梅雨冷えからくる不調に!料理家 齋藤菜々子さんに教わる「ゆる薬膳レシピ」3選

梅雨冷え対策に!齋藤菜々子さんに教わる「ゆる薬膳レシピ」

「体がだるいな……」「食欲がない……」など、梅雨時期になんとなく不調を感じることはありませんか?その原因は梅雨冷えかもしれません。

「梅雨の湿気が体にたまると、むくみや冷えなどの症状が出やすくなります。さらに、食べものから摂った栄養が全身に行き渡りづらくなってしまうことも」と話すのは、料理家で国際中医薬膳師としても活躍する齋藤菜々子さん。

体の巡りが悪くなると、重たい水分が体にたまります。すると、栄養を運搬するためにエネルギーを使い、消化のパワーが不足してしまうため、食欲不振につながってしまうそうです。

「私がこの時期の食事で大切にしているのは、『余分な水分を体の外に出す』『消化を助ける』『体を冷やさない』というポイントで摂り入れる食材を選ぶことです」

本記事ではそのポイントに着目して、おうちで作れる薬膳レシピを3つをご紹介いただきました。

1. とうもろこしとミックスビーンズのサラダ

調理時間:20分

玉ねぎ、ミックスビーンズ、とうもろこしを調味料で和えるだけの簡単サラダ。とうもろこしのやさしい甘みが際立つメニューです。シャキシャキとした玉ねぎと、ゴロゴロとしたミックスビーンズを合わせることで、食感も楽しめます。色合いも鮮やかなので、食卓を華やかに彩ってくれますよ。

材料(2人分)

・とうもろこし……1本
・ミックスビーンズ……50g
・紫玉ねぎ……1/8個
・パセリ(みじん切り)……大さじ1杯
a. 酢……小さじ2杯
a. 塩……小さじ1/4杯
a. オリーブオイル……大さじ1杯

作り方

1. とうもろこしは皮1枚を残してラップで包み、600Wのレンジで4分加熱します。ラップを外してそのまま冷ましたら、3等分に切って実を削ぎおとし、紫玉ねぎはみじん切りにしてください。

2. ボウルに1とミックスビーンズ、パセリを入れ、(a)を加えて混ぜ合わせます。

これがポイント!「玉ねぎ・とうもろこし・ひよこ豆」

「ポイントのひとつは玉ねぎです。薬膳ではほとんどの食材を温熱性・平性・寒涼性という性質に分けることができます。玉ねぎは温熱性の食材で、体を温める性質をもっています。

また、利尿作用のある食材は体を冷ます性質を持つ寒涼性のものが多いのですが、とうもろこしやひよこ豆は体を冷やさない平性の食材です。体を冷やさずに水分の排出を促してくれるので、梅雨時期には積極的に摂るのがおすすめ」

※平性……体を温める“温熱性”、冷ます”寒涼性”と比べると、そのどちらでもない性質

2. じゃがいもといんげんのジェノベーゼ

調理時間:25分

いんげんとじゃがいもをジェノベーゼソースで和えた副菜です。旬のいんげんを存分に味わうことができますよ。ジェノベーゼソースは材料をハンドブレンダーまたはミキサーで混ぜるだけなので、簡単に作れます。フレッシュなバジルの香りが格別です。

材料(2人分)

・じゃがいも……2個(250g)
・塩……大さじ1/2杯
・砂糖……大さじ1/2杯
・いんげん……5本

ジェノベーゼソース(作りやすい分量)
・バジル……1パック(葉のみ使用で約13g)
・カシューナッツ(食塩不使用)……30g
・にんにく……1片
・粉チーズ……大さじ2杯
・塩……ふたつまみ
・オリーブオイル……大さじ4杯
・粗びき黒こしょう……適量

