Microsoftがブラウザ組み込み式のVPN機能「Microsoft Edge Secure Network」を、Microsoft Edgeの新機能テスト版にあたるCanaryチャンネルに搭載しました。

Browsers with built-in VPNs - the new normal? Microsoft bakes a VPN into Edge and turns it on

https://adguard-vpn.com/en/blog/vpn-built-browser-microsoft.html



Microsoft Edge Secure Network (VPN) has been integrated into the Settings page. : MicrosoftEdge

「VPN」は「Virtual Private Network(仮想専用線)」の略で、ネットワーク通信の安全性を高める技術で、IPアドレスを隠せることから「国外のネットワークへのアクセスが遮断されている」という国でもVPNを使うことで海外のネットに接続することができます。

セキュリティ企業のAdGuardによると、「Microsoft Edge Secure Network」はMicrosoftの独自サービスではなくCloudflareとの提携で実現しているもの。接続するサーバーを選ぶことはできず接続元近くのCloudflareのサーバーを介して自動的にルーティングされてしまうため、ユーザーがVPNに求める重要な機能の1つである「ジオブロッキングの回避」はできないとのことです。

ウェブブラウザへのVPN機能組み込みは、すでにOperaが達成していますが、Operaは手動で機能をオンにする必要がある一方、Edgeはデフォルトでオンになっているとのこと。ただし、たとえば推奨されている「最適化」モードだと、公共Wi-Fi利用時や、有効なHTTP証明書がなく安全ではないネットワークやサイトの閲覧時など、特定用途のときVPNがオンになります。すべてのサイトでオンにすることもできますが、月間通信量上限が1GBに設定されているため、本来VPNが必要ではないところで通信量を無駄遣いする恐れがあります。

「月間1GB」という制限はいかにも厳しいもので、AdGuardは、将来的な制限緩和か、有料で上限を引き上げられるようになる可能性を示唆しました。

なお、AdGuardは自社を含めて多くのVPNプロバイダーが、Microsoft Edge Secure Networkより高度な機能を備えた拡張機能をEdgeを含めた一般的なウェブブラウザ向けに提供していると述べ、「MicrosoftはVPN機能をブラウザに組み込むことで、VPNをアピールしようとしているだけです」と指摘。また、ブラウザ組み込みのVPN機能では、Microsoftがユーザーのデータ収集をしていないという保証がないとも警告しています。