飲食店でのNG行為は?

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 新型コロナウイルスのオミクロン株の流行が続いていますが、3月下旬から小中高生が春休みとなるため、この時期に家族や友人と飲食店に行く人も多いと思います。そんなとき、店員に気を利かせたつもりで、食べ終わった食器を重ねる人を見かけますが、そうした善意のつもりでしたことが店にとって迷惑となるケースもあるようです。飲食店でやってはいけない行為について、飲食店コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。

皿重ねると食器が傷つく可能性も

Q.飲食店にとって、客にやってほしくない行為はありますか。

成田さん「お客さまの善意だとは思いますが、使い終わった紙おしぼりなどのごみを食後の食器にまとめるのは、仕分けに手間が増えるので歓迎されません。

携帯電話での通話については、店内では通話を控えるなど、以前に比べてお客さまのマナーも良くなってきています。ただ最近、メールやLINEの着信音をマナーモードにしていない人がいるのが気になります。また、スタッフを呼んだにもかかわらず、注文する料理を決めていない人がいるのも困ります」

Q.片付けやすいように、食べ終わった皿を重ねる行為はどうでしょうか。ネット上では、「油汚れが広がるのでダメ」という情報があります。

成田さん「油汚れとは別の理由で、店のスタッフに任せた方がよいと思います。店のスタッフは、傷をつけない食器の重ね方や片付けの仕方を教えられているからです。特に、高級な食器を扱う店では、器が欠けたり、ナイフやフォーク、スプーンなどの銀製の食器が傷ついたり、塗り物が剥げたりする可能性があるので、自分で皿を重ねることはあまりやってほしくないと思います」

Q.客が、割ってしまった皿やグラスを自分で片付けようとする場面も見られます。

成田さん「これは本当にやめてほしいです。お客さまがけがをしたら大変です。お店には、あらゆる事態に備えたマニュアルがあるので、専門のスタッフに任せる方がよいでしょう」

Q.洋食レストランで、食後にナプキンをきれいに畳むと「料理がまずかった」という意思表示になると聞いたことがあります。事実でしょうか。

成田さん「『料理がまずかった』という意思表示になるのは本当です。『あまりにおいしすぎてナプキンをきれいに畳むのも忘れてしまった』と意思表示する際は、きれいに畳まず、軽く畳んでテーブルに置きます。きれいに畳むと逆の意味になるわけです。とはいえ、ナプキンをクシャクシャに置くのも失礼です。

洋食レストランでは、ナプキンやナイフ、フォークの置き方によって、さまざまな意思表示ができます。中座する際、『また席に戻るので片付けないでください』と伝えたい場合は、ナプキンを椅子の上に置きます。目の前の料理を『まだ食べています』と伝えたいときは、ナイフやフォークを八の字に、『もう終わりました。下げてください』と伝えたいときは、そろえて縦か右斜めに傾けて置きます。

ちなみに、ナプキンは最初の食事が運ばれる前までに手に取り、2つ折りにして膝の上に置いておきます。食事中は、ナプキンの内側を使って口などを拭くために使います。汚してしまっても構いません」

Q.過去に、マナーの悪い行為、あるいは客が善意のつもりで行ったことで問題となったケースはありましたか。

成田さん「以前、大皿の料理を、取り箸を使わずに逆さ箸で取ったお客さまがいらっしゃいましたが、同席していた他のお客さまから食中毒の危険性を指摘されていました。逆さ箸は日本人に多い風習ですが、本当に食中毒の危険があります。人間の手は、黄色ブドウ球菌や大腸菌が潜んでいる可能性が多々あるからです。店側としては衛生管理の面から、取り箸があれば取り箸、なければじか箸でお願いしたいです」

Q.飲食店で客と店員、双方が気持ちよく過ごすために、客側が心掛けた方がよいことはありますか。

成田さん「お客さまもスタッフも相手の気持ちになって接することが重要です。善意のつもりで行ったことが迷惑になってしまわないように、お互いにコミュニケーションをしっかり取りながら接すれば、双方ともに心地よい空間になるのではないでしょうか」