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夫婦同姓を義務づけた民法や戸籍法の規定は憲法に違反するとして、事実婚の男女7人が国に損害賠償を求めていた2件の上告審で、最高裁第三小法廷は3月22日付で、上告を棄却する決定を下した。

この訴訟は、東京地裁立川支部と広島地裁で提訴されたもので、夫婦同姓を合憲とした一審、二審の判断が確定した。

第三小法廷の裁判官5人全員一致の決定だが、このうち渡辺恵理子裁判官と宇賀克也裁判官は、国の賠償責任は認めなかったものの、同姓を定めた規定について「違憲と考える」とする意見を付けた。

●「違憲」とした渡辺裁判官「若い世代の足かせにならないようにすべき」

渡辺裁判官は決定の中で、次のように述べた。

「氏名は、それを用いて生活する年月の経過や積み重ねに伴い、個人の識別機能とともに、個人の人格を表すものとしての意義をさらに深めていく。

このように、氏名は、個人がそれまで生きてきた歴史、人生の象徴というべきものであり、婚姻時まで使用してきた従前の氏の変更は、個人の識別機能を喪失させ、また、個人の人格(アイデンティティ)の否定につながることから、近年の晩婚化が進む傾向のなかで、氏名は、個人にとっての重要性は極めて高く、個人の尊厳として尊重されるべきものである」

また、渡辺裁判官は近年の世論調査でも特に女性の回答をかぎってみれば、選択的夫婦別姓制度の法改正を容認する人が、40代以下の世代では過半数を超えていることにも触れ、「比較的若い世代の意見の状況にかんがみれば、家族制度の維持という名のもとでの制約が彼らの世代の将来にとって足かせとならないようにすべきものと思われる」などと指摘した。