無理な「ダイエット」で現れる症状はご存知ですか?医師が監修!

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理想の細い体型になりたいと考えてダイエットを行う人は多いです。しかし、とにかく痩せたいという思いが強過ぎて、過度なダイエットになる人もいます。

実は過度なダイエットは危険な場合があり、ダイエットのし過ぎでさまざまな病気を引き起こすケースもあります。ダイエットを行うには、正しい知識と方法を知ることが大切です。

そこで本記事では、過度なダイエットの危険性についてご紹介します。

適正体重の調べ方・無理なダイエットで起こる症状・ダイエットのやりすぎで起こる症状なども解説いたしますので、参考にしてください。

ダイエットが必要な人の特徴


ダイエットが必要な人の特徴としては、次のようなものが挙げられます。

BMIが高い

内臓脂肪がある

生活習慣病にかかっている

運動不足

食べ過ぎや過度な飲酒をしている

まずはBMIが高いことが特徴の1つです。BMIとは、国際的な肥満度を表す指標です。このBMIの数値によって肥満かどうかがわかり、ダイエットの必要性が分かります。
例えば、BMIが18.5未満であれば低体重・18.5以上25未満が普通体重・25以上が肥満であるとされています。そのため、BMIが25以上の人にはダイエットが必要であると考えられることが多いです。また、25以上の肥満についても、肥満1~肥満4とさらに分類されます。この数字をもとにダイエットが必要かどうか判断できるでしょう。
また、ダイエットが必要な人の特徴としては、内臓脂肪の有無も挙げられます。男性で腹囲が85cm以上、女性で90cm以上の場合に、内臓脂肪が蓄積していると内臓脂肪型の肥満と判断される可能性が高いです。そのため、健康のことを考えてダイエットが必要と判断されます。内臓脂肪は、BMIと必ずしも相関を示すわけではないため、注意が必要です。
さらに、生活習慣病にかかっていることも、ダイエットが必要な人の特徴に挙げられます。糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、肥満や過食などの生活習慣が原因で発症する病気です。この病気にかかっている人は、食事の内容などを見直す必要があり、合併症などを防ぐためにダイエットが必要と考えられます。
普段から運動不足の人も、ダイエットは必要でしょう。運動不足は生活習慣病のリスクを高める要因の1つです。そのため、痩せることだけでなく健康的な身体を作るためにダイエットが必要と考えられます。
そして食べ過ぎや過度な飲酒をしている人も、ダイエットは必要です。これらの行動は、カロリーの過剰摂取を招き生活習慣病のリスクを高めます。
このように、さまざまな要素でダイエットが必要かどうかを判断できます。しかしながら、正しいダイエットの方法は、自己判断では難しいものです。医師と相談しながら、ダイエット方法やどの程度までを目標にして取り組むのかを決めながら行うことが大切です。

過度なダイエットは危険?


ダイエットが必要な人の特徴をご紹介しましたが、痩せるために過度なダイエットを行う人もいます。しかし、過度なダイエットは非常に危険です。健康へのリスクも高く、痩せにくい身体へと変化してしまう可能性もあるためです。
例えば、体調不良・免疫力の低下・貧血・腎臓や肝臓の障害などが挙げられます。これらの病気はダイエットによる栄養不足によって発症することのある病気です。また、過度なダイエットが原因で痩せにくい身体へと変化することもあります。
代表的な例としては、間違った糖質制限ダイエットです。このダイエット方法では、身体に必要なエネルギー源となる糖質を減らしてしまったために、必要な筋肉が痩せてしまう上、痩せにくい体となってしまいます。糖質は炭水化物などに含まれており、身体を動かすエネルギーとなります。しかし、糖質制限ダイエットでは、炭水化物などを抜いてしまうことでエネルギー不足となってしまうのです。
身体を維持するためには必ずどこかからエネルギーを補う必要があります。エネルギーを補う供給源が 、脂肪であれば良いのですが、ほとんどの場合筋肉から燃焼されてしまいます。通常、身体が痩せるにあたって筋肉は必要不可欠です。筋肉の量が多いほど、基礎代謝が増えて、カロリーを消費して身体が痩せるためです。
糖質制限ダイエットでは、エネルギー不足の兼ね合いから、筋肉が燃焼してしまい痩せにくい身体となってしまいます。このように、間違った方法での過度なダイエットは、健康リスクの増大や痩せにくい身体作りにつながってしまうため注意が必要です。

適正体重の調べ方


過度なダイエットを防ぐためには、目標とすべき適正な体重を知ることが大切です。適正体重は、身長を用いて調べられます。適正体重の求め方は、次の通りです。

適正体重=(身長(m))×(身長(m))×22

そして、先述したBMIと合わせて、ご自分が肥満かどうかを判断しましょう。BMIの調べ方は、次の通りです。

BMI=体重(kg)÷(身長(m))×(身長(m))

それぞれの数字を算出して、ご自分の適正体重やダイエットの必要性を確認しましょう。

無理なダイエットで起こる症状


これまで無理なダイエットは危険だとご紹介しました。それでは、無理なダイエットをすると具体的にどのような症状が起こるのでしょうか。危険性をしっかりと理解するためには、起こり得る症状を正しく把握することが大切です。
ここでは、無理なダイエットで起こる症状をご紹介します。

低血糖

低血糖とは、血糖値が70mg/dL以下の数値を示す状態を指します。無理な食事制限によるダイエットを行うと、栄養不足となって十分なエネルギーを補充できずに低血糖となることがあるのです。
低血糖は、次のような症状を引き起こす可能性があります。

