割れた食器をつなぎ合わせる技法のひとつ「金継ぎ」。一見、難しそうに感じられますが、ホームセンターの材料でおうちでもつくることが可能なんです。今回は「金継ぎの柳家」主宰・柳澤綾佳さんに、やり方を教えてもらいました。

大切なお皿を「金継ぎ」でササッと修復

お気に入りのお皿が割れてしまっても諦めないで! ホームセンターで買える道具を使った「簡易金継ぎ」をマスターすれば、今まで以上に愛着が湧くひと皿に生まれ変わります。

●現代版「金継ぎ」で器が華やかによみがえる

ものを大切に長く使いたい。

そんな人たちの間で「簡易金継ぎ」がひそかなブームになっています。

「日本の伝統的な修復技法、金継ぎはうるしを使いますが、簡易金継ぎで使うのは植物性の樹脂。作業が簡単で気軽にトライできると、人気が高まっています」

金継ぎにはこんな効果も。

「器が割れても自分で直せる。そう思えると、器を気兼ねなく使えるんです。今以上に器と楽しくつき合えるようになると思います」

<金継ぎの推しPoint>

ポイント1:たった1日で完成!
ポイント2:ホームセンターでも材料が買える
ポイント3:器を気軽に楽しめるようになる

 

初心者でもできる!基本の簡易金継ぎ

うるしの代わりに使う樹脂は、「合成うるし」や「新うるし」といった名称でホームセンターやECサイトで販売されています。見た目はうるしと遜色ないできに。

●使うもの

・瞬間接着剤
・マスキングテープ
・エポキシパテ
・カッター
・ウッドスティック
・耐水性紙やすり(400番、1000番)
・合成うるし
・金粉(真鍮粉)
・薄め液(テレビン油)
・筆

所要時間:2時間

●つくり方

(1) 割れた器を接着剤で固定する

器の破片を仮組みしてパーツがそろっているか確認したら、断面に接着剤を塗る。最後のパーツが入らなくなることを防ぐため、接着剤が乾くのを待たずにスピーディーに組み立てていく。

すべてのパーツを接着したら、マスキングテープをはり、仮留めして5分ほど乾燥させる。

(2) 欠けている部分や隙間をパテで埋める

エポキシパテを5mmほどカッターでカットし、2色が完全に混ざるよう、指でよく練り合わせる。少量を指に取り、欠けた部分や隙間を埋めていく。

細かい部分はウッドスティックを使う。パテは、盛りすぎるとあとでやすりで削る作業が大変になるので、パテ部分と器に段差ができない程度を目安にする。

<Point>

パテは練り合わせると数分で固まり始めてしまうので、少量ずつカットして使う。

(3) カッターの刃ではみ出たパテを削る

自然乾燥し、パテを触っても指につかなくなったら、はみ出した接着剤やパテをカッターで削り取る。

(4) 紙やすりをかけて表面をなめらかにする

400番のやすりを使いやすい大きさにカットし、水を含ませながらパテの表面を研いでいく。器を傷つけないよう、注意深く行う。ある程度なめらかになったら、目の細かい1000番のやすりでさらにみがいていく。

(5) 合成うるしと金粉を混ぜる

小皿などに合成うるしと金粉を1対1の割合で混ぜ合わせる。そこに薄め液を1滴ずつ加え、マニキュアほどの濃度になるよう調整する。

(6) パテの上に細い筆を使って塗る

パテ部分に、筆で丁寧に合成うるしを塗っていく。線の太さは好みでOK。描いた線の表面がなめらかになるよう数回塗り重ねたら、1〜2日間自然乾燥させて完成。作業後は、小皿に薄め液を数滴垂らして筆と小皿についた合成うるしを取り除き、ティッシュなどでふき取る。

金継ぎした器は電子レンジやオーブン、食洗機、じか火の使用は不可。

<Point>

合成うるしがはみ出してしまっても、めん棒に薄め液をつけてこすれば取れるので。自由に塗ってみて。

●破片もおしゃれ!「金継ぎアクセサリー」

器の破片にパテで金具やビーズを接着。うるしで模様を描けばアクセサリーが完成。

「ガラスや石、木を使っても同様につくれますよ。角が鋭角なものは、やすりで削ってから使ってくださいね」