地方に行くとこのような防災行政無線のスピーカーを見かけることが多い

 千葉県富津市が、毎日、午後6時に防災行政無線で放送している童謡『夕焼け小焼け』を6月末で取りやめるとしたところ、市民から「やめないでほしい」という声が届き、一転して継続することが決まった。

 市が『夕焼け小焼け』の放送終了を検討したのは、「子どもたちの見守りに関するお知らせ」という、別の放送と合わせて2回ある夕方の放送に「うるさい」と苦情が寄せられたことにあるという。

「うるさい」と「やめないで」という、両方の声に対応する形で、7月からは『夕焼け小焼け』と「見守りに関するお知らせ」が、間隔を空けずに続けて流されることになった。

「富津市に限らず、夕方に、時報や音楽が放送されるのには、非常時にスピーカーが正常に作動するか、点検する意味もあります。また農業地域では、これまで長く続けられてきた放送が、住民にとって生活の一部になってきました。

 携帯電話や腕時計を持たずに農作業に従事する方も多く、かつては朝6時や7時といった早朝にも、時報代わりのサイレンを流す自治体が珍しくありませんでした。しかし、いまではあまり早朝だと、スピーカーの近くに暮らす人から『夜勤明けで眠れない』『赤ちゃんが起きてしまう』などの苦情が来ることもあり、最近では早朝の放送は減っています。

 一方で夕方の放送は、仕事を切り上げる目安として、重宝がられていることが多いです」(地方紙記者)

 今回のニュースを受け、多くの市町村で流されているサイレンやチャイムについて、SNSでは多様な意見が交換された。

《私は富津市出身なのですが、このチャイムの音は幼き頃の想い出と共に刻まれています。うるさく感じる人もいるんだ》

《我が地域も夕刻に同様の防災無線流れます。確かに無いと非常に困る》

《農作業してたらあれ本当に役に立つのよね。実家、14時半だったかに町民体操流れてたけど、やっぱうるさいとかで流れなくなっちゃってさ》

 夕方に流れてくるおなじみのメロディ。いつも何気なく聞いているが、なくなると寂しく感じる人が多いようだ。