頭痛

めまい

吐き気

倦怠感

意識障害

痙攣

身体に必要なエネルギーがないため、さまざまな症状が発生する可能性があります。また、重度の低血糖状態になると、意識障害や痙攣といった症状が現れることもあるでしょう。
命にかかわることもあるため、適切な血糖値になるようなダイエットが必要です。

栄養不足

栄養不足も無理なダイエットで起こる可能性がある症状の1つです。過度な食事制限によるダイエットを行うと、栄養不足を招く恐れがあります。
例えば栄養不足が進むと、肌や髪に影響が表れます。肌や髪はタンパク質から作られていますが、栄養不足となると乾燥した肌や傷んだ髪となってしまうでしょう。また栄養不足になると、感染症にかかりやすくもなります。
ビタミンや亜鉛などが不足すると免疫力が低下してしまうためです。他にもさまざまな病気を引き起こし、栄養不足で抵抗力も弱ってしまうため、思いがけない病気の悪化を招く可能性もあります。

ダイエットのやりすぎで起こる症状・病気


無理なダイエットで起こる症状は栄養不足や低血糖だけではありません。さまざまなリスクがあるため、しっかりと把握して間違ったダイエットをしないように注意しましょう。
ここでは、ダイエットのやりすぎで起こる症状や病気についてご紹介します。

うつ病

ダイエットのやりすぎで起こる症状や病気の1つが、うつ病です。栄養の中でも、特に鉄分が不足することで、うつ病と似た症状が現れることがあります。鉄欠乏性貧血によって精神的な症状を引き起こすことがあるのです。
さらに、摂食障害に陥った結果、併発するケースもあります。最初は軽いダイエットだったにもかかわらず、徐々に過剰な取り組みになってしまうケースは少なくありません。過剰になった結果、拒食症や過食症などの摂食障害を引き起こすことがあるのです。
そして、これらの摂食障害が慢性化すると、ご自分ではコントロールできなくなってしまうケースがあります。その結果、同時にうつ病を発症してしまうことがあるのです。

摂食障害

ダイエットのやりすぎで起こる症状や病気には、摂食障害も挙げられます。先述したように、主な摂食障害は拒食症過食症です。
拒食症とは、ダイエットをきっかけに太ってしまうことを過剰に恐れてしまい、全く食べられなくなる神経性食欲不振症のことです。
過食症とは、食べ過ぎた後に体重増加を防ぐため、嘔吐や下剤などを使用してしまう病気を指します。悪化すると吐くことに慣れてしまい、食べ過ぎても吐けるという意識から過食がエスカレートするケースもあります。

骨粗しょう症

骨粗しょう症もダイエットのやりすぎで起こる病気です。過度なダイエットによってカルシウムが不足することで発症する可能性があります。
これは、不足するカルシウムを骨から供給しようとするためです。通常であれば、食事からカルシウムを摂取します。しかし、適切に食事から摂取されないでいると、血中のカルシウム濃度を保つために骨から血液中にカルシウムが供給されてしまうのです。その結果、骨の成長を妨げられたり、骨が弱くなって骨粗しょう症となってしまったりします。

疲れやすくなる

疲れやすくなるといった症状も、ダイエットのやりすぎで現れる症状の1つです。ダイエットを行うと、先述したように栄養不足やエネルギー不足の状態となります。
エネルギーが不足した状態では、身体の機能の低下を引き起こすため、少しの運動などでも疲れやすくなります。またエネルギー不足は身体の基礎代謝の低下を招く可能性があり、この状態が続くと、身体がエネルギーを節約するように動いてしまうのです。その結果、ちょっとした運動や生活上の活動でしんどいと感じやすくなります。

生理不順・不妊

ダイエットのやりすぎによって、生理不順不妊などが起こる可能性があることを押さえておきましょう。無理なダイエットによって痩せすぎると、ホルモンバランスの乱れや視床下部の調子が乱れるなど、さまざまな影響があります。すると、生理不順や無月経などのリスクが上がるのです。
無月経の状態を放置すると、多嚢胞性卵巣症候群などの病気につながることもあり、最悪の場合は不妊を引き起こすかもしれません。

ダイエットをしていないのにやせてきた場合は注意


ダイエットのやりすぎによって、さまざまな病気や症状が表れることをご紹介しました。しかし、注意が必要なのは過度なダイエットだけではありません。ダイエットをしていないのに痩せてきた場合にも注意が必要です。
このような状態は、何かしらの健康問題を抱えている可能性が高いです。急激な体重減少・めまい・食欲不振などがある場合には、すぐに専門の医療機関を受診しましょう。

すぐに病院に行った方が良い「ダイエット」症状は?

急激な体重の変動が見られる場合は早めに医療機関を受診しましょう。

行くならどの診療科が良い?

主な診療科目は内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科です。

問診、診察、血液検査などが実施される可能性があります。

病院を受診する際の注意点は?

持病があり内服・外用している薬がある場合は医師に申告しましょう。

治療する場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

まとめ


スリムな体型を目標に、ダイエットを行う人は多いです。しかし、過度なダイエットは、さまざまな症状や病気を引き起こす可能性があります。

ダイエットのやりすぎによる危険性を十分理解して、取り組みましょう。

また、ダイエットを行う前には、適正体重やBMIなどを用いて、ご自分にダイエットが必要かどうかをしっかりと考えることも大切です。

過度なダイエットによって、病気や身体に異変が表れた場合には、決して放置してはいけません。すぐに専門の医療機関を受診しましょう。

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参考文献

BMI(BMI)(e-ヘルスネット)

血糖値(けっとうち)(e-ヘルスネット)

若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題(e-ヘルスネット)