日本の夫婦の6割が陥ると言われるセックスレス。義理の両親と同居する形で、学生同士の授かり婚をした千夏さん(仮名・30代)。レスになったという新婚当時について話していただきました。最愛の母親との突然の別れに、感情のふり幅がどんどん大きくなってしまうなかで判明した夫の「意外な本性」とは?

子どもの誕生とともに訪れた悲しい別れ

実は、私の妊娠が発覚して半年ほど経ったころ、母親が「少し頭が痛い」と訴えることがありました。「病院へ行ったほうがいいよ」と何度も言って、やっと詳しく検査してもらったら、脳の病気が判明。幸い、初期での発見だったので、孫の誕生を心待ちにしていた母本人の希望もあり、私の出産を待ってから手術に踏みきったのですが…。

●母の死。現実を受け入れられず…

死ぬような手術じゃないと聞いていたのに…。病院側の手術ミスがあり、突然、母親が亡くなってしまったのです。私が出産したとき、一緒に涙を流して大喜びしてくれて、抱っこしていた光景がよみがえり、母が亡くなったという現実をなかなか受け止めることができませんでした。

だれかに、「新しい命が生まれると、家系がバランスをとるように、だれかが亡くなってしまうことがあるんだよ」と言われ、人はいつか死ぬんだし、自然の摂理だから仕方がないのだと自分に言い聞かせようともしたのですが、そう簡単には悲しい現実を受け入れられずにいました。ふと、夜中、電話したら出てくれるんじゃないかな? とか、LINE送ったら返事がきそう…と思ってしまうのです。
日中は、子育てでバタバタしている分、元気に過ごせていたのですが、子どもが夜、寝静まってから、一人でベッドのなかで泣いてしまうことがありました。別の部屋で寝ている夫はそんな私の様子など知る由もありません。
この母との急なお別れによって、私の心はますます夫から離れてしまい、レスを解消させようという気持ちにすらなれずにいました。

●近くの夫より、遠くの姉。レスの関係に限界が訪れる

そんなとき、同じ気持ちをわかってくれたのが、実の姉です。親の死というのは、本当に経験した者にしかわからないつらさがあります。関西へ嫁いでいった姉とは物理的な距離こそあるものの、「お母さんが死んでから、なかなか立ち直れないでいるんだ」と電話やメールをすると、いつでも親身になって「私も同じだよ」と話を聞いてくれました。アナ雪さながら、姉妹で支えあう日々。
そんなある日、夫にかまう気持ちの余裕がなくなっていたころ、突然「こんなレスな関係で夫婦でいるのはもう限界だ。別れてほしい」と言われたのです。

本当にレスが原因?「別れてほしい」と言い出した夫

子どもが1歳になって保育園に入り、私もアルバイトではありますが、仕事復帰をしました。レスではあるけれど、学生結婚で同じ苦労を分かち合いながら、子どもも生まれて、やっと家族らしくなってきたのかなと思っていた矢先に突きつけられた、「離婚」の二文字。
私は夫を嫌いになったわけではなく、私は私で慣れない義理の実家での同居生活や初めての子育て、そして突然の母との別れという、いろんな出来事が積み重なっていて、本当に気持ちの余裕がなかったことが大きく影響していました。そこは夫も理解してくれていると思っていたのに…。ただ今になって思えば、夫からの言葉には、すでに愛がなかったようにも感じます。

●「バイトしたくらいで疲れたって言うなよ」

ある日、私がアルバイト先の人間関係のいざこざに巻き込まれてしまったときのこと。家で「女性が多い職場だから、なにかと気を遣うんだ」とちょっと愚痴をこぼしたことがありました。すると「人間関係が大変っていったって、所詮はバイトでしょ。正社員で働いている俺と同じ土俵に乗ったつもりで、あれも大変、これも大変って言わないでよ」と正面から否定されてしまいました。

母の死についても、時間がたつにつれて受け止めくれないくらいの悲しみに襲われることがあり「精神的につらい」と夫に言っても、サラっと流されてしまったり、資格試験が近づき「いよいよだから、ギアを一段あげてがんばりたい」と話しても、ほとんど協力をしてもらえなかったり。
徐々に、私自身は感情のふり幅が大きくなってしまっていました。「大変」って言うことも許されないの? と、心に重たい石が乗っているかのような状況で無理を重ねる日々。
夫は「別れたい」と言い出してから、私に対しての口調が日に日に強くなり、次第にケンカも絶えなくなっていきました。

●自分を責めながら、姉に電話。すると意外な答えが…

レスを軽んじていたわけではありませんが、まさかそこが原因で夫から離婚の話を持ち出されるとは思わず、ずっと我慢を強いてしまったことに対して、夫に申し訳ない気持ちになりました。加えて、大きな声で人格を否定されるようなことを言われると、どんどん自分ばかりを責めてしまうことが多くなり、ついには姉と電話で話しているときに、涙が止まらなくなってしまったのです。
心配をかけたくないという一心で黙っていたけれど、もうこらえきれず。私たち夫婦が抱えている問題を、いっきに話したのです。すると…

「そんなん、レスちゃうって。女がおるにきまっとるやん」

姉から話を聞いた旦那さん(義理の兄)の助言でした。
生活がバタバタしすぎて、なにも冷静に考えられなくなっていたときにかけられた思いがけない一言。
そんなことってある…? と思いながらちょっと調べてみると、証拠がどんどんでてきました。夫の浮気が確定し、私が娘を連れて家を出たお話はまた次回。