年末の米ツアー予選会参加を明言している西村優菜(撮影:福田文平)

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ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。秋のゴルフシーズン、ツアーは男女ともに盛り上がっていますね。男子ツアーでは、日本オープンでアマチュアの蝉川泰果選手が優勝。ナショナルオープンでのアマチュア優勝は、第1回大会の赤星六郎さん以来、95年ぶりの快挙だそうです。
女子ツアーでも、変わらず熱戦が続いています。米ツアー帰りの古江彩佳さんが大会連覇を飾ったり、日本女子プロ選手権で初優勝したルーキー、川崎春花さんが2勝目を上げたり。先週の樋口久子・三菱電機レディスでは、33歳の金田久美子さんが11年ぶりの2勝目を飾りました。ツアー史上最長のブランクだそうですが、ジュニア時代からツアーに出ていた金田さんを知っているだけに、33歳での涙の復活優勝は感慨深いものがありました。
今週の女子ツアーは、3日から瀬田GC(滋賀県)で行われるTOTOジャパンクラシック。日本で開催される唯一の米ツアーの1戦で、日本ツアーでは特別公認という形になっています。出場選手も米ツアーから43名、日本ツアーから35名という特別な大会です。
1973年から続いていて、岡本綾子さんの全盛期には米ツアーの最終戦でした。87年(当時はマツダジャパンクラシック)に岡本さんが史上初めて米国人以外の賞金女王タイトルをこの大会で決めたことを、オールドファンのみなさんはご記憶かもしれません。現在は、アジアシリーズという位置づけで韓国の試合の次に行われています。
一昨年、昨年は、コロナ禍で日本ツアーの特別公認大会として行われましたが、今年、ようやく本来の形で米ツアーの選手を迎えて行われます。米ツアーのトッププレーヤーたちの中に、渋野日向子選手、笹生優花選手のメジャーウィナー、米ツアー6勝の畑岡奈紗選手、そして今季初優勝して、日本でも好調さを見せている古江選手ら日本勢が揃うのも楽しみです。
岡本さんの賞金女王が決まった大会、というお話をしましたが、現在ほど海外が身近ではなかった私の現役時代、この試合は特別でした。強烈な記憶としては、87年の全米女子オープン優勝者、ローラ・デービス選手とのラウンドがあります。
私より3歳年上の彼女は、とんでもない飛ばし屋として知られていました。いつだったかまでは覚えていませんが、彼女が私のボールを誤球してしまったことがありました。自分でまちがえたのになんだか真っ赤な顔して怒りだしたことを思い出しました(笑)。ホールアウト後、日本のメディアの方が、一緒にプレーした私についてローラに質問したところ、「あんなにいつも全身を使ってスイングして18ホールもつのかな、と思った」と話していたと後で聞きました。体が小さくて飛距離もさほどない私からすれば「振らなくちゃいけないんだから……」という感じだったのですが。
ドライバーで飛び過ぎるホールでは、アイアンでティアップもせずに地面をトントン、とクラブで叩いてそこにひょいっとボールを置いてレイアップするローラには、不思議だったのかもしれません。余談ですが彼女は、還暦間近の現在も、欧米で試合に出場を続けています。すごいですよね。
米ツアーの選手と一緒のフィールドでプレーできるこの大会に出場することは、とてもいい刺激になっていました。前述のデービス選手、リサロッテ・ノイマン選手、ヘレン・アルフレッド選手、カリー・ウェブ選手、アニカ・ソレンスタム選手など、メジャー王者となった面々をはじめとする人たちを相手に戦うことで、米ツアーが身近になった気がしたものです。「アメリカでやれたら楽しいだろうな」と感じたこともありました。
上田桃子選手は、07年にここで優勝して出場権をつかみ、翌年から念願だった米ツアーに挑戦。しばらくは向こうでプレーしていました。今年、QTから米ツアーを目指すことを宣言している勝みなみ選手や西村優菜選手は、もちろん優勝を目指していることでしょう。この試合を経験して、海外志向が強くなる選手が他にも出てくるかもしれません。
日本ツアーから出場できるのは35人のみ。その後は、通常のトーナメントはたったの2試合しかなく、最終戦はごく限られた選手しか出られないJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップです。いよいよ佳境に入るツアーが、いつもとは違う面を見せる今週の大会も含めて、じっくりと見せていただきたいと思っています。みなさんも楽しみにしていてください。

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