交通違反で切符を切られた際、指紋押捺に使われる「黒いインク」。なぜ朱肉ではなくこれが使われるのでしょうか。

警察御用達の特別インクの正体

 交通違反で切符を切られた際、末尾の「供述書(甲)欄」へ、印鑑に代えて指紋押捺を求められます。このときに使うインクが、日常生活で印鑑を押すときの「朱肉」とは違い、「黒いインク」が使われます。これはなぜなのでしょうか。そもそもこの黒いインクの正体はなんなのでしょうか。


交通違反切符の指紋押捺は黒いインクが使われる。画像はイメージ(画像:写真AC)。

 愛知県警の広報担当者にたずねたところ、黒インクの使用は内部規定の「やむを得ないときを除いては朱肉の使用を避け、可能な限り『指紋採取用特殊印肉』等を使用し、指種については供述者の右手示指(人差し指)とすること」に基づくものだそうです。

 この内部規定はもともと、捜査書類に関するもの。つまり、交通違反切符だけでなく、取調べの供述書など様々な捜査書類への指紋捺印に使用されるといいます。

 規定に示された「指紋採取用特殊印肉」として採用されている黒インクの成分は「ヒマシ油、アルコール類、顔料色素」で、舐めても「人体に影響はないと思われます」(同)。ただし、服についた場合、簡単に取れるものかは不明とのこと。

 また別の警察関係者によると、このインクは朱肉に比べ、指紋の凹凸をより鮮明に紙に写し取ることができるように開発されたものだといいます。製品としては、科学装備研究所の「ポリスメイト」が自治体の調達情報などで多く確認できます。とはいえ、愛知県警によると市場には一般流通していないとのこと。私達が入手するのは難しいでしょう。