボロになった私を温かく迎え入れてくれました。

これは後でわかったことですが、夫の不倫相手の女性はかなり年上で、異性関係も激しい人だったようです。姉の旦那さんが浮気夫に「女と家族、どっちをとるのかハッキリしろ!」と交渉してくれたお話はまた次回。