浦和レッズから韓国王者へ。江坂任が誓ったKリーグでの活躍「天野純さんと比較されるのは当然」【独占インタビュー】

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「天野さんと比較されるのは当然です。もっと上手くなりたい」

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浦和レッズから韓国Kリーグ1(1部)の蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)に加入した日本代表MF江坂任(30)は、淡々とした表情でそう語った。

1月11日、蔚山現代クラブハウスで本紙『スポーツソウル』の取材に応じた江坂は、キャリア初の海外挑戦を韓国王者で迎えたことへの思いを明かすとともに、「すべてを注ぐ」と決意を誓った。

「天野さんよりもっと優れた活躍を」

 

取材同日には偶然にも、蔚山現代率いるホン・ミョンボ監督が全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースの元日本代表MF天野純(31)に対する“公開批判”を行った。

昨季に横浜F・マリノスからレンタルで蔚山現代に加入し、チームの17年ぶりKリーグ制覇に貢献した天野は、今季は蔚山現代の“因縁のライバル”である全北現代にレンタル移籍した。

ホン監督は天野が自身と結んだ“残留の約束”を破り、全北現代に移籍したとし、「私に嘘をついて全北現代に行った。天野は私が会った日本人のなかで最悪だ」と強く批判した。

天野が話題の人物に浮上したなかで、蔚山現代を去った天野の空白を埋めなければならない江坂も同時に注目されている。

これに対し江坂は、「天野さんがKリーグで活躍していたことは知っています。同じ日本人で比較されるのは当然です。そこに神経を使うよりも、自分がすべきことに集中したい。天野さんよりもっと優れた活躍をしたいのが事実です」と話した。

(写真提供=蔚山現代)江坂任

2015年にJ2リーグのザスパクサツ群馬でプロデビューした江坂は、毎シーズンで成長曲線を描いてきた。

翌2016年には当時J1の大宮アルディージャ(現J2)に完全移籍して2シーズンプレーし、2018年から2021年上半期までは柏レイソルに在籍。柏がJ2を戦った2019年には38試合で11ゴール6アシストを記録し、チームの1年での1部復帰に貢献した。

2021年3月には日本代表に初選出され、同月25日に行われた韓国代表との国際親善試合でA代表デビュー。コーナーキックからMF遠藤航(29、シュトゥットガルト)のゴールをアシストした。

そして同年夏、Jリーグ伝統の強豪である浦和に移籍し、昨季まで攻撃的MFの主力として活躍した。江坂は両足を活かした精巧なパスが持ち味だ。

(写真提供=蔚山現代)江坂任

蔚山現代を率いるホン監督は、江坂がキャリアで最も多くの時間を過ごした柏出身の先輩でもある。ホン監督は現役時代、1997〜1998年にベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)でプレーした後、1999年から2001年まで柏の主力DFとして活躍した。

江坂は「ホン監督が柏出身で、韓国でも“生きるレジェンド”と呼ばれていることは知っています。蔚山に来たばかりですが、監督が個人よりもチームを優先するという点を感じます。だからこそ、(蔚山が)昨季にリーグ優勝を果たせたのではないかと思います」と述べた。

ホン・ミョンボ監督
「韓国の選手にない自分だけの技術を…」

江坂はJリーグ内からも多くのオファーを受けていたなか、30代に突入したこのタイミングで蔚山現代に加入することを決めた。

「蔚山は2020年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝し、昨年はリーグを制覇しました。いつか未知の場所で挑戦することを夢見ていましたが、蔚山という強いチームからのオファーは魅力的でした」

「韓国の選手はFWもDFも皆優れたフィジカルを持っています。韓国の選手が持っていない自分だけの技術で、存在感のあるプレーを見せたいです」と自信を持って伝えた江坂。自身がサッカーで最も重要視することを「ポジショニング」と明かすと、「相手が嫌がって恐れるほど、空間を支配したいです」と強調した。

(写真提供=蔚山現代)江坂任

ひとり蔚山で適応を進める江坂の助力者は、かつてサガン鳥栖、鹿島アントラーズで活躍し、今季から蔚山現代の新キャプテンを務める韓国代表DFチョン・スンヒョン(28)だ。

江坂は「チョン・スンヒョンは日本でプレーしたので日本語もできます。練習場だけでなく、外でも自分を助けてくれます。一日休むときがあったのですが、チョン・スンヒョンが家族との日程を断って、自分が心配だと言って夕食をおごってくれました」と、チョン・スンヒョンへの感謝を伝えた。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)チョン・スンヒョン(右)

ちなみに、蔚山現代にはチョン・スンヒョン以外にも元FC東京、大宮アルディージャ、ガンバ大阪のDFキム・ヨングォン(32)をはじめ、元横浜F・マリノスのFWユン・イルロク(30)、元アルビレックス新潟のDFイ・ミョンジェ(29)、元セレッソ大阪のMFキム・ソンジュン(34)といった元Jリーガーが在籍。スタッフには日本人の池田誠剛コーチもいる。彼らも江坂の韓国生活をサポートしてくれることだろう。

本日(13日)発表されたKリーグ1の2023シーズン日程では、2月25日の開幕戦から蔚山現代対全北現代の“現代家ダービー”が実現することが決まった。

はたして江坂と天野の“日本人対決”は見られるのか、そして江坂のKリーグ・デビューは果たされるのか、来月に迫った開幕を楽しみに待ちたいところだ。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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