●まずは性能チェック、処理能力は?

NECパーソナルコンピュータの「LAVIE N14」は、14型ディスプレイを搭載したクラムシェルスタイルのノートPCだ。10月5日に、Windows 11を初期搭載した2021年秋冬モデルが登場している。

本体の重さは1.47キロと、現時点における水準では“特段”軽量薄型というわけではないが、上位モデルではCPUにCore i7-1165G7を採用して高い処理能力を持たせている。

その上位構成の実売価格は、Webモデルの場合で171,380円からで、Office付きの店頭モデルの場合は197,780円前後(2021年11月18日時点)。OSにはWindows 11 Homeを導入している。今回はこのLAVIE 14 2021年秋冬店頭モデル(N1475/C)の実力を見ていこう。

Windows 11 Homeを導入した汎用多目的ノートPC「LAVIE N14」。10月14日に発売した。店頭モデルの実売価格はIntel Core i3搭載の下位モデルが153,780円前後、同Core i7搭載の上位モデルが197,780円前後となっている(2021年11月18日時点)


ボディのカラーバリエーションには「パールホワイト」と「ネイビーブルー」、Webモデル限定で「パールブラック」を用意している。今回の試用機ではパールホワイトモデルを用いた。

天板は全体が梨地のマット仕上げで、中央にLAVIEの“Wトライアングル”ロゴを配した、シンプルながら印象的なデザインを施している。

今回取り上げるのはパールホワイトモデルだ


評価機材の重さは実測で1,437グラムだった


○第11世代Core搭載、全体は余裕のある構成

CPUとして搭載するCore i7-1165G7は、2020年9月に登場した“Tiger Lake”こと第11世代Coreプロセッサだ。

プロセスルールを前世代モデルから改良した10ナノメートル SuperFinとしたほか、統合グラフィックスコアでは新世代のIris Xe Graphicsを採用したことで、前世代(Ice Lakeこと第10世代)の同クラスモデルと比べてCPUの処理能力は2割増し、グラフィックス処理能力は2倍増しとインテルは訴求している。

LAVIE N14が搭載するCore i7-1165G7は、4コア8スレッド対応。動作クロックは基本で2.8GHz、バーストクロックは最大で4.7GHzとなる。L3キャッシュ容量は合計で12MBだ。

CPU-Zで確認したCore i7-1165G7の仕様


その他、LAVIE N14の処理能力に影響するシステム構成を見ていくと、試用機のシステムメモリはDDR4-3200を採用していた。容量は8GBでユーザーによる増設はできない。

ストレージは容量512GBのSSDで試用機には東芝のKXG6AZNV5412Gを搭載していた。接続バスはNVM Express 1.3(PCI Express 3.0 x4)だ。

○各種ベンチでLAVIE主力14型ノートの性能を改めて問う

Core i7-1165G7を搭載したLAVIE N14の処理能力を検証するため、ベンチマークテストのPCMark 10、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMark 7.0.0 x64、そしてファイナルファンタジー XIV:漆黒のヴィランズを実施した。

なお、比較対象としてCPUにRyzen 5 PRO 4650U(6コア12スレッド、動作クロック2.1GHz/4GHz、L3キャッシュ容量8MB、統合グラフィックスコア Radeon Graphics)を搭載し、ディスプレイ解像度が1,920×1,080ドット、システムメモリがDDR4-3200 8GB、ストレージがSSD 256GB(PCI Express 3.0 x4接続)のノートPCで測定したスコアを併記する。

ベンチマークテストの結果は、比較PCとほぼ互角といっていいだろう。

PCMark10において、ともにCPU処理能力のウェイトが高いEssentialとProductivityのスコアでは、EssentialでLAVIE N14が優勢ながらProductivityで下回り、グラフィックス処理のウェイトが高いDigital Content CreationのスコアではIris Xe Graphicsを組み込んだLAVIE N14が、Radeon Graphicsを統合したRyzen 5 PRO 4650U搭載モデルを上回る。

CINEBENCH R23では、12スレッド対応のRyzen 5 PRO 4650U搭載モデルが上回るものの、シングルスレッド測定では動作クロックで優れるCore i7-1165G7を搭載するLAVIE N14が高い値を示した。

また、ゲームベンチマークテストの3DMark、ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズのスコアはいずれもLAVIE N14が上回るものの、その値の差はわずかでほぼ同程度といっていい。

同様にストレージの転送速度を評価するCrystalDiskMark 7.0.0 x64では、シーケンシャルリードではRyzen搭載ノートPCが、シーケンシャルライトではLAVIE N14が上回るもの、こちらも値の差はわずかにとどまっている。

なお、NECPCの公式データでは、LAVIE N14のバッテリー駆動時間はJEITA 2.0の測定条件で約12時間となっている。内蔵するバッテリーの容量はPCMark 10のSystem informationで検出した値で57,650mAhだった。

バッテリー駆動時間を評価する、PCMark 10 Battery Life benchmarkで測定したところ、Modern Officeのスコアは9時間11分(Performance 7044)となった(ディスプレイ輝度は10段階の下から6レベル、電源プランはパフォーマンス寄りのバランスにそれぞれ設定)。

●使用中の熱と音はどのくらい?

