この記事をまとめると

■交通違反をすると交通反則告知書と反則金の仮納付書が手渡される

■反則金の支払いを拒否していると道路交通法違反事件として刑事手続きに移行する

■青切符の場合、刑事手続きが始まるとほとんどは「略式命令請求」となり90%は不起訴となる

軽微な交通違反の際に渡される通称「青キップ」

 交通違反の取り締まりに遭うと、警察官に違反キップを切られてしまう。

 信号無視、一時停止違反、速度超過(30km/h未満)など、比較的軽微に違反の場合は通称青キップ(正しくは「交通反則告知書」)と反則金の仮納付書が渡される(酒気帯び運転など、深刻な違反であれば赤キップが渡され、後日指定された検察庁または簡易裁判所へ出頭。反則金では済まない)。

 この青キップで済む違反の場合、キップを切られた翌日から7日以内(末日が土曜・日曜・休日にあたる場合は次の平日)に仮納付書で反則金を納付すれば事件は終了し、刑罰は科されないルールになっている。

 仮納付の期限を過ぎてしまった場合はどうなるかというと、青キップを切られた日からおよそ40日後に、「交通違反通告書」と反則金相当額と送付費用を合わせた「本納付書」が郵送されてくるので、これを使用して、納付期限内に指定の金融機関で支払うことも可能。

 ただし、取り締まり自体に納得がいかないというのなら、反則金の支払いを拒否することもできる。つまり、反則金の納付は任意だということ。

 本来、すべての交通違反は刑事裁判が行なわれるのが原則。青キップと反則金がセットの「交通反則通告制度」は、軽微な交通違反について、一定期日までに反則金を支払うことで刑事手続きを省略する制度にすぎないので、取り調べに納得がいかず、反則行為の有無について争いたいときは、反則金を支払わずに刑事手続へ移行するしかない。

 逆にいえば、反則金を支払うということは反則行為をしたことを認めたことになるので、反則金を納付して、あとから文句を言っても、法律的には決着済みになってしまうので要注意!

略式命令請求なら90%は不起訴になる

 反則行為の有無を争いたい人は、反則金納付の「通告」がきてもそれをスルーしておけば、自動的に道路交通法違反事件として刑事手続きに移行するので、反則金を納めずに待てばいい。

 刑事手続きがはじまっても即裁判というわけではなく、まずは検察官が起訴するかどうかを判断する。道交法違反で検察官が正式に起訴する「公判請求」したケースは、赤キップになる深刻な違反を含め、3%しかない。

 残りはどうなるかというと、53.8%は略式の裁判手続きへの起訴である「略式命令請求」に。これは運転者本人の同意を必要とするので、取り締まりに納得がいかない人は、断固としてこれも拒否するといい。

 そして残りの43.2%が不起訴で、ずばり無罪放免! 不起訴の可能性は43.2%か……と思うかもしれないが、青キップの違反=反則金で済んでしまう違反に限るなら、不起訴になる率は90%以上というデータもある。

 万が一、反則金を納めずに公判請求されて正式な裁判になり有罪になったとしても、その結果として課せられる罰金は反則金と同額というのがセオリー。

 正式な裁判になって有罪が確定すると罰金だけでなく前科もつくが、青キップでなおかつ絶対に自分は違反を犯していないと確信しているのなら、反則金を納めないことを選択し、不起訴にかけてみる価値はある。

 一方で、青キップを切られた瞬間は「とことん争ってやる」と熱くなっても、日が経つにつれ気が変わった場合どうするか。

 前記の本納付書が届いても、しばらく反則金を支払わず放置しておくと警察から電話やハガキなどで支払い催促が来るので、催促が来た時点で反則金を納付すれば解決する。

 いずれにせよ、一度取り締まりに遭って違反キップを切られると、時間的にも精神的にも金銭的にも大きな損失になってしまうので、交通ルールをしっかり守って、安全運転を心がけることがなにより肝心だ。