依然として猛威を振るう新型コロナウイルス。ステイホームが続き、体調が思わしくないと感じる人も多いのではないだろうか。ニチバンは、コロナ禍による生活様式の変化と健康に関する調査を実施。その結果、在宅勤務の浸透などから、肩こりや腰痛で悩む人が増加していることが判明した。同社ではこれらの身体の不調を“自粛痛”と称し、7月29日に自粛痛や夏の不調を解説するプレスセミナーを開催した。

冒頭ではコンシューマー営業本部ブランドマーケティング担当の鈴木氏より、同社の概要や自粛痛について紹介された。ニチバンでは独自の粘着技術を生かし、一般向け絆創膏や文具用テープなどのBtoC製品と、医療向けサージカルテープなどのBtoB製品を展開する。スーパーでお馴染みの野菜を束ねる紫色のテープも同社主力製品の一つだ。

今年6月には、20〜60代の男女500名を対象とした自粛痛の実態調査を実施。「身体の不調を感じるか」という質問には3割以上が「感じる」と回答。年代別では20代が最も多く、若年層も不調を感じていることが明らかとなった。

「コロナ前と比べて不調を感じる」と回答した344名に具体的な症状を質問したところ、「目の疲れ(59.3%)」、「疲れ・だるさ(57%)」、「肩こり(53.8%)」が上位に。不調の対処法についての質問には「ストレッチ」「マッサージ」「貼り薬を使う」という回答が多くを占めた。一方で27%が「我慢する」と回答し、「(対処法は)特にない(10.8%)」と合わせると3人に1人が何も対策を取っていないことが判明した。

さらに不調を改善するグッズを購入したと回答した125名に「どんな商品を購入したか」と質問したところ、「貼り薬」が34.4%、内服薬が29.6%と「薬」が上位となった。 

続いて、コンシューマー営業本部ヘルスケア営業統括部 小島氏より、外用鎮痛消炎薬の「ロイヒシリーズ」が紹介された。ブランドの原点となる「ロイヒ膏」が誕生したのは1932年。1989年に「ロイヒつぼ膏」(第3類医薬品)が一部地域限定で販売開始、1991年に全国発売がスタートした。現在では、クールタイプからフェルビナク配合のコンパクトタイプなど全9アイテムを展開。いずれもドラッグストアで購入することができる。

2020年11月に発売され、全アイテムの中で最も新しい商品が温感タイプの鎮痛消炎テープ剤「ロイヒ膏ロキソプロフェン」(第2類医薬品)だ。鎮痛消炎成分ロキソプロフェンナトリウム水和物が痛みの芯まで浸透し、肩こりの痛みや腰痛などに24時間鎮痛消炎効果を発揮する。無臭のためオフィスや外出時でも気軽に使用しやすいのも特徴だ。肩や首に適した「7cm×10cm」と、腰や背中に使いやすい大判「10cm×14cm」の2サイズを用意する。

続いて、生活習慣病などを専門とし、数々のメディアでも活躍する内科医、工藤孝文医師が登壇。「自粛痛」を医学的見地から解説した。

「在宅勤務は理想的なオフィス環境がないことから、無理な姿勢により、肩こりや腰痛などの痛みが生じやすい」と工藤氏は説明。ソファや地べたに座ってのパソコン作業は、痛みの慢性化につながる要因でもあるとも話す。

さらに工藤氏は肩こりや腰痛は「マスク」の存在も大きいと指摘。マスクを着用し続けることで、呼吸がしづらく口呼吸になりやすいため、肩が凝りやすくなるという。さらにマスクによって表情が見えづらいこともメンタル面に影響を及ぼし、結果的に自粛痛に拍車をかけていると説明する。

また上述した、ニチバンが実施した調査では20代に「自粛痛」が多く見られたが、これには若い年代ならではのメンタル面が深く関係していると工藤氏は指摘する。
「一般的に身体の不調に関するデータは、自律神経が乱れやすい40代から増えるため、この結果は非常に珍しい。20代は就職などを機に一人暮らしを始める年代。通常ならば新しい友達ができる時期だが、コロナ禍によって人と会う機会が少なくなり、メンタル面から自粛痛が現れやすい。若い人こそ心身のケアが重要」(工藤氏)

夏には猛暑と冷房による「寒暖差」で悩む人も多いが、寒暖差による疲労は肩こりや腰痛、頭痛、不眠、食欲不振など様々な症状も現れやすい。さらに猛暑が予想される今夏は、冷房の使用増加やコロナ禍による外出不足が重なり、例年以上に熱中症や水分不足が懸念される。

「マスク生活と寒暖差疲労が加わることもあり、今年の夏は『自粛痛』の悪化が予測される。“三重苦”であるので十分注意したいところ」(工藤氏)

さらに工藤氏は先述の調査にある「自粛痛を我慢する」ことは避けるべきと強調。

「痛みを放置すると、仕事のパフォーマンスが落ち、気分も落ち込みやすい。さらにメンタル面から痛みの悪化を招き、仕事や家庭も円満にならない。いわば負のスパイラルに陥りやすい。肩こりや腰痛などの痛みには、まず湿布でケアすることがおすすめ。身体の痛みが和らげば、負のスパイラルからも脱却できる。“湿布ファースト”が大事ですね」(工藤氏)

今夏は8月下旬まで猛暑が続くと予測され、エアコンと外気による寒暖差により自粛痛が深刻となる可能性も高い。毎日の生活や仕事のパフォーマンス向上のためにも、身体の痛みを無理せず、湿布を上手に活用して適切にケアすることが望ましいと言えるだろう。