(C)サンライズ

写真拡大 (全6枚)

BS12トゥエルビの深夜アニメ枠『アニメ26』にて、9月10日(金)から3週連続で高橋良輔監督が手掛けた『機甲界ガリアン』が放送される。

同枠では、現在、サンライズが制作したリアルロボットアニメ作品のシリーズ総集編・OVAを連続放送中。今回放送されるのは、1984年〜85年に放送されていたTVアニメ『機甲界ガリアン』のシリーズ総集編OVA『PartI 大地の章』『PartII 天空の章』、そしてTVシリーズとは設定やキャラクターイメージをガラリと変えた『PartIII 鉄の紋章』である。

『ガリアン』の舞台は、クレセント大銀河に属するイラスタント太陽系第五惑星アースト。世継となるジョルディ王子が誕生して祝いのムードに包まれた辺境の国・ボーダー王国に征服王マーダルの軍隊が襲いかかる。「機甲兵」と呼ばれる大型乗用戦闘兵器を駆使しての侵攻で王は命を落とし、王妃フェリアは捕らえてしまうが、ジョルディは重臣アズベスに救われて滅亡に瀕した国内から辛くも逃れることができた。
12年の時が経ち、逞しい少年へと成長したジョルディは母を取り戻すべく ”伝説の鉄巨人” を求めて旅を続け、遂に反マーダル勢力が結集するエリア ”白い谷” でその赤い機甲兵・ガリアンを発見。ガリアンを駆る白い谷の戦士となったジョルディの、打倒マーダルを目指す戦いの幕が開ける。
▲囚われの母を取り戻すためガリアンと共に戦うジョルディ。
▲アーストに突如現れた暴君マーダル。その素性は謎に満ちている。

高橋監督が先に手がけた『太陽の牙ダグラム』(1981〜83年)、『装甲騎兵ボトムズ』(1983〜84年)はリアルなミリタリー要素を強く押し出した作風であったのに対し、『ガリアン』の世界観は中世ヨーロッパ的な雰囲気を醸したヒロイックファンタジーへと移行。母親の奪還に心を燃やす少年が反乱の戦いの中で成長を遂げていく、ジュブナイル向けビルドゥングスロマンのテイストをもった作品として仕上がっている。
さらに展開が進む中で、宇宙からアーストの状況を監視する巨大な国家連合 ”高度文明連合” の存在、またマーダルの真の目的が明らかにされていくことで、本作は壮大なSFドラマとしての側面も強めていく。

『ガリアン』の世界観を支えるメカニック――「機甲兵」は、古代アースト人の超科学文明によって生み出されたものであり、その多くは遺物として掘り起こされて活用されている。デザインを担当した大河原邦男・出渕裕は、ファンタジー世界の異形感を持ちながら高度なテクノロジーが共存する、それまでのリアルロボット作品とは異なるテイストを提示。またガリアンが装備する、楔型の刃をワイヤーで連結したガリアンソードを用いたバトルシーンは、鞭と剣という2つの要素を取り入れたアクション描写でアニメファンに強い印象を残している。
▲ガリアンと人馬兵プロマキスのバトル。

そしてTVシリーズ総集編と合わせて制作されたオリジナルエピソード『鉄の紋章』も要注目の1作だ。よりハードなテイストのファンタジーとして『ガリアン』の世界観を編み直した本作は、TVシリーズをベースにしながらキャラクター&世界設定を一新した異色作として仕上がった。
さらに機甲兵のビジュアルは、出渕裕によって甲冑的な要素を加味したフォルムへとリデザイン。特に機甲兵的な上半身と蛇状の下半身を併せ持つ本作のオリジナルメカ ”邪神兵” のビジュアルは大きなインパクトを与えた。

本作のジョルディは、戦乱の続くアーストを機甲兵によって統一しようとする偉丈夫マーダルの養子・第二王子として登場。同じくマーダルの養子・第一王子であるハイ・シャルタットは、封印されていた機甲兵 ”邪神兵” に惑わされてマーダルを殺害。その惨状を目撃したジョルディの前に、伝説の鉄巨人ガリアンが現れる。ガリアンに乗り込んだジョルディは、さらなるハイの凶行を止めようと、邪神兵の前に立ちふさがる――。
▲『鉄の紋章』のジョルディ。TVシリーズよりも精悍で野性味あふれたイメージだ。
▲機甲兵のビジュアルは、よりシャープなイメージに。

ヒロイックファンタジーとロボットアニメの融合を目指したサンライズ作品の先達には富野由悠季監督が手掛けた『聖戦士ダンバイン』(1983年〜84年)があるが、それとはまったく異なる高橋監督ならではの乾いたテイストで描かれる『ガリアン』の世界は、今でも根強いファンの支持を集めている。この貴重な機会を逃さず、一味違うSFファンタジーアニメの魅力にぜひ触れてみてほしい。

>>>『ガリアン』3作に登場するキャラクター&メカニックをチェック!(写真18点)

(C)サンライズ