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ネット通販大手「アマゾン」で購入したモバイルバッテリーから出火して、自宅が火事になったとして、栃木県宇都宮市の男性がアマゾン・ジャパン(東京都目黒区)を相手取り、損害賠償をもとめた訴訟で、東京地裁は4月15日、請求を棄却する判決を言い渡した。

●中国メーカーの責任を追及しきれず

判決などによると、原告の加藤尚徳さんは2016年6月、アマゾンのマーケットプレイスで、中国メーカー製造・販売の充電式モバイルバッテリーを購入した。2017年11月、自宅マンションで火災が発生。原因はモバイルバッテリーと判定された。

加藤さんは、中国メーカーと交渉して損害賠償もとめたが、コストの観点などから責任追及し切れず、現地で訴訟を起こすことを断念。メーカーからは見舞金として184万円を支払ってもらった。

しかし、消費者として直接やりとりする相手で、取引から利益をあげるプラットフォームであるアマゾンの対応に納得がいかなかったことから、2020年10月に損害賠償30万円をもとめて東京地裁に提訴していた。

●原告側は控訴する方針

加藤さん側は、アマゾンは(1)メーカーの出店や、モバイルバッテリーの出品について審査義務があったのに怠った、(2)保険・補償制度を構築する義務も怠った――などと主張していた。

東京地裁の伊藤正晴裁判長は、中国メーカーからの見舞金支払いを「和解」として認定。そのうえで、いずれの義務もアマゾンにあったとは認められないなどとして、原告の請求を棄却した。

判決後、司法記者クラブで会見を開いた加藤さんは、「消費者にとって酷な判決だ」としながらも、「社会に問題提起できたのは、大きな意義だ。判決は一つの線を引かれたということ。さらに考えを詰めていけると考えている」と述べた。

原告側は控訴する方針を示している。