このまま寝るのは何だかイヤだ…!」と、布団に入ってからもスマホを見てしまったりしていませんか?

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寝なきゃいけないとはわかっているのに、自分の時間を取り戻すように夜更かしをしてしまう「リベンジ夜更かし」。

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その問題の根底には、睡眠の優先順位の低さがあるようです。

広島国際大学心理学科教授の田中秀樹先生にお話を伺いました。

(雑誌「レタスクラブ」の3月号の記事に加筆、再構成しています)

■Q リベンジ夜更かしから抜け出せない人の特徴は?

A 大きな特徴は3つ。どれかに当てはまるようなら、まずは生活の見直しを!

特徴1 イヤなことを先延ばしにする

リベンジ夜更かしは『寝ることを先延ばしにする』、先延ばし行動のひとつです。学生時代に、テスト勉強をしなければと思うと部屋を片付け始めた経験はないでしょうか? リベンジ夜更かしをする人は、何もしないで朝になってしまうのがイヤで、寝ることを先延ばしにしている人が少なくないようです。

特徴2 睡眠がストレス発散の最強ツールだと気づいていない

もうひとつの特徴としては、睡眠の優先度が低いこと。夜更かしグセのある人は、一日のストレスを寝る前のスマホやテレビで解消しようとしているかもしれません。でも実は睡眠をとることが一番のストレス発散法なのです。そのことを理解すれば、できるだけ早く寝ようと思えるようになります。

特徴3 日中は自分よりも人を優先して、夜ストレスを発散しようとする人

日中は仕事や子育てに追われて、やっと自分の時間をとれるのは夜。日中は自分のやりたいことは我慢し、子どもや周りの人への対応を優先してストレスがたまっていないでしょうか? そのストレスを子どもが寝た後や仕事などがひと段落した深夜に、ネットサーフィンやスマホをだらだら見ることで発散しているのかもしれません。

昼間のストレスをまとめて夜、解消しようとする人はリベンジ夜更かしに陥りがちです。特に、パソコンやスマホの液晶画面の明るい光を浴びると脳はますます覚醒して、眠りに必要なメラトニンが出にくくなります。そのため、「寝なければいけないのに眠くならない」という負のループにますます陥ります。

■Q リベンジ夜更かしを続けるとどうなるの?

A 今現在はうっかりミスが増え、将来的にも健康リスクが高まる

睡眠時間が足りないと、頭がボーっとして判断力が落ち、うっかりミスが多くなります。また、悲観的になる、やる気が出ないなど、メンタルにも悪影響が。

人間は寝ている間に、脳では記憶の整理が行われ、体では免疫力を高めるように修復作業が行なわれています。ですから、寝る時間が短くなれば、記憶力も免疫力も下がるなど、心と体にいいことはありません。この状態が長時間続くと、認知症リスクが高まるとも言われているので、将来的な心と体の健康を考えても今日の睡眠を大切にしてほしいと思います。

■Q どうしたらリベンジ夜更かしをやめられますか?

A 日中のこまめなストレス発散と同時に、睡眠の重要性を知ること

リベンジ夜更かしをしなくてもいいように、日中に感じたストレスはその場で発散するのがおすすめです。例えば、イラッとしたらこまめに深呼吸をしたり、軽く体を動かしましょう。また、朝起きて軽く10分でもいいので散歩をして、朝日を浴びるとしっかり目が覚めます。すると、イラッとしたり不安になることが減り、安定したメンタルで過ごすことができます。

そして睡眠こそストレス発散の一番の特効薬だと思って、「夜は寝るための時間!」と考えましょう。寝る前に見ていたSNSを朝少し早く起きて見るのもおすすめです。液晶の光は夜見ると脳を覚醒させてしまうので目が覚めてしまいますが、朝、液晶の光を目にすれば、すっきりと目を覚ます効果があります。

夜、「このまま寝るのは何だかくやしい…」とだらだらと起きてしまう人は、日中のストレス発散を心がけつつ、寝る時間が近づいたらスマホを見ないなど、できることから始めてみるという手も。今と将来の自分のためにも、しっかり睡眠を確保しましょう。

お話を伺ったのは

広島国際大学健康科学部心理学科教授 田中秀樹先生

睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士養成にも従事し、睡眠についての講演も多い。著書は『ぐっすり眠れる3つの習慣』(ベストセラーズ)。

文=山本美和