作り方

1. じゃがいもは皮を剥いてひと口大に切り、5分ほど水にさらします。いんげんはヘタを落とし長さを3等分にしてください。

2. 鍋に1Lの水、じゃがいも、塩(大さじ1/2杯)、砂糖を入れて中火にかけます。沸いたら弱めの中火で約10分、竹串を刺してすっと通るまでじゃがいもをゆでます。ザルにあげたら、同じ湯でいんげんを2分間ゆで、ザルにあげて水気を切っておいてください。

3. バジル、にんにく、カシューナッツ、粉チーズ、塩(ふたつまみ)、オリーブオイルをハンドブレンダーまたはミキサーに入れ、滑らかになるまで撹拌します。

4. 2に3を大さじ3杯加えて和えます。器に盛り、粗びき黒こしょうをふりかけます。

これがポイント!「いんげん・じゃがいも・バジル・にんにく」

「豆類のいんげんには利尿作用があり、体の代謝を促してくれます。さらにじゃがいもは消化をサポートしてくれる野菜。芋類は胃腸にとってよいはたらきをしてくれるので、さつまいもや里芋もおすすめですよ。

また、ジェノベーゼソースに入っているバジルとにんにくは温熱性の食材です。体を温めてくれる食材を意識して摂り、体を冷やさないようにしましょう」

3. オニオンチキンソテー

調理時間:25分

にんにくの香りが食欲を刺激するチキンソテー。甘辛い味付けがごはんにぴったりですよ。付け合わせのズッキーニは、分厚く切ることでジューシーな食感に仕上がります。フライパンひとつで作れるので、洗い物が少なく済むのも嬉しいところ。

材料(2人分)

・鶏もも肉……1枚(約380g)
・塩……適量
・粗びき黒こしょう……適量
・玉ねぎ……1/2個
・ズッキーニ……1/3本
・ミニトマト……6~7個
・にんにく……1かけ
a. しょうゆ……大さじ1杯
a. みりん……大さじ1杯
a. 白ワイン……大さじ1杯
・オリーブオイル……小さじ1杯

作り方

1. 玉ねぎ半分を4等分のくし切り、もう半分はすりおろします。にんにくは薄切りに、ズッキーニとミニトマトは縦半分に切ります。鶏もも肉は余分な脂身を切り落とし、切り込みを入れて厚さを均一にしてください。大きさを2等分に切り、塩と粗びき黒こしょうをふります。

2. フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱めの中火で熱し、色づいてきたらにんにくを取り出します。

3. 2のフライパンに鶏もも肉を皮面から入れ、強めの中火できつね色になるまで5分間焼きます。裏返したらくし切りにした玉ねぎ、ズッキーニを加え、弱めの中火に。5分間熱したら、鶏もも肉とズッキーニを取り出してください。

4. (a)、にんにく、すりおろし玉ねぎを加えて中火にかけ、とろみが出るまで加熱してください。鶏もも肉を器に盛り、ソースをかけたらズッキーニとミニトマトを添えます。

これがポイント!「鶏もも肉・玉ねぎ・にんにく」

「鶏もも肉・玉ねぎ・にんにくと、温熱性の食材をたっぷり使っています。特に鶏もも肉は、肉類のなかで唯一の温熱性食材。韓国料理にもよく使われていて、体を温める性質があると考えられています。

さらに、調味料に使用しているみりんや白ワインも体を冷やさないので、まさに梅雨冷え対策におすすめのレシピですよ」

梅雨の不調や夏バテに!お手軽薬膳レシピで対策

ご紹介いただいたレシピは、どれも薬膳のイメージとは少しかけ離れた洋風のメニュー。これには取材陣も驚きでした!

生薬を取り入れるイメージのある薬膳ですが、齋藤さん曰く、必ずしも使う必要はないのだそう。食材の効能を意識するだけで。おうちでも手軽に実践することができますよ。

「毎日の食事に少しずつ薬膳を取り入れれば、冷え予防にもつながります」と齋藤さん。ご紹介したレシピを参考に、おいしく食べて梅雨の不調や夏バテを予防しましょう!

取材・文/大瀧亜友美
撮影/宮本信義