急激なインフレが進むなか、小売大手のAmazonが一部地域で販売事業者に課す配送手数料の値上げを行うことを明らかにしました。値上げは2022年後半から始まるホリデーシーズン限定で行われる予定です。

Amazon to raise seller fulfillment fees for the holidays

https://www.cnbc.com/2022/08/16/amazon-to-raise-seller-fulfillment-fees-for-the-holidays.html

2022年10月15日から2023年1月14日まで、販売事業者向けの支援サービス「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を利用するサードパーティの販売事業者は、アメリカまたはカナダで販売する商品ごとに35セント(約47円)の追加手数料を支払う必要があります。なお、基本の手数料はサイズによって異なり、最安2.92ドル(約390円)となっています。

この期間はいわゆる「ホリデーシーズン」で、需要が高まる時期にコストを回収する狙いがあると見られています。Amazonがホリデーシーズンに追加手数料を導入するのは初めてのこと。Amazonは「経費が新たな高みに達し、シーズンのピークに関連するコストを回収することが難しくなっている」とメディア向けに声明を発表しています。



サードパーティの販売者による販売事業はAmazonの小売売上高の半分以上を占め、主要なeコマースビジネスの1つとなっています。Amazonはその利益をFBAを始めとする各種販売事業者向け戦略で回収し、2022年第2四半期には販売事業者サービス全体の収益が前年同期比13%増の274億ドル(約3兆6700億円)に達したと報告されています。

このような収益にもかかわらず、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで発生した需要増加に人員増加で対応したためにコストがかさんでしまっているとのこと。2022年4月には燃油高とインフレを理由に5%の追加手数料を課したばかりで、運用コストの相殺を図る戦略を続けています。Amazonは「販売パートナーは我々にとって非常に重要であり、今回の決定は決して軽々しくできることではありません」と述べました。

なお、ホリデーシーズンに手数料の値上げを行うことはUPSやFedEx、アメリカ合衆国郵便公社などで慣例となっています。