昔のゲームを遊ぶためには対応するゲーム機を使い続ける必要がありますが、公式のサポートが終わっている場合は故障したら自分で修理する必要があります。アフガニスタン在住のエンジニアであるClassicHasClass氏が、自身のドリームキャストを修理した記録を公開しています。

Old Vintage Computing Research: Refurb weekend: Sega Dreamcast

http://oldvcr.blogspot.com/2022/11/refurb-weekend-sega-dreamcast.html

ドリームキャストはセガが1998年に発売した家庭用ゲーム機です。GD-ROMという独自のディスク規格をメディアフォーマットに採用しており、業務用基板のNAOMIと互換性があったことから、人気のあるアーケードゲームが多く移植されました。また、アーケードゲームの移植インターネット通信用のアナログモデムを標準搭載していたため、電話回線を介したダイヤルアップ接続でインターネットにアクセス可能で、「遠くに住んでいる知り合いと遠隔で対戦プレイをしたりコミュニケーションを取ったりできる」というのがポイントでした。セガの湯川英一元専務取締役(当時)を起用した自虐的なCMが大きく話題になりましたが、製造トラブルでスタートダッシュに失敗したのに加えて、2000年に発売されたPlayStation 2の牙城を崩すことができず、ドリームキャストを最後にセガは家庭用ゲームハード事業から撤退することとなってしまいました。

以下の写真に写っているのが、ClassicHasClass氏のドリームキャスト。ゲームをプレイするたびに日付と時刻を入力する必要があり、さらになぜか「ソウルキャリバー」以外のディスクを読み込まなくなってしまったとのこと。ClassicHasClass氏は「私は『ソウルキャリバー』が好きですが、これはばかげています。『クレイジータクシー』は遊べないんですか?」と述べています。



ClassicHasClass氏のドリームキャストは2000年5月に製造されたNTSC版のローンモデルで、MIL-CD再生機能を搭載しています。ドリームキャストからMIL-CD再生機能がオミットされた経緯については、以下の記事を読むとよくわかります。

セガ最後のゲーム機「ドリームキャスト」の海賊版対策はどうやって破られてしまったのか? - GIGAZINE



ネジを外して、ドリームキャスト本体の外装を外したところ。



まず、日付と時刻を毎回入力する必要があるのは、内部にある電池が切れていると考えられます。電池はコントローラーポート上にあるボードに取り付けられています。



電池はボタン型のML2032。同型のCR2032でも一応代用は可能ですが、ML2032は充電池タイプなのでなるべくML2032を使うのがよいとのこと。



将来的に交換修理がしやすくなることを考えて、ClassicHasClass氏はボードに電池のホルダーをはんだ付けしています。



なお、ClassicHasClass氏によると、ドリームキャスト本体の電源が入らないときがある、あるいは入っても数秒後に切れてしまう場合はリボンケーブルあるいはファンコネクタに問題があるそうです。ドリームキャストは熱によるダメージを防ぐために、ファンに異常がある場合は強制的にシャットダウンする仕組みになっているそうです。

次に、「ソウルキャリバー」以外のディスクが読み込めなくなったという症状から、ClassicHasClass氏はディスクの読込み部分であるレーザーピックアップの調整を行いました。



レーザーピックアップは使われているLEDが少しずつ劣化していくため、可変抵抗を少し小さくなるように調整する必要があります。そのため、まずは調整前にあらかじめ抵抗をテスターで計測しておきます。ClassicHasClass氏が測定したところ、約720Ωだったとのこと。ここからClassicHasClass氏は、マイナスドライバーを使って時計回りに15度回し、可変抵抗を400Ωまで調整。ClassicHasClass氏は、LEDの交換が必要になるまであと10年はかかるだろうと予測しています。



見事修理に成功し、ドリームキャスト版「Half-Life」の起動に成功したところ。



ClassicHasClass氏は「掃除してから古いビデオデッキの横で、昔懐かしのクレイジータクシーを一気にプレイしました。クレイジータクシーの移植版(PlayStation2版)では、同じような感触のプレイが得られないんです」とコメントしています。