宇都宮市と芳賀町をつなぐ次世代型路面電車LRTは、2023年8月開業に向けて着々と準備が進められいて、17日には車両の試運転が始まります。

栃木県内初の路面電車、気になるのは交通ルールです。何が変わるのか取材しました。

JR宇都宮駅東口、鬼怒通りに設置された新しい信号機です。赤、青、黄色の三色の信号の横に取り付けられた見慣れない黄色の矢印信号。これが路面電車、LRT専用の信号です。今月17日から始まる試運転を前に町ゆくドライバーたちに慣れてもらおうと、10月29日から、宿郷2丁目から陽東6丁目までの4キロの区間で10基が点灯しています。

県内で初めての路面電車、気になる新たな交通ルールは・・・

LRTは車と同じように信号で交通規制され矢印が点灯している時に進み消えているときは進みません。

一方、車は右左折と横断、それにUターンなどの場合にLRTが走る軌道、つまりレール内に入ることができますが、原則としてレール内を走ることや停車はできません。交差点を右折する場合にはレールの手前で一時停止します。レールを横断している途中で停止することのないよう右折した先の交通の状況や歩行者などを確認してから進みます。

全線新設によるLRT事業は全国でも初めて。多くの県民が初めてLRTと一緒に公道を走行することになり懸念されるのが事故です。

宇都宮市によりますと路面電車が走る全国27の市と町では年間でおよそ35件の事故が発生しています。中でも、最も多い事故は電車と並走した状態から右折する際に後ろから直進してきた電車に気づかずに接触するケースです。

レールを渡る場合には右後方の確認が必要ですが、宇都宮市では「右直分離方式」を導入、車の右折とLRTの直進を同時に表示しないことで事故を防ぎます。また、道路の中央には「乱横断防止柵」を設置しむやみに反対車線に入れないようにします。また鉄道のように車を遮る遮断機がないため、車線をはみ出た車との事故も懸念されます。

LRTは3両編成で全長は30メートル、高さは路線バスより60センチほど高いおよそ3.6メートルで時速40キロで走行します。17日から始まる試運転では来年8月からの営業運転に向けて走行する上で支障がないかの確認などを目的にJR宇都宮駅東口から平石のおよそ4キロの区間で行われます。はじめは時速およそ5キロの低速で架線の柱や停留場に接触しないかなどを確認、その後時速15キロまであげて安全を確認します。そして11月21日からは車両の加速や減速、ブレーキ性能、勾配区間での停車や発車などの確認を行い、徐々に営業運転の時速40キロを目指します。レールと車道の間にはバリケードを設置し車などが入れないようにして行われます。

芳賀・高根沢工業団地までの全線14.6キロでの試運転は来年4月から始まる予定です。

また、今月26日と27日にJR宇都宮駅東地区で行われるまちびらきグランドオープニングイベントでは車両基地以外で初めての見学会が行われる予定です。