○使用中に温度計と騒音計で測ってみる

LAVIE N14は汎用の14型クラムシェルスタイルノートPCということで、利用場面はユーザーの目的に合わせて多岐にわたる。

1.47キロという重さは、普段使っている自宅やオフィスから持ち出し、図書館やカフェでの利用も考えられるだろう。さらには、電車や駅のベンチなど、机のない場所で膝の上において使う場面も十分にありえる。

ここ最近、ハンバーガーショップやコーヒースタンドなどの小さいテーブルを用意している場所で、テーブルにフードやコーヒーを並べ、膝の上にノートPCを置いて作業をしている光景を見かけることも増えている。

こうなると本体の発熱やクーラーファンの発する音量が気になるところだ。電源プランをパフォーマンス優先に設定して3DMark NightRaidを実行し、CPU TESTの1分経過時において、Fキー、Jキー、パークレスト左側、パームレスト左側、底面のそれぞれを非接触タイプ温度計で測定した表面温度と、騒音計で測定した音圧の値は次のようになった。

ホームポジションキートップとパームレストの表面温度では、Jキーが39度近くまで上がったものの総じて体温より低めで熱く感じるところはなかった。右手がかかる領域でほんのりと温かく感じる程度だ。

ただし底面では、最も温度の高いところで44.5度と、低温やけどのリスクがあるとされている45度前後に達している(日本創傷外科学会のHPより)。

通常であれば衣服の上から本体を載せることになるので大丈夫だが、夏場にベッドの上で寝間着など薄い衣服の上、もしくは、直接肌の上に本体を長時間置いた場合は低温やけどのリスクが高くなるので注意したい。

底面に設けたスリット付近の表面温度が45度前後に達する


排熱口は背面に設けてあるが、ディスプレイを開くとディスプレイ面に沿って排気が上がっていく構造になっている


ファンが発する音量は大きく、検証中には比較的高めの音域で「フーッ」とファンが回転する音が聞こえてくる。静かな図書館やカフェなどでは、電源プランをバランスなどに設定してファンの回転数を抑えるのが無難だろう。

●日本の事情に配慮したインタフェースが◎

○必要十分なインタフェースを搭載

本体に搭載するインタフェースは、USB 3.1 Type-C、USB 3.0 Type-A×2基(1基はパワーオフUSB充電機能に対応)、HDMI出力(Standard A)、ヘッドホン&マイク端子、SDカードスロット、そして、有線LAN用のRJ45まで備える。

無線接続インタフェースでは、IEEE802.11axまでカバーするWi-Fi 6(2.4GHz対応)とBluetooth 5.0を利用できる。

左側面には、電源コネクタ、SDカードスロット、ヘッドホン&マイク端子を備える


右側面には、USB 3.1 Type-C、USB 3.0 Type-A×2、HDMI出力(Standard A)、RJ45を用意する


正面


背面


ACアダプタは左側面奥の専用端子に接続する。標準付属のACアダプタのサイズは105×44×29ミリ。重さはコード込みで実測284グラム。出力は20Vで3.25Aだ


本体にはディスプレイ上側にカメラを内蔵。720p対応で有効画素数が約92万画素、ステレオマイクを組み込んでいる。

カメラとともにテレワークで需要が増えているリモート会議のための機能としては、再生音量をそろえたりスピーカーから聞こえる範囲を変更したりできる「ミーティング機能」、周囲の雑音を抑える「ノイズサプレッサー」、残響を抑える「ルームエコー抑制」を備えている。

ディスプレイ上部に配置した有効画素数約92万画素のカメラ


キーボードは、キーピッチが約19.4ミリ(キートップサイズは実測で15ミリ)、キーストロークが約1.4ミリを、それぞれ確保している。

本体に「リフトアップヒンジ」機構を備えているので、ディスプレイを開くとキーボード側本体の奥が浮き上がり、実測で約2.5度の傾斜がかかってキーボードがタイプしやすくなる。

ただし、その機構を採用したためにディスプレイの最大開度に制約がかかり、こちらは実測で本体に対して135度、机面に対して132.5度の開き具合に留まる。

軽めタッチのキーボード。タッチパッドのサイズは105×60ミリ


ストロークは1.4ミリを確保している。“主観的”感想としても十分な深さを認識できる


リフトアップヒンジ機構によって本体後端を浮き上がらせてキーボードに角度を持たせるようになっている


ディスプレイの最大開度は135度。ただし、リフトアップヒンジ機構で本体に2.5度の俯角が入るため机面に対するディスプレイの開度は132.5度となる


Bluetooth接続ワイヤレスマウスが標準で付属する。マウスの重さは実測で81グラムだった


14.0型で解像度が1,920×1,080ドットのディスプレイは、パネルが光沢仕上げなので表示がくっきりとして見栄えがする。その一方で周囲の映り込みも発生。映り込みが気になる場合は、デスクトップを白基調の明るい壁紙にするか、輝度設定を明るめにするのが望ましい。

光沢仕上げパネルを採用したスーパーシャインビューLED IPSディスプレイ


現在、14型ディスプレイのノートPCは、使い勝手を重視したディスプレイサイズとキーボード、多様なインタフェースを搭載しつつ、外に持ち出して使う携帯性も考慮した汎用多目的ノートPCとして選ばれるケースが多い。

その観点で評価すると、14型ディスプレイ搭載モデルとしては平均的な重さながら処理能力は高く、十分なキーピッチとストロークを確保したタイプしやすいキーボードを備え、日本の事情を考慮した多彩なインタフェースを本体に用意したLAVIE N14(Core i7搭載モデル)は依然として有力な選択肢といえる。

Windows 11 Homeの登場をきっかけに処理能力が高い多目的汎用ノートPCを探すなら、候補として挙げておきたいモデルだ。