連日の盗作疑惑報道で、時の人となった画家の和田義彦氏。今春の芸術選奨で文部科学大臣賞を受賞したのもつかの間、多数の作品がイタリアの具象画家アルベルト・スギ氏の絵に類似していることから、盗作疑惑が浮上。調査の結果、盗作とみなされ受賞取り消しという結果となった。両氏の絵を見比べてみると素人目では「そっくり!」と思えるが、はたして「類似品」と「盗作」はどう違うのだろうか。

 言葉の意味を調べてみたところ「類似」とは「2つ以上のものの間に似かよった点が存在すること。類似品は同じような品」をいい、「盗作」とは「他人の作品の一部、または全部を自分の作品として発表すること」らしい。

 さらに、他人の作品(今回の事件でいうとスギ氏の絵)には著作権があるので、通常、権利の持ち主の許可なしに作品を使用すると著作権法違反で罰せられるという。ただし、罪になるのは権利者が訴えた時のみで、周りがどう見ても「真似した!パクった!」と思っても、権利者の訴えがなければ「盗作」は罪にはならないのである。

 となると、「類似品」はどうなのか? これは産業財産権が関係し(これは特許庁が管轄)、その権利を取得した商品に酷似したものを作ると、産業財産権の侵害にあたり、著作権と同様、権利者の訴え次第で罪になるというもの。

 ちなみに世の中には「類似品」と呼ばれるモノが数多く出回っているが、「正露丸」もその被害にあっている。これに対して本家本元の「正露丸」である大幸薬品は怒りをあらわにはしないのだろうか?

 「お客様から間違って買ってしまった、という声や副作用が起きた、というクレームが多いため、類似品を生産している業者に対して訴訟を起こしたことは何度もあります」(大幸薬品担当者)

 類似品の数も相当なため、「類似品」の撲滅活動にはかなり手を焼いている様子。もちろんお馴染みのラッパのマークや、独特のオレンジ色の箱に縄のような縁取りのパッケージも大幸薬品が商標登録済み。類似品にはさまざまな副作用が生じる成分が含まれている可能性が高いので、くれぐれもご注意を!とのこと。

 それにしても、昨今「盗作」や「類似」に関する問題は後を絶たない。既存のものを「参考」にするのはいいが、モラルやオリジナリティに欠けると法に引っかかることもあるので、「線引き」は十分慎重に行いたいものである。(坂井あやの/verb)

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